Leonna's Anahori Journal
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このまえサワ部長が遊びに来た翌日、お手伝い妖精のゲンコツ山がふらりと現れた。部長に「段ボールの多い家だ」と言われたことを思い出して、ここはいっちょ本格的にお手伝いしてもらうことにする。
廊下に、かなり前から平たくて大きな段ボールがふたつ並べて立掛けてあった。それはプラスチック製の物置で、庭に置いて園芸用品(主に用土)を入れておくために買ったもの。でも、組み立てるのが面倒くさくてずーっと置きっ放しになっていたのだ。
これこれこういうものなのだけれど組み立てられるか、と訊いたら「多分、できる」と言う。「多分」というのが少し気になったけれど、とにかく箱をあけて作ってもらうことにした。
途中二度ほど、完成間近の物置のなかへ私が入り込んで「何してるんですか」「じゃまです」と怒られるアクシデントはあったが、約一時間ほどで、幅60センチ、高さ150センチ、前面のシャッターがバラバラッ(プラだから)と開く物置が完成した。 -- 本日。段ボールが減って、庭が片付いたお礼に映画をおごることにして、銀座へ『かもめ食堂』を観に行った。
混んでいて、一列目(一番まえ!)の席になってしまったため、冒頭、港の石畳のうえを歩いて来るカモメのアップが視界一杯に迫ってきて、この先気分が悪くなったらどうしようかと案じたが、幸い静かなホノボノとした映画だったこともあり、ホノボノとした気分のまま静かに見終わることができた。 まさこさん(もたいまさこ)が素敵だった。 -- 夜。初めて『●角』というところへ行って肉を食べる。がっ、『●角』は焼き肉屋さんでありながらロースはおいていない焼き肉屋さんなのだということを初めて知り、ショックを受ける。いつから、どうして、焼き肉=カルビが主役になってしまったのだろう。同じくロース派の同志であるゲンコツ山も、うつむいたまま、ただ黙々とカルビを焼いては食していている。 そのうえ悪いことに、少したのみ過ぎてしまった。肉も多かったけれど、ごはんものが余計だった。ゲンコツ山は、出された食事は残さず食べる主義だとかで、がむしゃらに箸を口元へ運んでいる。が、何やら顔つきがコワくなってきていたので、無理しなさんなと止めた。炭火の熱気と肉の脂で“ケダモノ”の異名を持つ私もぐったりだ。
「次はちゃんと銀色のお皿にヒラヒラのロースが載ってくるところへ行こうね、カルビ食堂じゃなくてね」と、カモメ食堂にかけて言ったつもりだったんだけど、ゲンコツ山は小さな声で生真面目に、「ハイ」と答えただけだった。
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