Leonna's Anahori Journal
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2005年03月04日(金) 韓国の住宅事情

予報通り雪になった。

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韓国は寒かった。ソウル市内でも普通に氷点下である。空気がビシッと引き締まっている。そういうソウルで、いつもと同じ服装(上はさすがにウールのロングコートだが、中は薄手のセーター1枚とジーンズ)で飛び回っていられたのは、一に旅行者の高揚と緊張感、二に寒い土地ゆえ建物内の暖房が行き届いていたこと、最後は冬生まれの私の生来の寒い所好き、このみっつの賜物であろう。

建物のなかが暖かいと書いたけれど、特に韓国にはオンドルという床暖房の文化がある。私がお世話になった通訳のチエちゃん一家が暮らすマンションも全館床暖房完備(集中管理で強弱のみ各戸で調節する)で、一歩家の中へ入れば暑さ寒さを忘れて楽に過ごすことができた。3LDK、120平米超の広い空間でも、ヒーターやストーブ等の補助暖房はいっさい使っていない。

3LDK、120平米ときいて「広いな」と思うひとがいるかもしれない。が、チエちゃんによれば「家族で暮らすならこれくらいは当たり前」だそうで、70平米位の日本の狭小3DKサイズは、韓国では「ひとり暮らしか、本当に結婚したての新婚さんの住まい」だそうだ。

さらに、これは私も知らなかったのだが、韓国は地震のない国なので、日本に比べて建築基準法のしばりが緩やか。マンションは通常18階建てで、日本ではバルコニーを作る部分にもガラス戸を立てて居中部分として使用することができる。そのガラス戸もアールのついたデザイン性の高いものが多く、その結果、普通のマンションでありながら瀟洒なガラスの塔のごとき建物が出来上がる。

チエちゃんのお家はソウルからクルマで小一時間の郊外、京畿道(キョンギドウ)地方だが、まさしく18階建てマンションの最上階、角部屋で、二十畳の居間にはきれいな曲面ガラスのハイウィンドウ。その隣部屋、十数畳はあろうかというDKにはL字型のフルキッチンが入っていた。

さらに、キッチンの外側には、床はタイル張りで腰高窓のめぐらされたサンルーム状の空間があり、ここにはクッキングヒーターやキムチ冷蔵庫、ドラム式の洗濯機などが整然と置かれていた。なぜガスレンジとは別にクッキングヒーターが外にあるのかというと、半日以上かけて煮込むような料理を作るとき匂いなどが室内にこもるのを避けるためだそうだ。ふ〜ん。

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チエちゃんの家では夕食後、みんなで揃って居間でTVドラマを観たのだが、そのTVが、またデカイ。畳くらいの大きさのフラット画面(90×150センチ位かな?)がパネルにはまっていて、日本ではこういうのをホームシアターと呼んだりするのではないか。また、そのTVを観るときに腰を下ろすソファもアメリカンサイズで奥行きがあるから、私のようなチビは座面におちゃんこ座りをすることになる。

アメリカンサイズと書いたけれど、韓国の人は日本人に比べて体格が良いからそのせいもあるのか、韓国の家具は総じて大きく、そして高級感がある。私も一度、お母さんに頼まれて家具店へ行くというチエちゃんにくっついて家具屋街へ行ったのだけれども、それらは家具店というよりは高級家具のショールームといった風情で、どの店も天然木を使った上品でクラシカルなソファやダイニングセットがきれいにディスプレイされていた。

以前東京で暮らしたことのあるチエちゃんは、「でも私、日本の部屋も好きですよ。モダンだし、何でも小さくて可愛くて。」というのだが、しかし「でももし私が日本人と結婚して日本に住むことになったとしたら、わたしダンナさんに頼んで家具は韓国で買って、船で運んでもらいます。」だそうだ。(そりゃそうだよなぁ。うーむ)

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いま、雪の降るニッポンは首都圏地方の小さな木造タウンハウスにいて、もちろんソウルの、あの縛り上げられるような寒さに比べれば大した寒さではないのだが、しかしこの何とも曖昧な薄ら寒さには違和感を覚える。

ソウルで、今日はマイナス5度です、今日はマイナス16度(!)まで下がりますと脅かされて、ある時点からはもう「とにかく寒い」としかわからなくなった。それでも元気に走り回っていた私だが、この日本の寒さには肩をすぼめ視線を落として歩いている。
 
 
 
 
 




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