2008年07月27日(日) |
クラブ選手権 全国大会 アビスパ福岡戦 |
08年07月27日 (日) 10:30開始 Jヴィレッジ Pitch 5 adidas CUP 2008 第32回 日本クラブユース選手権 (U-18) 大会 対 アビスパ福岡U-18 ※40分ハーフ 天候: 曇り
[前半] 清水エスパルスユース −−−−−−−−長島−−−−−−−− − 深澤詢 −小澤− 望月恭 −稲毛−− −−−−−−青木−−田代−−−−−− −−前田−−−−−−−−− 佐野傑 − −−−−−−柴原−−鍋田−−−−−−
−−−−−−久保−−吉原−−−−−− −−大庭−−−−−−−−−−田中−− −−−−−−大矢−− 浦 −−−−−− −− 孫 −−前田−−河井−−宮本−− −−−−−−−−笠川−−−−−−−− アビスパ福岡U-18
14分、清水、長島のゴールキックを相手陣内でFW鍋田が頭で後方スペースに逸らすが、味方に合わずに福岡LB孫が拾う。孫はプレスに来たRH前田に対してサイドスペースへ持ち出した後、中央CB前田の元へボールを返す。が、そこに鍋田が猛然とスライディングタックル、両者倒れ、ルーズになったボールを拾ったのは前田。そのままPA内にフリーで侵入し、右30度からゴール左上へと蹴り込んだ。1−0 37分、福岡、河井: 警告 37分から続く清水の連続CK。左から柴原のキックが2回、右に代わって佐野傑のショートコーナーから前田の右クロスもクリアされ、38分、右から通算4回目。佐野傑がニアに低いボールを入れると、ニアに突っ込んだ青木の足に触れたか触れないか混戦、最後は公式記録では前田が触れ、ボールがゴールの中へ転がった。2−0 40+1分、福岡、前田: 警告
アビスパ 清水エスパルスユース 10(6) シュート 7(6) ○前田、◎前田、○前田、×前田、○恭平、◎前田、○恭平 5(2) 右クロス 1(0) ×前田 3(0) 左クロス 0(0) 4(1) 右側CK 2(1) △佐傑、◎佐傑 4(1) 左側CK 3(0) △柴原、×柴原、×柴原 0(−) 犯OS 0(−) 5(0) ファウル 2(0) ・前田、・柴原
[後半] 清水エスパルスユース (60〜69分) −−−−−−−−長島−−−−−−−− − 深澤詢 −小澤− 望月恭 −稲毛−− −−−−−−前田−−田代−−−−−− − 佐野傑 −−−−−−−−−成田−− −−−−−− 畑 −−鍋田−−−−−−
−−−−−−久保−−吉原−−−−−− −−大庭−−−−−−−−−−田中−− −−−−−− 表 −− 浦 −−−−−− −− 孫 −−前田−−河井−−宮本−− −−−−−−−−笠川−−−−−−−− アビスパ福岡U-18 (56分〜)
45分、福岡は中盤を小気味よくパスを回して左へ展開、そこにFW久保がサイドへ開き、縦にボールを持ち出す。スピードに乗った久保、CB小澤を釣り出したところでプルバック。PA内でCB望月恭にマークされている吉原ではなく、第三の動きで駆け込んだLH大庭へのパスだが、CH青木が怠らずに併走、フリーにさせない。が、大庭は触れたかスルーか、ボールは更に斜め右後方へ流れる。そこに第四の動きで飛び出した田中、中へのスペースこそLB稲毛が塞いでいたが、田中はボールをもう一つ右に持ち出し、GK長島が外れているゴール右へとシュートを決めた。1−2 47分、福岡、大庭が左サイドからPA手前の久保へ、斜めにグラウンダーのクサビを入れる。左へ流れながらパスを受けた久保、背後に望月恭もついていたが、ボールを受けた瞬間、右へ切り返し。急速な方向転換で一瞬の自由を得ると、ボールを右に流す。飛び出したのは田中、稲毛が中を切っていたが、スピードで体一つ縦に抜け出し、その瞬間を逃さずにシュート。ゴール左へと蹴り込んだ。2−2
56分、清水、交代: 青木→成田 (前田CH、佐野傑RH、成田LH) 56分、福岡、交代: 大矢→表 60分、清水、交代: 柴原→畑 69分、清水、交代: 深澤諄→望月卓 70分、清水が蹴り込んだロングボールに対し、相手陣内で鍋田が競り勝って裏に流すが弱く、PA左手前で今度はFW畑が空中戦。良いポジションを抑えた畑が判定勝ちして、ようやくボールは地に着いて鍋田が足下に抑えるが、なお混戦でスペースがなく、鍋田もゴール方向を向けていない。しかし、鍋田はそれを利用して相手DFを軸に体を入れ替え、一瞬のうちに方向転換とスペースの自由を得る。既にPA内、周囲のDFとGKが一斉に殺到するが、鍋田はボールを右へ振る。バイタルエリアへ田代がフリーで顔を出すと、当然、シュートを撃つ。相手DFに当たって勢いが削がれるが、それでもボールは逸れずに、ゴールへと吸い込まれた。3−2
75分、清水、交代: 佐野傑→西澤 (西澤CH、前田RH) 77分、福岡LB孫の左クロスは望月恭がクリアし、左CKに。孫のキック、1回目はニアで清水がクリア。2回目も清水のクリアが早く、ボールは逆サイド中盤にまで流れる。拾ったのは守備に残っていた宮本。この新展開に対し、清水の反応は一つずつ後手をとった。宮本に気づくのがまず遅く、気づいた後に宮本に反応してしまったのも遅い。宮本はアーリークロスを宮本に身構えて立ち止まった清水DFよりも奥へ送り込むと、そこへ抜けた久保がフリー。そのヘッドを外すはずもなく、同点ゴールが決まった。3−3 80+2分、福岡、警告: 河井 80+2分、福岡、退場: 河井
アビスパ 清水エスパルスユース 9(5) シュート 6(3) ×佐傑、×田代、×恭平、○佐傑、◎田代、○成田 6(4) 右クロス 0(0) 1(0) 左クロス 1(0) ×稲毛 4(0) 右側CK 1(1) ○佐傑 0(0) 左側CK 2(1) ○柴原、×成田 1(−) 犯OS 1(−) ・鍋田 8(2) ファウル 4(1) ・成田、×恭平、・畑、 ・畑
●個人的MVP 鍋田亜人夢 ●個人的MIP 前田 陽平、長島 潤
試合展開から言えば勝点2を逃した試合だったが、試合内容から言えば勝点1を拾った試合だった。
単純な1対1を比べれば、清水が福岡に劣っていたとは思わない。相手を正面に捉えれば抜かされることなく、しばしばボールを奪い、攻めては正面からスピードで、フェイントで抜き去ってみせた。だが、福岡の得点場面で見られたような、第三、第四の選手が連動することで、相手のマークを混乱させるような場面は、鍋田が絡んだ時ぐらい。例えば、18分に青木のサイドチェンジを抑えた佐野傑と入れ替わるや鍋田が右に流し、前田がシュート (枠外)。43分、鍋田→柴原→鍋田の見事なダイレクトワンツーから左に大きく捌き、佐野傑が飛び出した場面 (DFがCKに逃れる)。46分、成田のサイドチェンジを佐野傑が抑え、落として青木のクサビを前田がポストに入り、戻したパスを田代がミドル (枠外)。対して個人技での決定機は、73分に畑が右サイドを個人突破し、戻したパスを成田がシュートを放ったぐらいで、非効率的と言わざるを得ない。
勿論、育成年代で試合内容と結果の効率性ばかり重要視するのは間違っている。けれども、個人能力の観点から見ても、福岡の選手 (とりわけFW久保とRH田中) はパスを受ける前、あるいは受けた直後の一瞬に相手の逆を突くのが実に巧かった。その一瞬の積み重ねが、第二、第三、第四の連動に繋がっているのではないか。逆に言えば、清水の方も鍋田が絡んだ時は連動した攻撃が見られたわけで、チームの戦術の問題だけでなく、プロで活躍するために個人で身につけるべきスキルだと思う。守備面でも再三見られた田中のサイド突破などは、初動を見誤った数歩の差によるものが多かった。個人的には99年、フィジカルでは圧倒的に上回るはずの池田が、佐藤寿にポストプレーを許した場面を思い起こす。簡単にクサビを通されてしまう悪癖は、今年を通して見られている。
とはいえ、65分にクロスをファーで合わせられた大庭のヘッドを、逆に振られながらゴールから掻き出した長島のスーパーセーヴなど、選手の成長が見られる場面も多々あった。ユースで逆をとられながらセーヴしたGKを見たのは、03年の海人以来だ。周囲の動きを引き出すプレー以外にも空中戦にしばしば競り勝った鍋田だけでなく、畑もFWとして総合的に力をつけてきており、スタメンには2年生5人、1年生3人と下級生が躍進を見せた。チーム内の競争の激化は、3年生の発奮も促すだろう。今年は、こうした戦術的にも個人能力的にもレベルの高い相手と真剣勝負する機会が、殆どなかっただけに、この悔しい体験を今後に活かしてくれるものと期待している。
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