Leonna's Anahori Journal
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夜。
帰宅したらポストにかたくて大きな封筒が入っていた。bk1からのメール便だ。何か頼んだっけと思いながら開けたら『気ままに フロム ヨーロッパ』(木立玲子著)という本が出てきた。
あ、そうか。木立さんの本か。頼んだ頼んだ。ほんの二、三日前に注文したばかりなのにもう忘れてた。やっぱり購入本や頂き物等、新しく本を手に入れたときには、備忘録としてそのつどジャーナルに書いておかないとダメだ。
実はこの間も同じ本をダブって購入しそうになったばかりなのだ。開高健の『輝ける闇』を読み終えたとき、危うく駅前の書店へ『夏の闇』を買いに行きそうになった。『夏の闇』ならこの前、銀座でクルミ嬢と会ったときに、有楽町の三省堂で買ってきてあったのに…(自分で自分が信じられない)
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『気ままに フロム ヨーロッパ』の著者、木立玲子さんの書いたものは、以前よく夕刊の文化欄で読んでいた。たしか「欧州通信」というタイトルの連載も持っていらしたし、単発のコンサート記事なども書かれていたように思う。
たとえば、映画『ラ・パロマ』に主演した伝説的歌手イングリット・カーフェンについては木立さんの記事で初めて知った。カーフェンはドイツ人でディートリッヒの再来といわれた人だが、アウシュビッツを阻止できなかったドイツ文化に絶望し、その絶望から這い上がるためにパリに移住したのだという。
そのカーフェンが一昨年の二月、シャンゼリゼ通りのロンポワン劇場の舞台に立った。実に22年ぶりの舞台。開場1時間前に会場に着いてみると、地下のバーは立錐の余地もないほどの混みようで、その中には仏学士院会員に選ばれたばかりのジャンヌ・モローや、歌手のムスタキ、作家のフィリップ・ソレルスなどそうそうたる面々が集っていたそうだ。
「それらの人々が皆、ファンとして会場に足を運んだことは表情からも読みとれた」と書く木立さんの記事を、何かまぶしいものを見るような思いでドキドキしながら読んだことを思い出す。
-- 木立さんのことを、いわゆる“ライター”としか認識していなかった私なのだが、今回初めて彼女がフランス国営国際ラジオ局で日本向けのヨーロッパ情報番組の制作を担当していたのだと知った。なるほど、通りで切り口がジャーナリスティックだし、特に音楽には詳しい訳だ。
ちなみに、この木立さんの新刊のことは、先日のファンホ・ドミンゲスのコンサート会場で知った。出版元のラティーナという会社は、コンサートの主催者(ドミンゲスの招聘元)でもあったのだ。
ヨーロッパの音楽は商業主義とは別のところで混血が進んでいるところが面白い。いわゆる“ワールド・ミュージック”に、意図せずしてなってしまう、というところが。おそらくこの新刊も昨今の国際情勢を背景とした(せざるを得ない)欧州のミュージックシーンについて多くのことを教えてくれるのだと思う。楽しみだ。
(でもいまはまだ開高健だ。まったりとした『夏の闇』の真っ最中だ)
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