「午後」 用事を思い出し歩いて出かけていった道の端には白い花が項垂れていた弱弱しく背を丸めて時を間違えたと呟いていた隣には木が在った艶やかな紅い実を震わせ彼女は胸を反らしていた草叢には濃灰の猫が沈んでいた猫は腹の下に時間をやっつけ目を光らせて雲を佩いた空を見ていた風のない午後のことだ(2002.11.19)