Leonna's Anahori Journal
DiaryINDEX|past|will
2003年01月24日(金) |
とびきりの現代英米小説 |
夕方。電車の窓の外にひろがる空が、特別青い。 きのうの雨で、汚れをきれいさっぱり洗い流したような空の色。
--
金子光晴の『ねむれ巴里』を読み終わって、いまは柴田元幸訳『夜の姉妹団〜とびきりの現代英米小説14篇』を読んでいるところだ。
まず最後(14篇目)に収録されたウィル・セルフ『北ロンドン死者の書』を読み、それからあとは先頭のスティーブン・ミルハウザー『夜の姉妹団』に戻って収録順に読んでいる。
『北ロンドン死者の書』は荒唐無稽で面白いとしか書きようがない。『夜の姉妹団』では、あーミルハウザーってこういうかんじなのかーと諒解。レベッカ・ブラウン『結婚の悦び』にはまるで前衛派の具象絵みたいな緊張感が。 少し恐かったのはジョン・クロウリー『古代の遺物』という作品で、これ、もし原書(つまり英語)でダイレクトに読んだら、もっと薄ら寒いような何とも知れない気味悪さが際立って感じられたんじゃないかと思う。
『シャボン玉の幾何学と叶わぬ恋』のレベッカ・ゴールドスタイン、こういうスタイルの女の小説家って日本にはいなんじゃないかな。わくわくもドキドキもしんみりもしないんだけど、なぜかとても好きだった。どんな顔してるのかちょっと見てみたい小説家。 逆に、ドナルド・バーセルミは面白すぎて楽しめない(こんなこと書くとバーセルミファンから叱れれますか?)。きっとバーセルミって読者以上に、翻訳家が翻訳していて楽しめる作家なのでしょうね。
と、まあ、こうして英米の奇妙な味わいの掌編を読むのも、ひとつには金子光晴の自伝三部作(の内のあと二冊)を読むまえの“箸休め”的意味があるわけでして。結局買ってしまったんですよね『どくろ杯』と『西ひがし』も。『ねむれ巴里』のこと、あんなに不快だって怒ってたのにな。
まったくもって、詩人侮るべからず。いまや私、良いお客さんになり果てました。
|