Leonna's Anahori Journal
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2002年04月19日(金) ジャン-ルー・ダバディ氏をめぐる冒険(1)

お天気になった。風もやんだし。ここぞとばかりに布団を干す。

夕方、眼科へかかりに外出。
デイジーのアーティストによるコンピレーションアルバム“Strange Flowers Vol.1”を買って帰る。ジャンルの特定しづらいCDなので、あちこち探してもなかなか見つからず、医者にかかっているあいだにお店の人に探しておいてもらった。

そのあと書店で吉田健一の本を買おうと思ったら、一冊も置いていない。これは事前に調べておいて、中公、ちくま、講談社文芸と文庫本の棚を順番にみてまわったのだが、見つからなかった。残念。しかたなく別の本を買って帰る。

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サッカー日本代表監督の通訳兼パーソナルアシスタントといば、フローラン・ダバディ氏である。彼は映画雑誌『プレミア』日本語版の編集者でもあるが、去年初の著書『「タンポポの国」の中の私』を出した。昨年暮れだったか、私はこの本を立ち読みしていて驚きのあまり思わずエッと声をあげそうになってしまった。なぜか。

彼のお父さんはジャン-ルー・ダバディといってフランスではとても有名な脚本家だという。さらに、父上は最近ではクロード・ソーテ監督と共に『ギャルソン!』という映画を手がけたが、これは日本では好意的に迎えられたものの、本国フランスでは興行的に失敗。以降、あまり表立った活動はしなくなってしまった、というようなことが書かれていたからだ。

イヴ・モンタン主演の『ギャルソン!』は、私の大好きな映画である。この十数年間に観た映画の中でもベスト3に入る作品。モンタンの口八丁のプレイボーイぶりが、面白うてやがて悲しき物語。人生で手に入れたいものはたくさんあるけれど、実際に手に入れられるものの数は限られている。若い頃は時間(未来)は無限にあると思っていたけれど、どうやらまったくそうではないと気付いたときに、ひとは何を得ようとし何を失う覚悟をきめるのか…というような事を描いた“大人”の映画。しかし、この脚本を書いたのがBF氏ことF・ダバディのお父さんだったとは!

さらに本には、お父上は作詞も多く手がけていて有名なところではミッシェル・ポルナレフにも詞を提供したことがある、とも書かれていた。う〜ん、これまたど真ん中を突かれちゃったなあ、ポルナレフだってさ…

あとから調べてみると、ジャン-ルー・ダバディ氏はクロード・ソーテやトリュフォー作品のホンを多く手がけており、前者では『夕なぎ』を、後者では『私のように美しい娘』を監督と共同で書いている。
…はぁ〜、これはスゴイや。お父さん、有名なはずだわ!
でも気の毒だなあ、『ギャルソン!』が評価されなかったっていうのは。私はあの作品からたくさんの事を学んだ。私にとっては、あれは一生忘れられない、そして私の人生に直接影響を与える一本でしたよ、ダバディさん。そんなことを思っていると、なんだか胸の奥がカ〜ッと熱くなってくるのだった。


ところで。ミッシェル・ポルナレフについては、去年買った初期のヒット集“LOVE ME,PLEASE LOVE ME”で調べてみたのだが、残念ながらクレジットにジャン-ルー・ダバディ氏の名前は見あたらなかった。ポルナレフは国民的な歌手で楽曲数も多いし、70年代以降にコンビを組んだのかもしれない。そう思いながら歌詞カードをしまい、ケースをCDの棚へ戻したのだった。

以下、後半につづく



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