Leonna's Anahori Journal
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2007年01月01日(月) 2006年のベスト3

 
陽光あふれる暖かい元旦を迎えました。
今年も、どうぞよろしくお願いいたします。
 
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年末にできなかった、2006年に読んだ本のベスト3を、1位から順に。

 「サイダーハウス・ルール」 J・アーヴィング
 「ヴァンサンに夢中」 H・ギベール
 「娼年」 石田衣良


05年も別格(ベスト3のさらに上)で「未亡人の一年」が入ったので、アーヴィングは二年連続のマイベスト。特に「サイダーハウス・ルール」は、ガツン!という感じで私の生き方に喝を入れてくれた本。読み終わるのが本当に惜しかった。読後の余韻のなかで、良い年末を過ごさせてもらいました。
 
ギベールは「赤い帽子の男」でもよかったのだけれど、あえて「ヴァンサン」で。去年はエルヴェ・ギベールを改めて発見した年。そして改めてギベールを好きになった年だった。
宿痾と闘いながら書かれた作品を連続して読みながら、いつしかギベールの魂に近づいた感あり。“エイズ作家”などと呼ばれることもあるギベールだけれど、「エイズ作家でどこが悪いんじゃ、こら」という気持ちです。いまは。
 
「娼年」は、賢いがゆえに世の中に対して無気力にならざるを得ない青年が、からだを売る仕事を通して自分の存在理由(アイデンティティ)やミッションに目覚めてゆくというお話。
小説でしか成立しない話だとは思うのだけど、作家の伝えたいことが明確に伝わってきたし、面白かった。読後に希望とさわやかさを感じました。若者を力づけるために書かれた小説に、しっかり励まされてしまった、中年チマリス(笑)
  
 
昨年の読書は吉田修一アワーから松浦寿輝へ進むところから始まった。なぜ松浦寿輝だったのかといえば、それは昔ながらの芥川賞の感触に飢えたからであり、ということは吉田修一や糸山秋子じゃあちょっとアレだったのかと聞かれれば、うーん、まぁ、なんつーかその、むにゃむにゃ…と言葉を濁すしかない。つまり、時代遅れのオンナなのさチマリスは、ってことでわかっていただきたい。

で、なぜ松浦寿輝に白羽の矢が立ったのかといえば、一に名前の印象、二に作品タイトルだったりする。けっこう、いい加減。でも、その松浦さんの小説が伝説の歌人、村木道彦と、ロラン・バルトを教えてくれたわけで。だから読書は面白いし、やめられないのだ。

そして、野生の勘でバルトのゴシップ(ディスクールの陰に男あり!)を嗅ぎ当てたチマリスは、ビンゴ!とばかりにギベールへと歩を進め、最後の最後にまたしてもアーヴィング登場で年末大団円、と、ざっとそんな一年でした。(…こりゃ、松浦さんには感謝しないとな)
 
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年末、たまたま通りかかった東京駅大丸百貨店の地下で買った京都の清酒「英勲 大鷹」。お燗して美味しいお酒が欲しいという私に、年配のお母さんみたいな店員さんが、すごく親切に説明して、薦めてくれたお酒だ。

この「大鷹」で作ったお屠蘇とお雑煮、小さなお重に詰めたお節をいただきながら天皇杯を観る。お雑煮のお餅は、三つ。元旦から少し食べ過ぎてしまった。






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