〜徒然なるままに〜
日々これ行き当たりばったり。
人生なるようにしかなりません。

それなりの努力は必要だけれども。

2007年09月22日(土) 富士急のお化け屋敷よりも怖かった話。

注意喚起も込めて。



最近仕事が忙しくて帰るのが遅くなってきた。
今月、一度も定時で帰ってません。
働いた分お給料もらえるから別にいーんだけど、もうちょっと何とかならんかな、と思案する今日この頃だったりします。

そんな昨日の金曜日、どっさりと渡された書類を見て「・・・20時?」と残業を覚悟。
姉さんも期日の迫った仕事がたんまりあったので、お互いを見て「・・・終わったら飲み行くか」となる。
実際二人ともほとんど飲まないのだが(笑)ストレスも溜まっていたのでぎゃーぎゃー言い合いたかったのだ。

居酒屋に行き、愚痴を言い合うサラリーマンたちの隣にて。
やれあの仕事のやり方はおかしいだのもうちょっと考え方があるだろうなど、仕事や働き方についてあれこれ語り合うその姿は女二人組にしてはむしろおかしくないか、と途中ではっとするくらい、仕事の話に終始した。
ちょっとひとり問いつめたい役席がいたので電話で呼び出したろうかと思うくらいに仕事の話しかしなかった。(笑)
気付けば23時半も過ぎ、終電のなくなった姉さんはタクシーで帰る有様。


管理人が終電3本くらい手前の電車から降りて駅を出たのは12時過ぎ。
もー父ちゃんたち寝てるかなー、とウォークマンを聴きながらぼーっと歩いてたら むぎゅっ。

・・・ガム踏んだ。

うわーだっさー・・・と悲しくなりながら(苦笑)道路にこすりつけつつ(笑)歩いてみるも上手く取れない。
靴の裏を確認したいがその姿はかっこ悪いよなー・・・と思いながら一度振り返ったら誰もいなかったので、見てみる。

やっぱりガム。(包んで捨てるかいっそ飲み込め!)
悲しい。

そのあとも気にしながら歩き、大きな交差点の手前で一組のカップルに追いついた。
頭ひとつ分くらい身長差があって、なおかつ小柄な女性がチュッパチャプスくわえてたもんだから(つまようじに見えた)いくつなのかさっぱり分からず。
その少し後ろに立って再度足裏を確認すると、少しガムが減っていた。(笑)
やや遅れてスーツを着た男が信号待ちで立ち止まる。

ふと顔を上げたら、カップルが横断歩道の真ん中まで歩き出していた。
赤信号だと思っていたのに、ちょっとぼーっとしていたのか青になっていたのだ。

・・・あれ?

小さな違和感を感じたが、すぐに忘れて歩き出す。

途中でカップルを追い抜き、1曲終わったところでウォークマンの電源を切る。
駅からここまでの道は街頭が多く車もよく通るのだが、管理人の家はそこから一本裏に入った薄暗い通りにあるので、深夜そこを通る時は物音を聞けるようにしている。
その昔、背後から自転車にぶつかられて変なおっさんと言い合いになった経験から来ているのだが、それがこんなところで活きるとは思わなかった。

小さな信号を渡ってすぐ右に曲がり、一本目を左に曲がってまっすぐ行くとゴール。

その信号が赤だったため、渡る手前で右に曲がり、ガードレールの切れ目から反対側へ渡ろうとし、左右の車を確認しようとして。
先ほどの信号で一緒になった男が同じように道を曲がってきたのだ。


え、こいつもこっち側?


住宅街とは言え、この小さな信号で同じ方向へ曲がる人に普段からあまり遭遇したことがないので、少しぎょっとした。
カップルを追い抜いてからしばらくも、何となく人の気配が後ろにあるような気はしていたのだが、改めて認識して少し気持ち悪くなった。

が、まーたまたまか、と思い足早に道路を渡る。
反対側の歩道を歩き出したところで、その男がちらりとこっちを見た。


何か嫌な感じだな・・・


男のカツカツとした靴音が深夜の住宅街に響く。
何となく歩くスピードを落としていた管理人は、その男が真っ直ぐ行くのを見てから左に曲がった。
カツカツ音が遠ざかるのを後頭部で確認しながら・・・・・・あれ・・・・・・音が・・・・・・近くなってないか?

その道路は右側にしか歩道がなく、管理人は車道の左端を歩いていたのだが、ちらりと見遣ったその歩道を男が歩いていたのだ。
つまり、真っ直ぐ行ったはずの道を唐突に90度の角度で左へ曲がり、道路を渡って来たのである。
その間、車は一台も通っていないので、いつでも曲がれたはずだった。


・・・・・・ヤバくね?(冷汗)


咄嗟に来た道を戻ろうかとも思ったが、当たり前に深夜なので人通りがない。
そこをつけて来られでもしたらもっとまずい気がする。
かといって走って家に駆け込むのも危険。
自ら家をばらしてどうする、それ以前に追われて追いつかれようものなら最悪だろ。


瞬時にあれこれ考えた結果、管理人は唐突に立ち止まった。
かばんのポケットから携帯を取り出し、メールを確認するフリをして男を先に歩かせる。


これで男が立ち止まったら死ぬ気で走ってすぐ近くの交番に駆け込むかコンビニに飛び込むかしなければならなかったが、こっちが警戒しているのに気付いたのかどうなのか、男はそのまま歩いていった。
ここで立ち止まったらさすがにばれると思ったのかもしれないが、取り敢えず尾行が下手な男で助かった、と後で思った。(汗)


十分距離を取ってからゆっくり歩き出す。
50m先の我が家の前を男が通り過ぎるのを見て少しほっとしたのも束の間、その先の四つ角から誰かがこちら側へ歩いてくるのが見えた。
こんな深夜に、駅を背に歩くのならともかく、逆方向によぼよぼ歩く老人。


・・・ああ、あの家のじいさんか。


実の娘に家を追い出されて仕方なく車庫で生活している、というとっても変わった境遇のじいさんだった。
おそらく道路際の塀にかけてあった洗濯物の様子を見に来たのだろう。

近所の人間なら変わり者だと知っているので気にしないが、男はそれなりに驚いたと思う。
何せシャツ+ステテコというおじさん専用の下着姿で深夜にうろっと現れたのだから、場合によっちゃ通報されかねない姿だったと思う。

そのじいさんとすれ違い、男は四つ角を左に曲がった。
やや歩く速度を落として一度こっちを見たが、そのまま左に歩いて行ったようだった。


・・・・・・あっぶねー・・・・・・(がくぶるガクブル)


賢明な読者の皆さんならお分かりかと思いますが、四つ角を直進、あるいは右に曲がるのであれば、単なる管理人の勘違いで済んだのです。
大通りを右に曲がり、左に曲がり、左に曲がったら、元の大通りに戻るだけなのです。
こんな暗い道をわざわざ選ぶ必要なんかなかったはずなのです。


引き返して来るかもしれない、という恐怖があったので出来るだけ急いで、でもドアの音がしないように家に入りましたが、その時こっちをぼけっと見ていたじいさんに管理人は心から感謝しました。
この「第三者」がいてくれたおかげで、男は戻って来られなかったはずなのですよ。

んもーすっげぇグッジョブ! って思いました。
携帯って超便利! とも思いました。

さすがに母ちゃんには怒られた、というか心配されたけど、いくら話が積もっていても早めに帰るようにしようと思いました。


今までは「別に誰もオレなんか襲わねーよ」と他人事のように思っていたのですが(申し訳ないけどお前なんか誰も触らねーよ、って思える女が痴漢だのなんだのってぎゃーぎゃー言ってるのとかみて自意識過剰だなーって思ってたんで、そっから来てるんですが)そういえば最近の犯罪のトレンドは「誰でも良かった」だったのを後から思い出しました。

誰でもいいってことは、アタシでもいいってことだよな。
初めてそういうのを実感した。


大きな信号で横断歩道を渡るカップルの姿に違和感を覚えたのは正しかったのですよ。

比較的ゆっくり歩いていたカップルが横断歩道を半分まで渡る、というそれなりの時間があったはずなのに、同じく信号待ちをしていた男がそのカップルの後ろを歩いていなかったことを「変」だと無意識に感じていたんです。
つまり、その時点ですでに尾けられてたんだよね。(汗)

今思えば、踏んだガムを最初にチェックした時は周りに誰もいなかったんだけど、そのすぐ後くらいから妙に背後が気になって、すぐ後ろを誰かが歩いているような気はしてたんですわ。
ウォークマン聞きながらだったからあんまり深く考えてなかったんだけど、それでも変な感じはしてたから早めに電源切った方がいいな、って思ったんだよね。

直感は信じるべきですね。
そして感謝も大事です。



あとは自衛、遅かったら近距離でもタクシー使うとかね。
姉さんがタクシーで帰ってくれてむしろ良かったと思いました。(姉さんキレイだから心配)



というわけなので、一人歩きする時は十分すぎるほど十分にお気をつけ下さいね。





・・・富士急でさ、どうしてわざわざ500円払ってまで怖い体験しようとするのかなー、って人間心理について考えてみたものの答えは出なかったんだけど(笑)、もしかするとホンマモンの恐怖は洒落にならん(汗)というのが本能的に分かっていて、だからこそ「安心が約束された恐怖」を経験してみたい、という平和な世の中でのほほんと生きている人達の無い物ねだり的嗜好があるんじゃないかなー・・・なんて考えた。


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雪飛