われひとり悲劇のヒロインだと嘆く 覚悟もなしに恋をしたのか (市屋千鶴) 銀行から転職した先の会社で一緒だった女性の話。 わたしがその会社に入ったばかりの頃は、コックさんの恋人がいた。 1年経ったか経たないかの頃、その人と別れて別の人と付き合って いるとわたしに教えてくれた。 その相手はグループ会社の人で、もうすぐ結婚の決まっている人だ った。結婚を目前に控えた男性の気の迷いに彼女はヒットしてしま ったらしい。まあ、その人が自分の会社に戻る頃までしばらく付き 合っていた。
その後、彼女の相手はわたし達の会社に派遣されて来ていた男性に なった。 彼も結婚直前というより、入籍しただけで単身赴任状態だった。
彼女は、相手のいる誰かが、自分とその相手を比べて自分を選ぶと いうことに、どうやら魅了されてしまったらしい。 誰にでも愛想のいい彼女、派遣されることの多い彼女の普通な反応 ではあったのだが、その態度が相手の誤解を招く。 誤解された挙げ句に相手に告白されて、今の相手よりも魅力的だと 告げられる。 この言葉に全く反応しない女性はいないと思う。 例え、相手に好意以上のものを持っていないとしてもだ。 彼女は、そうしている内に自分の方がより好きになってしまうのだ。
わたしは、ことあるごとに彼女の悩み相談相手になっていた。 最初は、そういう相手しか好きになれない彼女に同情もした。 ちゃんと話も聞いていた。 だが、いつまで経っても彼女たちの関係は改善されようとしない。 悲劇的な状況に落ち込んだまま、改善しようとしない。 わたしを相手に愚痴をこぼすだけだった。
わたしははっきり言って不倫は嫌いだ。 父親を別の女性に奪われた身の上だから、当然の反応ではないか。 自分自身、全くそういう気も無い。 それは、人前でこそこそしなくてはならない恋愛なんかしたくなか ったから。 が、他人がそうしていることを別段非難するつもりも無い。 父を奪った女性に対しても、わたしの母よりは彼女の方が圧倒的に 父に似合っていると思っている。 一つの出会いが人生を変えることは沢山ある。 だから、好きになった相手がたまたま相手のいる人だったというこ ともあるだろう。 だが、それを知ってなお付き合うのならば、それ相応の覚悟が必要 だろうと思うのだ。
恋愛には、傷つく覚悟が必要だ。 そういう覚悟もなしに、ただ嘆くだけの恋愛をしている人は哀しい。
傷ついて痛みを知ってなお君が好きだと言える覚悟が欲しい (市屋千鶴)
某所で書いたことを、日記でも書いてみました。 わたしの知っている恋するすべての女性達へのエールとして。
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