Leonna's Anahori Journal
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2005年07月12日(火) |
Map of the Human Soul |
朝6時、不思議な空間が出現した。
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朝5時半に目が覚めたりしたのは昨晩11時過ぎに寝てしまったからで、それは早寝(23時就寝は私にとっては異例の早寝)しようと思ってしたのではなく電車の中で立ったまま眠ってしまうくらい疲れていたからで、要するに起きていられなくて寝たというだけのことだった。
23時就寝も異例なら、朝5時半起床も異例中の異例で、それこそ旅行に出かけるとか何とか、嫌でも起きなければならない理由なしに、こんなことはありえない。(通常5時半といったら私にとっては深夜である)
しかも、なぜか、馬鹿にすっきりしているのだ、頭が。それで二度寝もせずに起きだして洗濯機を回し、洗い上がるまでの間にお風呂に入った。そうして、風呂から上がって洗濯物を干すとき、何の気なしに、香港で受け取ったEPIK HIGHのアルバム"Map of the Human Soul"をかけたのだった。 -- 夜は明けていたけれど曇天で、いわゆる朝の光というようなものはない。ダイニングテーブルの脇に物干用のスタンドを出して、庭に面したサッシを開けるとひんやりとした空気が心地よかった。そうして、そこへEPIK HIGHの音楽が流れてきたのだ。すると、空間に、異様な調和が訪れた。
朝と曇天とひんやりと濡れた洗濯物と庭の植物が、完全な調和を保って私の周りに在った。この感じはかなり昔、まだ子供の頃に経験したことがあるようも思ったが、時間に過去と現在の区別がなく大きなひとかたまりになっているので、懐かしいというような感情は湧いてこない。
そういえば最近は、今が此処にあって(あちら側に)過去があって(向こう側に)未来があるというような時間についての考え方(感じ方)をしなくなった。過去が懐かしいとか、未来への希望とか、以前に持っていた感じ方のパターンが急に陳腐なものになってしまった。いまの私にとっては、過去も今だし、未来も現在なのだ。
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洗濯物を干しながら、私はしきりに香港はソーホーのカフェのことを思い出していた。香港の曇り空の下、客などいてもいなくてもかまわない、関係ないという風情で小路に向かって開いていた暗闇カフェのことを。
暗闇カフェとは私が勝手につけた名前だ。黒い木製テーブルが並んだ店内は、路に面した箇所には壁もドアもなく、したがって自然光で明るい。真ん中あたりはまっ暗で、さらにその奥に小さな明かりが灯っていて、あるかなしかの人の気配が感じられる。私は一目でその店が気に入り、座って休んでいこうかどうしようかと迷いながら、結局通り過ぎてしまったのだ。
その誰もいないカフェに、"Map of the Human Soul"が流れていたらどんなに素敵だろう。私は妙にすっきりした頭で、いますぐ香港へ行きたい、と思った。別にノスタルジーではないのだ。ただあまりにも暗闇カフェのことが生々しく思い出される(音楽のせいだ)ので、そんな気持ちになっただけだ。
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EPIK HIGHは2MC、1DJと表現されるユニットで、要するにこれまで私がほとんど聴かずにきた類いの音楽。小柄で、小さな顔にいつもちょっと怒ったような表情を浮かべているTabloは、聞けばスタンフォード大大学院、英文学科主席卒業という秀才クンだとか。そのtablo、「リリックなら自分たちが韓国で一番だ」と言ってはばからないそうだが、残念ながら私には彼らの言葉がひとこともわからない(ゴメンチャイ)。
それでも、なんだか訳がわからなくなるくらいかっこよいのだ"Map of the Human Soul"は。一番の特徴はひやっとした手触り。でもそこに流れている感情は手触りとは裏腹に、けっこうエモーショナルだ(と感じる)。いずれにしても、とにかく、この音楽は空間を出現させる。
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