| 2009年03月17日(火) |
「誰よりも美しい妻」 |
井上荒野著「誰よりも美しい妻」
この作品は、夫婦の、男女の「愛」の深さ、強さ、恐さを、ぞくぞくさせながら、もやもやとさせられる作品である。
夫は何があっても私のところに帰ってくる。
夫に、浮気相手と会うためにさらりと嘘をつかれても。 それが嘘だとわかってしまっていても。 嘘だとわかっていることに夫が気づきもしていなくても。
平気で浮気相手を自宅に招き、妻と妻の手料理を自慢げに見せびらかしても。 浮気相手に面と向かって詰め寄られても。 そんなことが次から次へと相手が変わるだけで繰り返されていても。
そんな妻は、年頃の息子に
「怠惰なだけだ」
といわれる。
夫の愛を信じていること。 信じるより以前の、確固たる真実である、と感じていること。 自分の夫に対する愛もまた同じく。
事実夫は、妻なしには生きられない。 妻が愛してくれている、という真実があるからこそ、男としてあちこちを歩き回れる。
真実なのだろう。
真実だからこそ、 揺るがないものだからこそ、 完璧だからこそ、
それは現実のものなのか、手応えを確かめようにも確かめられず寂寥感に囚われてしまう。
歯がゆさともどかしさに溢れた夫婦の「愛」の世界をのぞいてみたい方は、読んでみるとよいかもしれない。
きっと、胸を「うききいっ」とかきむしりたくなることだろう。
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