Leonna's Anahori Journal
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三ヶ月間同じクラスで勉強したヨーコさんと一緒にボルダリングに行く。ボルダリングは、いろんな色や形の突起を手がかりに壁をよじ登るスポーツ。 学校も終盤にさしかかる頃、しきりに、何か運動してすっきりしたいね毎日毎日机の前に座りっぱなしで、そうでなくてもいろいろストレスたまってるのにー、ほんとほんとー、と、そんな話をしていたら、ユミコさんという同級生のひとが「ボルダリングはどう?」って教えてくれたのだ。 (ちなみにユミコさんは、巻き爪なのでボルダリングできないらしい。小さな息子さんを登らせに行っても見てるだけなのだと言っていた) ごくごく簡単なスタート講習を受けて、さっそく壁登りに挑戦。最初はわずかに向こう側へ傾斜した壁を登る。これはそんなに難しくない。お、結構登れるじゃん!と互いに褒め合いながら、突起の横に貼られた番号に従って難易度を上げて行く。
次の壁は垂直。傾斜なしのまっすぐだ。当然のことながらさっきよりもきつい。しかし、ここまではまだよかった。次の壁は、わずかに手前へ向かって傾斜している。これは、かなりきつい。 それまで突起横の番号にしたがって順調に難易度を上げてきたが、ここへきて文字通り壁にぶつかった。やや手前傾斜の壁の最後のコースがめちゃくちゃ難しいのだ。 あとは数十センチ先の最後(ゴール)の突起に手を伸ばすだけ、というところまできていながら、その手が出ない。いま片手を離したら、落ちてしまう。まさか自分がこんな「ファイト一発」状態を体験することになろうとは。そうして、どうしよう、どうしようと、ひとつ手前の突起にしがみつきながら考えているうちに自分の体重を持ち堪えることができなくなってマットへ落ちてしまうのだ。まるで、絶命した虫のように。または、普段からぼんやりしているナマケモノが、さらにうっかりしてしまったかのように。
すぐそこにゴールが見えているのに、なすすべもなく落下するのは内心かなり口惜しいのだが、結局これを三回繰り返し、とうとうそのコースは登りきることができなかった。この壁へ来るまでの小一時間で体力を消耗してしまったことが敗因だろう。悔やしいけれど仕方ない。普段これといった体力作りもしておらず、年齢並みの筋力しかないのだ。バランス感覚だけではこのあたりが限界だろう。 「落ちる」「ゴールできない」「限界」等、いまの私たちにとってはNGワードばかりなのだが、しかし、ボルダリングはボルダリング、就活は就活である。 帰りにヨーコさんと一緒に食事しながら「あたしたち初挑戦にしてはかなりガンバッタほうよね」「そうよそうよ、この歳でいきなりあそこまではできないわよ、ふつう」と互いをほめ讃え合ったことはいうまでもない。こういうときにネガティブな考え方をしても何の益にもならないことを知っている私たちは、オトナなのだ。たとえ見かけは、図々しくて反省のないオバサンと区別がつきにくいとしても。 パスタをお腹いっぱい食べた後「明日からまたがんばろうね!」「うん、絶対にあきらめない!」と励まし合いつつ別れた。明日からまた職探しだ。
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