おいらの営業所には、ちと障害者かな、と思うような彼がいる。 まあ、前の日記のも出てきてるけど。 ただ、悪人ではないので、仕事ではとってもたくさん迷惑をかけられるけど、みんな面倒を見ている感じだった。 ところが。 最近、所長からの糾弾も激しくなって(この所長、弱きをくじき強きを助けるところが大いにある……というか、営業所全体が、ミスが多いわけだが、そのミスの責任を彼を免罪符にして逃れている感は往々にしてある。まあ、大半彼のミスが原因なんだけど)、ストレスがたまってたのだろうか。 特にミスが増え始めた。
先日、部長との話し合いの場で、部長から『かれはどう?』という話を受けた。 頑張ってますよ、とは答えたが、その直後に提出した書類系一式が、ああ、これはもうというほどにミスだらけ。 しかも、書き違いとかそういうレベルではなく、何かをしようとして、突然やめた、というのが二十数か所。 やばいっしょ。
持ってくる人間のチェック責任よ、と釘は刺された。 けれども、同時に彼の話に言及する。 「ちょっと病的な部分があるような気がする、という話は営業所で、所長を除いてしてます(所長はべらべらいうんで、抜いてます)」 というと、そうだろうねー、という答え。 話していくうちに、双方から出た言葉がアスペルガー症候群。 どうやら、部長も所長にたくさん愚痴を言われていて、ただの仕事のやる気のない人間、とは片付けられないのがある、と部長も独自に調べていたらしい。
仕事に影響があまりに出るなら、やめさせるのも方法のひとつ。ただし、障害を理由にしてはやめさせられない。何か致命的なミスをまって、退職届を書かせる、か。
そんな言葉をちらりと聴き、もう、そんな風に話が進んでいるのか、と愕然となった。 大手企業なら、障害者を雇う枠があるという。 しかし、うちの会社にそんなものがあるわけがない。 表現は適当ではないかもしれないが、お味噌的な扱いで就業させる、わけにも行かないのだろう。
そして昨日。 所長が嬉々として、『アスペルガー症候群?』と聞いてきた。 発達障害、だって? ……なんであんた、そんなに嬉しそうなの? 部長も、立場上所長に言わなければならなかったのだろうが、ねえ。 なんか、この所長に話が伝わると、尾ひれと背びれと羽とうろこがオーラをまとって飛んでいきそうで、怖くて仕方ないんだけれど。 部長の言うように、(それも結構ひどいとは思うけれども)何かミスをまって責任を取って退職届を書かせるならまだしも、所長がべらべら『オフレコだよ』の接頭語とともにガス馬車御者とかに話をしては、彼の居場所がなくなってしまう。 実質、彼の追い出しだ。
営業所が回らなくなるのも問題だが、別の次元で苛めに近い扱いが発生するのも困り者。 人事課ですら、なぜ彼を取ったのか、という話が出るくらいだから、元々はわかっていたはず。 彼のためを思うなら、採用すべきではなかったのではないか。 彼を受け入れてくれる職場もあっただろうに。
起業して四十数年たつが、全く成熟しないうちの会社(うちの会社の業界)において、彼は酷なんではないか、と最近常に思う。 もともと、ガス馬車御者からの彼に対する無視は恒常的に行われていた。 からかわれて終わることもままあった。 しかし、それはまだかわいいレベルだった。 それが進んでしまうかもしれない可能性に、おいらも少しかかわっていると思うと、気が重い。
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