Leonna's Anahori Journal
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2009年05月11日(月) 不死身

 
忌野清志郎が死んで、妹は悲しくて悲しくて、どうしたらいいのかわからなくなってる。

何十年もまえ、まだ横浜で家族みんなで暮らしていたころ、ちっちゃな木造家屋を震わせて、よく大音量でRCのLPレコードをかけたものだ。
「ダーリンミシン」の、♪ぼくのお正月のコール天のズボンができあがる、というところがとても好きだった。もともと私がかかったRC熱に妹もやられて、その後も妹はずっとずっと律儀にRC&清志郎ファンとして暮らしてきたのだった。
 
清志郎のお葬式のニュース映像を観ながら、何故か突然、「よし!あたしは不死身になる!!」と決心したのだったが、いつの間にかまた気弱な中年に戻っていて、インフルエンザ予防のための手洗いに気を配ったり、マスクを買って来たりしている。
してみるとあの「不死身になる!」という決心は、お酒を飲み過ぎた深夜に突然降ってわいたグッドアイデアのようなものだったのかとも思うのだが、いや、やっぱりそれは違う。
 
  
若い時分には、自分が中年になることが信じられなかった。親が老人になってやがて死んでしまうことも、理屈では理解できるけれど、実感としてはやはり信じられなかった。故に、その頃私は不死身であったのだ。死なないどころか、婆さんにすらなる予定はまるでない。
そうなのだ。私が(再び)目指そうとしたのは、あのきっぱりとした馬鹿さ加減だったのだ。
 
そりゃあ、もう全部わかっちゃってる。親の葬式も出したし、加齢との戦いだって熾烈さを増している。でもわかりきってることにいちいち悲しみながらこの先ずっと自分が死ぬまで生きて行くなんて、うんざりじゃん。それで、こうなりゃもう、犬猫のように、いつか死ぬことすら知らないつもりで生きたらいいじゃん!と思ったのだった。

だから、妹よ。これから姉が馬鹿に能天気に将来の夢なんか語っちゃったりしたら、「こりゃあ、ちょっと早過ぎやしないか?」なんて心配しないで、一緒に笑ってほしい。何にしろ、姉は、不死身になったのですから。

 
 
 


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