Leonna's Anahori Journal
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大晦日、か。
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つい数週間前まで、韓国へ行ったのが今年のことだとは思えなかった。それはかなり以前に過ぎ去った、所謂過去のことであって、どう考えても丸一年以上前のこととしか思えなかった。
それが、父が亡くなり仕事に戻った途端に、ダラリと伸び切っていた一年間がぎゅっと詰まった感じになって、手品のように365日のなかに納まってしまった。実に実に、いろいろなことがあった一年だった。(実際は、ただ節操なくバタバタしていただけという気もするけれど)
そのバタバタの軌跡を簡単に記すと、韓国・韓国・心斎橋・香港・ミュンヘン・ヴェネチア、ということになる。
この間面白かったのは、気まぐれにあっちの国を好きになったりこっちの都市に入れあげたり(つまり浮気)したのではなくて、しっかりそれぞれが好きになったということ。自分の中のチャンネルが増えたのだ。そして、日本、韓国、中国はゆるいくくりの中ではやっぱり一緒なんだよ、あたしら逆立ちしても東洋人なんだよ、と思うようにもなった。
このめまぐるしい移動の最中、香港とミュンヘンの間に仕事を辞めて昼夜逆転の無為の日々(約3ヶ月)が挟まるのだから、ま、長く感じるのも無理ないか。 -- 今年の2月に韓国を訪れてから夏の終わり頃までは、マイライフ、ベッタリ韓流アワーであって、聴く音楽もRAIN(ピ)を中心に韓国のものばかりだった。それが、年末のいまではすっかり欧米帰りしてしまっている。
それで、今年よく聴いたアルバムはというと、秋くらいまではダントツ“IT'S RAINING”by RAIN だが、その後は“Urban Hymns" by The Verve(とっくに解散)と “JULIEN" by Julien Clerc(老年フレンチ)ばかり聴いていて、ごく最近これに“THE DOOR IN THE FLOOR”のサントラが加わった。あ、あと OASIS ね。
しかし、今年ほど一枚のアルバム、またその中のただ一曲に耽溺して、ほとんどすがるようにして聴き続けた年というのもちょっとない。RAINの“For you”とヴァーヴの“Sonnet”“Space and Time”は、軽く300回ずつくらいは聴いているのではないか。つまり常にそういう心境でいたのだろう、その一曲がなければ私はダメになってしまうんだ、というような。 -- 次に、読んだ本のベストスリーを。 「上海キャンディ」棉棉 「神様がくれた指」佐藤多佳子 「ヤスケンの海」村松友視 以上、一等賞(上海キャンディ)から順番に三位まで。このほかに別格として、アーヴィングの「未亡人の一年」が入る。 「上海キャンディ」の作者、棉棉は中国人女性で、棉棉と書いて“ミェンミェン”と読む。私はこの無惨な青春の物語と、自分の生き方によって自らズタズタになりながら、そういう生き方しか出来ない棉棉という作家に激しいシンパシィを覚える。
私はどんなに自分の好きな作家にでも、会ってみたいと思ったことはないのだが(遠まきに見てみたい位ならなくもないが)、この棉棉というひとには会ってみたい気がする。
真夜中、皆がお酒を飲んでいる暗い場所で、一滴の酒も飲まずにペリエかなにかを前に置いて、うんざりしたような顔で(サングラスの奥から)こちらを睨みつけている棉棉女史の視線の先に自らをさらしてみたいという、ほとんどマゾヒスティックな願望を抱いているのだ(笑)。
…と、此処から先は(ほかの数冊についても)読穴に感想文のかたちで書くべきでしょうね、やはり。 --
そろそろ年も明けるようです。
それでは、皆さま、今年はこのへんで。ごきげんよう。
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