多治見にある「こども陶器博物館」この春「ディック・ブルーナ展」が3月20日から催されます。 そちらへの納入のための絵本が75種類入荷。伝票を書きながらこれまでじっくり読んだことのなかった講談社のミッフィーのおはなしを読んでみました。 『ミッフィーとメラニー』『ミッフィーのゆめ』『アリスおばさんのパーティー』『ボリスとあおいかさ』『ボリスとバーバラ』『こぐまのボリス』『ちいさなロッテ』『ちいさなふなのりのぼうけん』『ミッフィーのおばけごっこ』『ミッフィーどうしたの』『ミッフィーのおうち』『スナッフィーのあかちゃん』『ボリスのすてきなふね』『ボリスのやまのぼり』『ミッフィーのたのしいテント』『りんごちゃん』etc.etc. 以前、『ブルーナのすべて』でオランダの美術運動とのかかわりから福音館書店の「こどもがはじめてであうえほん」などに見られる限られた色での表現を試みたこと、その後、うさこちゃんに続くキャラクターを世に問うためにその原則から離れ茶やグレーを使いだしたことを知りました。 これらの色が「ボリス」などでどう使われているのかがわかりました。 ただ、ブルーナらしいブルーナと誰もが納得するのはやはりオレンジ、グリーン、ブルー、イエローの4色と輪郭線で背景や洋服、小物、建物や遊具、小物までを描いたものでしょう。 フリーハンドで描いたとは信じられないシンプルな、でも暖かな線、洗練されたデザイン。そのセンスが長年愛され続けたことにもうなずけます。 今日読んだ中では、『ミッフィーのゆめ』の構図の巧みなこと、シンプルな図柄を 生かすその配置が一番印象に残りました。 訳文の感じが長く親しんだ石井桃子さんの「うさこちゃん」と違うことに違和感があるのはいかんともしがたいのでしょうか。舟崎靖子さんや、角野栄子さんはきっとそれぞれのミッフィーのイメージを投影した訳文をつくられたのでしょうが、石井桃子さんの「うさこちゃん」のふんわりとして品格の漂うすっきりした文章を基準に据えてしまうとどうしてもちょっと違うという感じは否めないのです。
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