| 2011年09月10日(土) |
「別冊図書館戦争�機� |
有川浩著「別冊 図書館戦争�機�
本編完結後、とりわけ読者が食い付きたいエピソードを取り上げた「激しく甘く」そして「悶々苛々」させられる物語である。
図書の自由・権利を、不当な規制・検閲から守るべく組織された「図書隊」の、さらに最前線で戦う特殊部隊。 堂上班長と特殊部隊初の女性隊員である笠原郁は、常に隊内でも評判のお騒がせ師弟コンビであった。
街の本屋で不意討ちの「検閲」に巻き込まれ、楽しみにしていた本を取り上げられそうになった高校生の郁。 そこに颯爽と現れて、郁と本を救ってくれた図書隊の「王子様」が堂上だったのである。
王子様に憧れ、追いかけて図書隊に入隊した郁だったが、堂上本人が「王子様」とはまったく気が付かずにいたのである。
しかし周囲の隊員は皆、そのことはわかっていて、ふたりの関係を厳しくもやさしくあたたかく見守っていたのであった。
そうしてとある作家の護衛任務中の激戦中に堂上が深傷を負い、郁に自分をおいて行けと命ずる。
「無事に帰ってきたら、ちゃんと「好き」って告白しますからっ!」
郁は約束し、やがて任務を完遂したが、その後堂上は病院に入院したまま予断をゆるさない状態が続いていた。
ようやく面会が許される状態にまで回復し、同僚の隊員らも見舞いにゆくことができてホッとひと安心。
そのあたりからのお話である。
こういったカタカナ表現は好きではないが、純粋培養無垢娘(体育会系)のラブラブが「デフォルト」である。
「デフォルト」などという言葉使いに逆毛がたってしまうわたしは、器が小さい偏屈者かもしれない。
そはさておき。
自衛隊的厳しい職場内恋愛である。 しかも上官と部下。 まさに「甘酸っぱい」ことこの上ない。
職務中の危機迫った時に、「笠原」ではなく「郁」と名前で叫んでしまう。
立場上部下を叱らねばならないが、「そんなお前を好きになったんだから仕方がない」と言われたり。
「躊躇う」のは拒んではいないことだとわかっていても、「怯えられる」のは正直傷付く、だの。
ごちそうさま。
の世界である。 しかし、きちんと社会の問題を提議することも忘れてはいない。
「検閲」を正々堂々と、「差別的表現」を使わずに表現する戦い方をしている作家の物語や。
我が子にどうしてもDVをしてしまう母子の物語や。
聴覚に障害がある方たちに対して社会が与えている緊急時での問題。 震災の火災など、放送とピカピカ光るだけの非常灯では、何も伝えられないこと等である。
障害者に常に介護者や付き添いが付いてはいられないことは、実社会における現実的な問題である。 お金も、人も、限られている。
だから、自立して過ごさなければならない時間ができる。
友人や家族で補えればよいが、そうはいかないのが現実なのである。
そういったことを、有川浩は忘れずに読者に伝えようとしているのである。
本シリーズのきっかけにもなった、実際の図書館に掲げられている
「図書館の自由に関する宣言」
というのがある。
図書館に行かれる機会があったら、ぜひ館内を探して見てみてもらいたい。
そして、シリーズをたっぷりと楽しんでいただきたいところである。
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