「隙 間」

2009年05月29日(金) 名も無き画伯

名も無き小さな画伯の作品をみつけたのである。

雨上がりのひんやりとした路地の空気に誘われ、一本裏の軒下を選んでみたのであるが、なんとも素晴らしい出会いである。

激しく夜の屋根を叩いていた雨に閉じ込められ、うずうずとうずいていたに違いない。

キャンバスが車の通れるような広いものでは、なかなか、このような活動的な構図で描けない。

玄関を開けたら思わず踏みつけてしまうような、この加減がよいのである。

名も無き、さすらいの評論家を見かけたので、感想をたずねてみたところ、

「吾輩は猫である。崇高なる思索のさなかを不用意に邪魔だてするのは感心できん」

目を縦に細くしてにらまれてしまったのである。

ふむ。
昼のその時刻を指すとは、なかなか正確な時計を兼ねているとみえる。

「にゃんだとう」

いやいや、先生。
午睡のお時間ですか、欠伸をされるとは。

かまってなぞいられぬ、と伏せて目を閉じてしまった。

ネコが、寝込む。

舌好調のようである。


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