★悠悠自適な日記☆
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2003年10月19日(日) |
『嵐を呼ぶ!モーレツオトナ帝国』 |
クレヨンしんちゃんの『嵐を呼ぶ!モーレツオトナ帝国』を見ました。凄かったです。久しぶりにアニメを見て号泣しました。
懐かしの町、懐かしのテレビ、懐かしの味、懐かしの自然、懐かしの夢…20世紀の懐かしい「匂い」に侵された大人達は、目標を失ってしまった21世紀を生きる気力を失ってしまいます。「昔の方が良かった」「子供の頃は夢を持っていた」未来を生きることを捨てて過去に還ろうとする大人達。だけど今の子供達は「今」を生きる人間であり、「未来」を生きたい。こうしてしんのすけは過去にしがみつく大人を解放するために闘うことを決意します。
物語がすごく深かったです。クレヨンしんちゃんってこんなにもテーマ性のあるアニメだったっけ?と目を疑いました。そして演出が凄い!!躍動感のある登場人物にスピード感溢れるカメラワークはもちろんのこと、ビートルズを思い出させる風貌の悪役を始め、魔女っ子メグちゃん、魔法使いサリー、5レンジャー、ウルトラマン、夕日の描写、70年代ギャグといった「過去」を連想させるものをさりげなく背景に置くことで、このアニメを見ている大人にまで深いテーマを投げかけているように思いました。むしろこの物語は子供よりも、大人に向けて作られた話なのかもしれません。
私達人間は「過去」を美化する傾向にあります。「昔の方が良かった」「俺が若い頃はこんなことをしたもんだ」「近頃の若者は…」大人はよくこんな言葉を使います。「現在」や「未来」に対しては否定的で、自分が生きてきた「過去」だけはエラく肯定的。過去だけがキラキラ輝いていたように思い込んで、「今」や「未来」から目を背けようとします。その方が楽だから。未来は自分で開拓しないと見えてこないけれども、過去は結果がもう決まっていて、その結果にしがみつくことで安心をする。そうじゃないのに。過去は自分が今を、未来を、「勇気」を持って開拓した結果なのに、いつの間にかその「勇気」がスコーンと抜け落ちてしまっています。
「今」がつまらないなら「今」を開拓すればいいこと。「未来」がどれだけ絶望的でも、「今」を開拓すれば何かが変わる。「過去」に逃げては何も変わらない。
ただそれだけのことです。ただそれだけのことだけど、決して失ってはならないことでもあります。しんのすけは私にそれを再確認させてくれました。
これまでのクレヨンしんちゃんの映画はほぼ観ていますが、こんなにも大人に直球を投げてくるストーリーは初めてです。ビックリしました。前よりももっともっとこのアニメが好きになりました。
来年は劇場に観に行こうかなぁ…。
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