Leonna's Anahori Journal
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2003年11月21日(金) 二日酔い

二日酔いと書いて「ふつかよい」と読む。
では、宿酔いと書いて何と読むか。これも「ふつかよい」と読むのだ。

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十代の頃、初めて「宿酔い」と書かれた文章を読んで、てっきり余所の家に泊まった翌朝の、一瞬どこにいるのか分からない感じが「宿酔い=やどよい」だと思いこんでしまった。

なぜなら、私が読んだのは中原中也の恋愛について書かれた文章で、彼と親友の小林秀雄と長谷川泰子(この三人の三角関係は有名)が、ひとつ部屋で並んで寝ているところだったから。

中原中也が友人の部屋で目を覚ますと、雨戸に開いた小さな節穴から朝の光がさしこんでいてその中を細かいほこりが舞っている、という場面。“宿酔いの朦朧とした頭のまま、中也はそのほこりを眺めていた”とかなんとか、そんな文章を読んだ私は、あー、よそんちに泊まると確かにそういうことってあるよねと勝手に思いこんでしまったのだ。(だってまだ高校生だったんだもん)

その後も数年間は「宿酔い=やどよい」だと思いこんでいた。
宿酔い=二日酔いだと知ったのは、たしか内田百鬼園を読んでいてだったと思うのだが、詳しいことは忘れてしまった。ただ、宿酔いが宿(自宅以外の場所に泊まること)と一切関係ないと知り、大変ショックだったことだけは覚えている。

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さて。なぜ、こんなことを書いたのかといえば。それは、今日私が久々の二日酔いに呻吟していたからだ。昨晩、樽酒のボージョレー・ヌーボーを飲みに行かないかと誘われて、つい飲み過ぎてしまった。

確かにデ・ブッフの上物で、旨いワインではあったのだ。安い瓶のデ・ブッフとはまるで違っていた。それを飲みながら、隣にいたブラジル人の夫婦と、怪しげな英語でサッカーの話をした。

ブラジルのサッカーはどこの国のサッカーとも違って、特別な楽しさがありますね。イエ〜イ。なんだろうあの楽しさは。リズムかな。オーイエ、オーイエー。ところでベッカムのことはどう思う。彼は堕落しました。足ではなくて顔で儲けてる。イエ〜イ、イエ〜イ! ……

そうして気が付くと、私は彼と彼女に向かってファン・ロマン・リケルメの話なんかしていたのだ。アイタタタァ。リケルメはブラジルの宿敵アルゼンチンの選手じゃないか。人選、完全に間違ってる。(この時点でもうアカンと知るべきだった)

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そして実感する、言葉の真の意味。「宿酔い」とは「やどりよい」、つまり、酔いが体内に宿るということを言った言葉だろう。いまの私にはそのことが痛いくらいによくわかるのだ(ううううう…)

しかしなぁ。ウィスキーやウォッカならまだしも、ワインの新酒で二日酔いとは情けない。こんなことなら、もうお酒はやめた方がよいのではないか。
 
 
(ううう、決めました。私、断酒します)
 
 


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