| 2009年08月21日(金) |
「コインロッカー・ベイビーズ」 |
村上龍著「コインロッカー・ベイビーズ」
初めての村上龍である。 これまで、おそらくどうにも肌に合わないだろう、と敬遠してきたのである。
帯に「解説・金原ひとみ」と書いてあったので、ついに手にとってしまったのである。
本著は、およそ三十年前に発表、野間文芸新人賞を受賞した。
なるほど、言われるほどの衝撃を受けなかった。 それはきっと、著者がまだ新人の類いのころだったことと、わたしがこれまでに、まだ僅かながら読み過ぎてきたあまたの作品からようやくわかりかけてきたわたしが求めるもの、との差があるからなのだろう。
生まれて間もなくコインロッカーに捨てられた、キクとハシ。
すべてをぶっ壊すために、キクは力を求める。
必要とされたいために歌を歌い、仮面を被り続け、その偽りの自分を懺悔するために、ハシは愛するものを殺さねばならない、と気付く。
乳児院から里親の家まで兄弟として育ったふたりは、別々の道に進む。
しかし、別々の道は知らず知らず、ひとつの同じ世界へと続いていたのである。
それは、世界のすべてがひとつのコインロッカーであったかのように、暗闇の閉ざされた箱のなかで弱々しく、あらん限りの声で泣くことしかできなかったあの頃に結局は戻ってしまうように、生きようとするか、生を諦めて楽になるか、葛藤し続けなければならないことを表すかのようであった。
やはり、同じ「村上」ならば「村上春樹」のほうが肌に合う。
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