夢見る汗牛充棟
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「壊れた機械」
その機械は壊れていました
愛してる愛してる愛してる愛してる
愛してる愛してる愛してる愛してる
どこを押しても繰り返す
銀のボタンも金のボタンも
黒いのも 白いのも
どこにも正しく繋がらぬ
配線ミスの不良品
あたしは日曜の夜おそく
それを街角に捨てました
月曜の朝には もはやかたちはそこになく
あたしは笑って仕事に行った
そのあたしが壊れていました
ここにいてここにいてここにいてここにいて
ここにいてここにいてここにいてここにいて
どこを押されても口にした
緑のボタンも橙のボタンも
黒いのも 白いのも
ぜんぶ男に繋げたかった
配線ミスの粗悪品
男は火曜の明け方に
それを路上に棄てました
月曜の朝には もはやかたちはそこになく
鉄くずと螺子は錆びながら
むかしを思ってただ濡れた
あの機械は壊れていなかった
あたしが捨てた優しいあれは
誰かが拾っていきました
(2002.11.15)
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