アスペルが退職するらしいと聞いたのは、昨日の事故担当会議終了後、世田谷の事故担の元上司を送ったときのこと。 おいらがいなくなってから一ヶ月の間に、結構壮絶なバトルがあったらしい。
所長と事故担上司と募集担当上司の三人で、今後アスペルの処遇について話し合ったらしい。 今までは、変な話すべておいらのところに負担がきていたわけだが、そのおいらがいなくなったがゆえに、アスペルの負担が全員に満遍なく襲い掛かっているそうなのだ。
ちなみに、営業所での諸上司の立ち位置、過去の環境について、簡単に書いておくと。
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所長:かつて世田谷にいて、半年だけアスペルと仕事をしている。その後、ほかの営業所に移り、アスペルのできの悪さはうわさには伝え聞いているが、それほど深刻な問題だとは思っていなかった。おいらがアスペルのフォローをした結果、おいらが怒られた回数は数知れずだが、最近、アスペルが問題の張本人だと思ってき始めている。そこにきて、全体会議で社長の前でアスペルが爆睡したことで、所長は完全にアスペルを問題視、一挙手一投足を注視するようになってきた。
事故担上司:おいらより、アスペルと長い間仕事をしている。最初は飲みに誘ったりして、一生懸命アスペルを鍛えようとしていたが、三年たってもまったく変わらず、彼は自分なりの後輩育成方法に答えてくれないアスペルを裏切り者だと思い始めている(彼なりの後輩育成方法で、彼は何人ものホテルマンを育てている。育て方自体はおいらにはまねはできないが、間違っているものではないとはおもう)。
募集担当上司:かつては所長の師匠であった人。諸事情とって引責降格をしているが、その事務処理能力に対しての周囲からの信頼は厚く、おいらもよく質問させていただいております。また、事故担介しての所長昇格もあるんじゃないの?ただ、アスペルとは初顔合わせになるが、すでに、社会人として育てることには限界を感じている。
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事故担上司は、「アスペルは今すぐにでもやめさせて別の人間を補充するべきだ」と主張。 所長は「部長より、アスペルはよその営業所に移動させることは無理なので(物理的に通勤できないし、何より受け取る営業所がない)世田谷で何とかしてほしい」との要望を受けていると報告。(部長、無責任すぎだ!) そこで、たまたま外回りをしていたアスペルが戻ってきたので、なんとなく、所長が話を振ったらしい。 「今後お前はどうしたいのか(事故担経験して上を目指すのか、あるいは別の方面でがんばっていくのか、というニュアンス)」 そこで、アスペルは例のごとく、不慮の質問で「あうあうあうあう」とどもっているので、事故担上司がブチきれてしまった。
「何で質問に答えられないんだ! そもそもお前はこの会社に入って何をがんばってきたんだ、言ってみろ!」
そこで、アスペルも「配車をがんばった」とか「今の庶務をがんばっています」とか言えばいいものを
「営業車のステッカー張りをがんばりました」
って……、何やねん。 いわばステッカー貼りってのは、タコチャート紙がえとか、最初何にもできない新人が、仕事を覚えながらほかの人の手伝いをするという意味でやる仕事。もちろん、それが貼ってあるのは重要なことなんだが、それだって自分で率先してやったことなどおいらの知っている限りでは一度もない。 三年間仕事してて、一番がんばったのがそれかい。しかも、そのがんばり方が、他の人に貼り替えを指示されてからってのはどんなやねん もっと、重責の仕事を任されたこともあるんだから(結果周囲からの不満が噴出してはずされたが)そっちをよりがんばればいいのに、何でいまさらそれを。 事故担上司、さらにキレる。
「ふざけんじゃねぇ! はっきりいってやろうか。お前は入社して営業所にプラスになるようなことは何一つやってねぇんだよ! ステッカー貼ったにしたって張り間違いばかりで、何人の人間が修正したと思ってるんだ。お前なんかもういらん、やめちまえ」
そりゃきれます。 おいらだって同じ立場だったら、きれてると思う。 けど、おいらはもっと早くに見切りをつけ、やつにやらせた仕事をほうっておいたらあとで絶対問題になる、と思い、問題になるミスは事前につぶしていた。それゆえめちゃくちゃ体と心が痛んだんですが。
「わかりました。辞めます」
というアスペル。 ただ、その辞める時期についても、具体的には言わない。 険悪な雰囲気になってきたところで、所長はあわてて止める。
「辞めるにしたって、今すぐといっても、お前をすぐ雇ってくれる会社なんかありゃしないんだから、とりあえずGWは三連休あげるから、実家に戻って親兄弟と相談してきな。結論はその後でだせばいい。辞めるんなら、一段落して12月とかにしたらどうだ」
とりあえず、落としどころを探し、一度話をまとめに入った所長。 そのときはそれで済んだらしい。
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GWで三連休取得後、何事もなく出勤するアスペルを見て、事故担上司がたずねる 「残るのか、辞めるのか結論は出したのか?」 「出しました。退職します」 「で、それを所長に報告はしたのか?」 「してません」 「何でしないんだ」 「あうあうあう……」
で、きれる上司。 なんでこれだけ重要なことを誰にも報告せず、それでのうのうと仕事しようとしてるのか。結論を出したんなら、報告をするのが筋じゃないのか。 報告をすれば、それなりに所長も配置等々考える。
「退職します、だぁ? なら、退職届は持ってきたのか?」 「持ってきていません」 「家にあるのか?」 「まだ書いていません。12月に辞めるのであれば、そのとき言えばいいのかと思って……」
事故担上司、爆発。 半年以上前から辞めるとわかっている人間に、重要な仕事を預けるわけにはいかないだろう。どうせ辞めるからいいや、と適当やられてもこまるわけだから。営業所運営のためにも、それは所長は知る義務がある。 簡単に辞めるなんて口にするな。退職届も持ってこれないような根性しやがって。もし、十二月に辞めるなら、十二月までの仕事は一生懸命するから、と一筆書いてきたらどうだ。それくらいの覚悟もってできないなら、今すぐ辞めろ。お前は体を持ってきているだけで何一つ仕事していないんだから、今まで会社にもらった給料すべて返済してからやめろ!
アスペル顔を真っ赤にしながら絶句。 けれども日々通勤しているそうです。
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そんなことがあったそうです。 でも、辞めるのかねえ。 ないとおもうな。
アスペルの毒はじわじわと広がっています。 っつか、アスペルも不憫だわ。
事故担の上司は、「おれ、いってることひどすぎるか?」ときく。 けど、おいらはもっと前から営業所の作業ローテーションからはずせと強く主張してきた。 やつはマイナス1労働力なので、もう一人増やしてくれ、と部長にも直談判してきた。 ところが、まったく部長は動く気配がなかった。 そして、おいらがいなくなって、別の方向からだめだしでて、初めて一人人を加える算段をし始めたらしいが、その情報もどうも白紙化したらしい。
もう、関係ないからいいじゃないか、と思う人もいるかもしれないが、世田谷で回らない仕事が、練馬に移ったおいらのところに飛び火し始めてきてるんだよね。 結局アスペルののろいは解けず、か?
障害者認定されない障害者のいる職場は、本当に不憫だと思う。 そして、その自覚がない本人も、本当にかわいそうだと思う。 まだ、障害者を隠すことを是としていた時代、家から出られない子供も多くいただろう。 貧乏であれば、真っ先に間引きの対象になっただろうが、金があればやはり養えてしまうから、その結果表に出られない闇の時代が続く。
障害者を排除しろ、消せ、といっているのではない。 周囲がそれをきちっと把握した上で、本人もそれを把握した上で、適材適所に配置し、自分の力で生活をしていく、のが本来の成熟した社会じゃないか、とおいらは思うんだけどねえ。
部長や会社、そして国にも少し考えてもらいたいな、と強く思っています。
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