| 2011年09月11日(日) |
「キッズ・オールライト」「別冊 図書館戦争�供� |
「キッズ・オールライト」
をギンレイにて。
ジュールスとニックはレズビアンカップル。そしてそれぞれが精子バンクを利用して長女ジョニと弟レイザーをもうけ四人家族で仲良く暮らしていた。
しかしジョニが18歳の誕生日を機に、レイザーが精子提供者と会ってみたい、と言い出して会うことになる。
初めて会った父親のポールは、有機野菜レストランのオーナーだった。 何の問題もなく対面を済ませ、やがて親交を深めてゆくようになるにつれ……。
ジュールスと関係をもってしまう。
そしてそれがニックに、そして子供たちにもばれてしまい、家族に亀裂が入ってしまう。
世間とは違った家族だが、家族であることに何ら違いはない。 家族の風景を描いた物語。
ジュールスに本気になってしまったポールが家に訪ねてきてニックに言われる台詞がある。
「家族が欲しいなら、自分で作ってちょうだい」
突然現れた娘と息子。 ふたりともなかなかうまくやっていけてる気になり、母親のジュールスとも、もちろん関係をもつような関係にもなった。
これはひょっとして。
にわかに家族が手に入って幸せな日々が送れるんじゃ……。
その少し前。 ジュールスはジャニがいいつけを破ったことを強く叱り、ポールが「ルールを少し緩くしてあげたら」と口を出した時にピシャリと言い放った。
「18年間、子どもを育ててないあなたが言ったって、わたしには何の意味も感じないわ」 この台詞が、ここにきて、それまでの印象からガラリと変えさせられてしまう。
わざわざゲイ・カップルの子どももいる家族を描いた理由がわからなかったが、まあ、難しいことは考えずに気楽に観られる作品である。
さて。
有川浩著「別冊 図書館戦争�供�
「図書館戦争」シリーズの登場人物らで、クセのないヤツラは一人もいない。
その中でも、おそらくこれ以上の難物はいないだろう二人が結ばれる契機になったエピソードを描いた物語である。
才色兼備、あらゆる情報をどこからか集め、その情報をこれ以上ないほどに分析し活用できる柴崎。
図書隊特殊部隊の精鋭にして容姿端麗、頭脳明晰、しかしカタブツで不器用モノの手塚。
だぁかぁらぁ。 はやく、 くっついちゃいなさいなっ!
といった焦れったさ加減は、先に結ばれた堂上夫婦にひけをとらなかったのである。
きっかけとなったのは、ストーカー事件である。
しかも最初は一般の図書館の来館者からはじまり、その解決がやがて同じ組織内の者によるさらに陰湿で過激で暴力的なものを呼び起こさせてしまう。
そんなこんなの事件を乗り越え、二人はようやく、相手が好きであるという自分の気持ちを、お互い自身が認め合うのである。
自分自身のことにはとんと疎い、というのも、なかなか困り者である。
こうしてカップルが結ばれてゆくと、この際だから、と、他の隊員隊長らの事情も放ってはおけない。
何よりも現場の一線で戦う玄田隊長と、出版社で表現の自由のために戦っている折口さんの二人はどうなるのか、かなり気になる。
「還暦迎えて、お互いにまだいい相手がいなかったら、その時一緒になろう」
本当にその時までかかるのだろうか?
「図書の自由のために人生を捧げ、また、愛妻を失ってしまった」生ける伝説の稲嶺元司令との碁をうちながらの会話が、いい。
稲嶺がまだ妻が健在の頃に、囲碁の段位認定にかかる費用が予定より高くなり、用意していた手持ちでは足りなくなってしまった。 妻に相談もせず銀行からおろして間に合わせたが、当然、妻から後で怒られてしまった。
たとえどんなことでも、まずは話してもらえなかったことが。
「わたしが「ダメ」と言うかもしれない、だから言わなかった」ことが悲しい。
端的に言えば、関係者らのそんなのろけ話が披露され、玄田はもはや投了である。
帰りの道すがら、携帯を取り出しながら折口へのプロポーズの言葉を考える。
「指輪のサイズは、昔のままか?」
特殊部隊の猛者どもを束ねる豪快な彼らしい。
そんなわけないでしょ?
受話器の向こうで、折口は目尻を指で拭いながら笑って答えるだろう。
きっと。
お互いが「共に戦っている」という意識が、二人を強い絆で結び付ける。
それは「働いてる、働いてない」だとか「育児してる、してない」だとかではなく。
「同じ場所に、二人は立っているか」
ということでよいのだと思う。
「図書館戦争シリーズ」は、単純明快で、しかし決して役に立たないような単なるエンタメ作品には終わらない秀作である。
著者の有川浩は女性であるから、もちろん一般女性が読んでも存分に楽しめる。
最近だと映画「阪急電車」の原作者、といえば取っ付きやすいかもしれない。
ぜひ手にとってみてもらいたいシリーズ作品である。
|