Leonna's Anahori Journal
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朝5時おきで、静岡県の函南霊園へ出かける。十年前に37歳で亡くなった友人のお墓参り。私は十年前の葬儀に出席しておらず、そのことがうっすらと気になり続けてもいたので、お墓参りの話があったときは、一も二もなく「行く」と返事した。
6時に電話が鳴って、マンション前に止まっているS氏運転のクルマに乗り込んだ。このあと都内に住むTちゃんとK子をピックアップして、昼前には韮山のお墓に着くことが出来た。霊園はなだらかな山懐のおだやかな景色の中にあって、そばを流れる川のせせらぎの音が聞こえてきた。
お墓のそうじをしてお線香をあげ、途中で買ってきたワインをコップに注いで供える。お酒の好きな男だったのだ。それから私たちもワインを注いで、お墓の前で立ち飲みしながら思い出話などした。
私たちはみな同年代で、私とTちゃんは同い年、K子とS氏は一歳下だ。S氏と私は今日が初対面だったのだがすぐにうち解けて、楽しく話が弾んだ。初めて聞く、S氏の故人をめぐる思い出話でさえもがなつかしく感じられるのが不思議であり、心地良くもあった。
小一時間も立ち話をしたあと、私たちは「ありがとう」「また来る」などと墓に声をかけて霊園をあとにした。「ありがとう」と言ったのは私で、それは亡くなってから十年もたって、こんな楽しい時間とH氏という新しい知己を与えてくれた死者に対する感謝の言葉だった。
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墓参りのあと、手打ち蕎麦屋で昼食をとり、“日帰り入浴”の看板に誘われるまま、韮山の温泉につかってから帰途に就いた。
静岡〜神奈川〜東京〜千葉と帰る途中、どこかで渋滞につかまることを覚悟していたのだが、クルマの流れはまったくつかえることなく、スイスイと、朝と同じマンションの前まで帰ってきた。
ホリ、ありがとな。またみんなで会いに行くよ。
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