MrsMの観劇日記
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2005年05月11日(水) 「阿修羅城の瞳」

期待度 ★★★★☆ 満足度 ★★★☆☆から★★★★☆のあいだぐらい

 いやぁ、素敵です、鶴屋南北せんせい。目の前で人が死にかけて倒れているのに「面白い、面白すぎるっ!」って、そりゃないでしょ?(^^;
「千年生きても見られるかどうかわからない鬼の顛末をこの目で見たい」ってその気持ち、わかるなぁ。最後には鬼まで手なづけてしまっているあたり、さすがです。

 主演の市川染五郎、あの端正なお顔、美人と言ってしまっていいぐらいなのに、性格と口調は江戸っ子役者そのものなのがなんだか可笑しい(笑)。育ちはいいのにやんちゃが過ぎて家を追い出され、これ幸いと好き勝手に役者をしている御曹司っぽくてかなり好みです。セリフ回しが芝居がかっているのは、ま、ご愛敬? 立ち回りはとても綺麗でした。

 渡部篤郎ははまり役というべきか、こういう役しかもうできない? と言うべきか。出てきた瞬間にもうこの人の末路がわかってしまうのはいかがななものかと??

 宮沢りえはこういうちゃきちゃき江戸っこ娘役より、しっとり系の役の方が個人的には好みです。思ったより妖艶さがなかったのが残念ですが、それはあの阿修羅の衣装が悪い?

 話の方はといいますと。
 見ていてもったいない気がしました。あともうちょっとひねればもっと面白くなるんじゃないかなって。人間ドラマに焦点を当てているのか話にひねりがなく、ひねりがないから人間ドラマにも深みが足りない。
 人から鬼(阿修羅)になる悲哀がないんだよね。鬼と言っても、最初から最後まで退治される役ばかりで、鬼になる残酷さが伝わってこない。理屈ではなく、問答無用に「そりゃ、鬼にはなりたくないよね、人として」と思わせてくれたらつばきの想いも深まったのだろうけれど。
 ま、なんだかんだ言いつつ、けっこう楽しんで見ていましたけど。こういうB級っぽい話、大好きですから♪

 最後がよくわからなかったのですが、阿修羅にとって、人も鬼もどうでもよく、恋がすべてだったということで、いいのかな。阿修羅として恋するが故に男の魂を欲する、と。でも、彼女からは激しく恋いこがれる想いというものが伝わってこなかったのよね、、、
 ラストの出門と阿修羅のやりとりに今ひとつ迫力がなかったのも残念。宮沢りえ、立ち回りはあまり上手ではないようで、、、
 冒頭の江戸の風景や途中のCGとかはけっこうよかったのに、阿修羅に関してはなぜあんなにちゃちなんだろう? 大阿修羅にしても、大きければ迫力が出るというものでもないでしょうに。阿修羅関係の美術は不満が残るところです。

 この話、もとは舞台だと聞きましたが、これはぜひ舞台で見たい話だとと思いました。舞台ならあれやこれや、みんな許せてのめり込めるような気がします。市川染五郎のスクリーンでの姿の素敵ですが、この方は舞台の方が映えるんじゃないかな。うん、是非舞台に立った姿を拝見したい。きっとすごい色気だろうな(奥さん、涎が、、、


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