Leonna's Anahori Journal
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2002年12月20日(金) |
古書展と古書店街で本を漁る |
とんでもない古本の当たり日だったのだ、今日は。
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神保町へ出て古本屋二、三件ひやかしてから帰るつもりが某ビル前『古書展開催中 七階』の看板にひっかかる。せっかくだからこれ見てから行くかと、エレベーターで七階へ上がった。
で、一周見て回るだけのつもりが、結局ここで写真集も含めて六冊の本を買ってしまう。大判本もあり、とてもじゃないがこれを提げて古書店巡りなんかできない。お金を払い、買った本は預かってもらって外へ出た。古書展での買い物は以下の通り。(グールドのはA4変形の写真集で、一頁に一枚の写真がレイアウトされている。この写真集と『私の食物誌』(函入り単行本)だけは誰にも渡したくなかった)
・『GLENN GOULD 写真による組曲』 ・『「短歌 昭和52年7月臨時増刊号 現代短歌のすべて』 ・吉田健一『私の食物誌』 ・奥野健男『島尾敏雄』 ・松村 剛『評伝 アンドレ・マルロオ』 ・デュラス/ミシェル・ポルト『マルグリット・デュラスの世界』 ランチと、せいぜい古本二、三冊のつもりで大したお金も持たずに出てきた私は、この時点で手元不如意に陥ったが通りに出ると、直ぐ先の交差点の角に、私のキャッシュカードと同じ色をした看板がもう見えている。怖ろしい街だ。しかし本当に怖ろしいのは街だろうか? 「身の丈を超える買い物はしないこと。一線を感じたら迷わず引き返すこと」。そう自分に言い聞かせながら私は午後の古書店街へと入って行った。
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果たして、私は馬鹿な買い物はしなかった。全集本の誘惑にもうち勝った。 そのかわり神保町にいる間中、私は、本当は森にキノコ狩りに来たのだけれど、敢えて散歩に来ただけのふりをしながらキノコのありそうな場所に来ると目を細め小鼻をピクピクさせる変なヒト、みたいになっていたかもしれない。
神保町の古書店で買ったのは以下の吉田本四冊。勿論単行本で初版本もあるが、私はコレクターではないのでこれはあまり関係ない。読むのに支障無いコンディションならばそれで良いのだ。だから、比較的状態が良い本ばかりともなれば、これはもう大当たりなのである。
・吉田健一『舌鼓ところどころ』 ・ 〃 『日本のよさ』 ・ 〃 『新編 三文紳士』 ・ 〃 『ヨオロッパの人間』 --
勇んで買ったはいいけれど、重たいことは重たい。クルマか、誰か荷物をもってくれる人がほしい。
そういえば昨日訪れた経堂駅の前には、植草甚一さんが生前長く住んだマンションがある。古本屋巡りの達人だった植草さんは、ニューヨークで古本屋巡りをするとき、まだ子供の黒人の男の子を雇って買った本を運ばせた。そしてホテルを二部屋とって片方の部屋に買い集めた古本を置いていたと聞く。白い蓬髪とヒゲ、ヒップな出で立ちで黒人少年を連れ歩く植草老人を、ニューヨークの人たちは“アジアのミリオネア”と噂したそうだ。・・・・
-- 帰ってから、買った本を体重計にのせてみたら全部で6キロくらいあった。植草さんのディガー(digger)ぶりに比べたら無に等しいような数字ではあるけれど、それでもそれは、チマリスにとっては充足感と疲労感をもたらすのに十分な数字だった。
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