わんぱくルンバの冒険日記

2002年09月27日(金) ウェイター

 保育園にお迎えに行ったら、教室に残っている子4人ほどと先生が、小さな机を囲んでおままごとをしている最中だった。机の上にはマグカップやお皿が並べられている。そしてルンバはまた、真剣な顔つきで給仕にいそしんでいた。ペットボトルを持って「どーじょ」と皆のマグカップに注いでまわっているのだ。そんなにしょっちゅう外食しているわけじゃなし、ウェイターの姿なんてそれほど見てはいないと思うのだけれど、なんだろう? 彼のDNAにはすでにウェイターのプログラムが組み込まれているのだろうか。

 とにかく遊びに集中し過ぎて、先生が「ママ来たよ」と言っても気付かない。皆が乾杯するのに参加しようと顔をあげて、ようやく私の姿に気づく。それでもすぐには帰ろうとしない。よほど、おままごとが好きらしい。

 しかし外は雨が降り出して来たところで、大降りになるかどうかの瀬戸際。早く帰らないと、ずぶ濡れになってしまう。
「ルンバくん、帰ろうよー」
 誘うと、やっとその気になってくれたらしい。
 お茶碗やお皿をせっせと重ねて、すぐ横のカラーボックスに片付けはじめた。

 カラーボックスはそれぞれの段ごとに、しまう物が決まっている。ペットボトルやお皿、おわんなど、それぞれをしまう場所にイラストが貼ってあった。

 様子を見ていると、ルンバは一旦ちがう場所に食器をしまった後、正しい場所にしまい直している。それがほとんど正解なのだ。こんな高度な片付け、できるの?! なんだか母は驚かされてばかり。しかも先生に、
「ルンバくんはお片付けが上手ですよね。おもちゃもいつも上手に片付けてくれるんですよ」
 と言われて2度ビックリ。

 いつの間に片付け上手になった? ルンバ。
 家では散らかす一方で、床いっぱいに広げられた玩具を私が片付けていたって素知らぬフリのくせに。なんだか保育園ではすごく良い子にしているというか、猫をかぶっているというか…。私のおだてが足りないのだろうか。

 なんて考えている間にも、ルンバはまるで何かに取りつかれたかのように片付けまくっている。挙げ句の果てに、お友だちがまだ食べているつもりのお皿までドンドンドンドン重ねはじめ、
「いや、ボクまだ食べているんですけどー」
 と必死でお皿をおさえて抵抗されても、
「スミマセンねえ、もう店じまいだもんで」
 といじわるウェイターさながらに強引に片付けてしまっていた。

 なぜ、そこまでして片付けるのだ、息子よ…。
 そしてなぜ、家では片付けようとしないのだ、息子よ。

 新たな成長の一面を見たことに嬉しいやら不可解やら、ちょっぴり複雑な心境で帰途についた1日であった。


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