今日は何の日か。
世に言う、
「セント・バレンタイン」
という日である。
不肖の身ながら、京よりあまりある贈り物をいただき、心から感謝している。
愛とは、かくも広く、あたたかいものである、と自覚せずとも体現してみせるお上は、とても素晴らしい方である。
お上に浮気ではないが、今日は、大事な人との予定が、ある。
であるから、昼下がりに、そそくさと背を丸めて部屋を出たのである。
行く先は、渋谷。
逢い引きに円山町あたりが相応しいかもしれないが、国営放送局前にある、
「渋谷BOXX」
である。
TOKYO ACOUSTIC NITE 2010 「詩のチカラ」
にて、篠原美也子姉御と、石野田奈津代嬢のライブであった。
奈津代嬢が、風邪及び気管支炎などの体調不良により、声がまったく出ない、とのことで急遽出演中止となってしまったのである。
姉御を脇で支えるギタリスト、松田ブンさんなる方は、シオンを支えるギタリストでもあり、予定外でのライブがはじまったのである。
はじめはプログラム通りに、姉御が好きな「男性曲」をカバーで歌いあげてゆく。
尾崎豊の「forget-me-not」を初っ端に歌われたのには、胸がジンと熱くなったものである。
エレカシ、レッド・ウォリアー、陽水、パンプ・オブ・チキンなどのカバーを歌い上げると、スイッチが切り替わる。
「ここからは、篠原美也子の女歌を、きいてください」
まさかの幻となっているシングル「花束」を歌われ、十数年前を思い出させられる。
「今だけ、今回限りで、リクエストある?」
「Good friend……」
わたしの前に座る女子が、恐る恐る、声をあげる。
オッケー、ラブソングらしいっちゃあ、らしいからね。
今夜あなたの上に星が降るように わずかな光が道を照らすように
ライト中で、思いを伝えているその姿は、かっこいい。
改めて、惚れ直してしまったのである。
そして。
わたしと同じ年同じ月同じ日に生を受けた同級生、であった女子、いや女性が、夢の実現の一歩でもあることを、なそうとしているのである。
プロの舞台。
「紅峠」
という舞台の照明を、彼女個人に依頼がきて、ひとりで任され、もうじき幕が開くらしい。
それぞれが、それぞれの形を残してゆこうとしているなか、わたしも甘んじてはいられない。
しかし。
甘い物は好物である。
年中無休で受付中なのも、また事実である。
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