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2006年05月14日(日) クラブ選手権 静岡県予選 ホンダFC戦

06年05月14日 (日) 14:00開始 藤枝総合運動公園サッカー場
 第30回日本クラブユースサッカー選手権 (U-18) 静岡県予選
 対 Honda FC U-18 ※40分ハーフ
 天候:曇り時々晴れ

▼試合展開

 清水の先発は、先週の磐田東戦から町田に代わって山崎竜が入ったのみ。11日 (木) にU-16代表のイラン遠征から戻ってきた前田は、ベンチスタートとなった。プリンス東海に比べてベンチ枠が20から18に減ったため、前田が復帰した分も含め、岩崎・佐野孝・藤牧が外れ、江守・曽根・池上らと共にサテライトの試合に回ったようだ。彼らが現時点における19〜24番手なのだろう。是非ベンチ入り、そしてレギュラー奪取に向けて、もう一踏ん張り頑張ってほしい。先発は3年生7人、2年生2人、1年生2人。
 ホンダとはプレシーズンに対戦、40分×2+30分×2で15−1と大勝したが、ホンダの戦い方はその時のものとは違う。3-4-2-1というより5-2-3に近いシステムで、結果重視のソリッドな戦い方を選択した。3人のDFで2トップに対応し、両WBは清水のSHより前に出ることはなく、専守防衛。バイタルエリアを2人のボランチでカバーし、前の3人は10番が高めの基本ポジションだが、自分のサイドにボールがある時は守備に参加する。例えば右サイドにボールがあれば7番が下がり、10番もフォロー、結果として逆サイドの馬塚が一番高い位置取りをする。攻撃ではWBが攻め上がらないので、7番と馬塚が攻撃の横幅を広げる役割を担っていた。

[前半]
清水エスパルスユース (〜23分)
 控え:吉田、渥美、桑原彬、小出、神田、前田、町田
−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−
− 望月卓 −岩本− 佐野克−桑原卓 −
−−−−−−滝戸− 佐野諒 −−−−−
−−小泉−−−−−−−−− 佐野傑 −
−−−−− 山崎竜 −長沢−−−−−− 23分:佐野傑→町田

−−−−−−−−10−−−−−−−−
−−−−馬塚−−−−−−07−−−−
−−06−−22−−05−−16−−
−−−−18−−03−−04−−−−
−−−−−−−−01−−−−−−−− 交代:なし
Honda FC U-18

 開始2分、ホンダDH5番のファウルで得たセンターライン付近からのFK、佐野克のロングキックをPA内右に流れた長沢がヘッド、当たりが良すぎてGK正面でキャッチ。8分、右サイドで受けたRH小泉がゆっくり中に切れ込み、突如加速して縦に中央突破を図る。DFに引っ掛かるが、運良く左にいたFW山崎竜へとこぼれ、すかさずボレー。GK両手で弾き、山崎竜自ら押し込もうとするが、何とかGKが抑えた。立ち上がりからビッグチャンスを連発する清水だが12分、ゴールキックを小泉が頭で押し返すがもう一度蹴り込まれ、カバーに入ったRB望月卓がタッチへクリアしたボールが合わず、左CKを与えてしまう。ホンダ10番の速いキック、GK山崎晃が飛び出るが触れることができず、山崎晃をガードするDFの体を利用して跳んだ馬塚がヘッド、ボールは無人のゴールに突き刺さった。0−1。
 またセットプレー。そして序盤押し込みながら、呆気なく失点するお決まりのパターン。試合運びの拙さは、改善が見られないようだ。この得点はホンダに勇気を与えた。静岡の「二強」清水と磐田に挑む「一弱」ホンダにとって、東海大会への「2枠」を狙うには、ソリッドな作戦を採らざるを得ない。5バックで引きこもり、互いに声を掛け合い、ゴールキックでは時間を最大限費やして、この1点を守りきるべく一丸となった。清水の選手に焦りの色はそれほど見えないが、気迫に押された、というより純粋にホンダのプレス量が鬼気迫るものがあった。佐野諒や佐野傑といったまだ体ができていない下級生選手は、スペースを潰されて持ち味を出せない。

 行徳監督も素早く動き、23分には佐野傑を町田に代えていたのだが、次の好機が訪れるには更に10分ほど待たねばならなかった。31分、LB桑原卓が左サイドから中央へと持ち上がるや、左に開いたLH町田に捌き、自らは鋭角に方向転換して町田の左外を回る。町田のスルーパスで裏に抜け、左クロスを入れるがファーへ、小泉のシュートはDFのブロックもあって、枠の左へ流れる。それで得た左CK、GKにパンチングされてカウンターに、左に開いた7番が佐野諒のチェックに耐えてキープ。受けた10番はPA右へと流れ、桑原卓と必死に戻ってきた岩本を振り払ってシュートを放つが、枠を外した。35分、CB佐野克のクサビを受けた桑原卓が町田に預けると、ウェーブの動きで斜めに裏に抜ける。この日の桑原卓は、この斜めの動き出しが素晴らしかった。一気にPA内に突入し、左足でシュートを放つがGKに弾かれた。
 この後も佐野克が高い位置を保ち、左サイドから攻撃を仕掛けるも動きなく、前半終了。プリンスリーグよりも10分短い40分ハーフ80分のクラブ選手権、時間との勝負の様相を見せはじめた。

Honda FC      清水エスパルスユース
2(1) シュート 5(3) ○長沢、○竜男、×竜男、×小泉、○桑卓
0(0) 右クロス 6(2) ×卓馬、×小泉、×卓馬、○小泉、○卓馬、×小泉
0(0) 左クロス 5(0) ×佐傑、×桑卓、×桑卓、×克彦、×克彦
0(0) 右側CK 0(0)
2(2) 左側CK 2(0) ×滝戸、×滝戸
1(−)  犯OS  2(−) ・長沢、・佐傑
5(1) ファウル 3(0) ・滝戸、・佐諒、・佐諒

[後半]
清水エスパルスユース (〜10分)
−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−
− 望月卓 −岩本− 佐野克 −小出−−
−−−−−−−−滝戸−−−−−−−−
−−小泉−−−−町田−−− 桑原卓 − HT:佐野諒→町田 (4-1-3-2に変更、左図参照)
−−−−− 山崎竜 −長沢−−−−−− 10分:山崎竜→前田

−−−−−−−−10−−−−−−−−
−−−−24−−−−−−16−−−−
−−06−−22−−05−−13−− 18分:03→02
−−−−18−−02−−04−−−− 20分:07→24
−−−−−−−−01−−−−−−−− 31分:08→13 (左図参照)
Honda FC U-18 (31分〜)

 試合運びがこれだけ拙いながら今まで逆転勝利を成功させてきたのは、選手の実力もあるが、行徳監督の手腕も大きい。この日も後半開始から4-1-3-2に変更。単純に町田を中盤に入れるパターンはこれまでもあるが、両SHも含めた5人がボールより前に位置する超攻撃的布陣である。相手が5バックなら5人で攻めてやる、ってところか。後半開始7分、その攻撃的な意思が実を結ぶ。OH町田の右クロスを長沢が頭でファーに落とし、LH桑原卓が突っ込むが、DFのカットあって左CKに。本日3本目のCK、キッカーの滝戸は初めて緩やかなピンポイントキックを見せる。単純な高さなら、189cmの長沢に勝てる選手はいない。高い打点で叩き落とし、1−1。遂にセットプレーから点を奪い、清水の選手はボールをセンターサークルに戻して、すぐに定位置に帰った。
 13分のホンダ。右に開いたFW10番がLB小出と相対しつつ、中央に切れ込む素振りを見せる。と、右WBの13番が、この試合で唯一の攻撃参加。これに反応して小出が外に開いた隙に、10番がカットインして右クロス。これはDFがクリアするが、前に出たDH5番がミドルを放つ。…が味方のRW7番に当たり、7番は巧みにトラップしてPA内へ持ち出す。決定的シュート、をGK山崎晃が横っ飛びで弾く。右ポストの横にこぼれたボールを更に10番が詰めたが、シュートは大きく左へ外れた。ホンダの決定機は結局、このぐらいだったが、ホンダは同点後も集中力を維持し、よく戦った。プリンス東海で磐田に勝点で6上回り、実力的には3チーム中トップと目される清水。その清水相手にドロー、或いは負けるにしても大敗しないことが、磐田との競り合いで有利になる。選手全員がよく状況を弁えていた。

 一方的に攻め続ける清水だが、最後を抑えられて決定機をつくれない。ハーフスピードのCKに味を占めた滝戸が同様のキックを続け、16分にGKがこぼしたところを佐野克がボレー、18分に再び長沢のヘッドを導くが、共に枠を外す。残り10分の難しい時間帯に突入するに見えた29分。ロングボールを跳ね返し、中央で受けた町田が右に捌くと、小泉の外から望月卓が後半になって初めて追い越す。小泉は素直にパスを出し、望月卓の上げた低いクロスを中央で桑原卓がボレー、更に長沢が長い足を投げ出してゴールに押し込んだ。2−1。後半は恐らく意図的に縦に速いサッカーを展開していたが、ここぞでお家芸のサイドアタックで逆転に成功した。30分、町田のクサビを受けた桑原卓が、中央にスライドして左足アウトに掛けたミドルを放つが枠を捉えず。
 その直後の31分、小出がダイレクトで入れたクサビをDFがクリアミスし、左CKを得る。後半6本目、滝戸は初めて速いキックを蹴り、GKの前に飛び出た長沢がダイビングヘッドで叩き付け、3−1。エースのハットトリックで勝利を決めた。それからも清水が攻め続け、37分に左サイドに開いた小泉から桑原卓を経由して長沢、左に流れた桑原卓を囮に内側へ持ち出して強烈なミドルを放つが、枠の右上。39分、長沢が奪って桑原卓が繋ぎ、滝戸のミドルは枠外。41分 (ロスタイム) には佐野克の裏へのロングフィードで桑原卓が抜け出し、左足アウトに掛けたボレーを放つが、バーのニア側を舐めるように外れた。しかしホンダは逆転に落ち込むことも、ヤケになって反撃することもなく、得失点差−2を保って試合を終えた。
 この試合、良かったことと悪かったことが一つずつあった。良かったのは遂にセットプレーから点を奪ったこと、悪かったのはまたもセットプレーから点を失ったことである。

Honda FC      清水エスパルスユース
4(1) シュート 11(3) ×長沢、◎長沢、×前田、×克彦、×長沢、◎長沢、×桑卓、◎長沢、×長沢、×滝戸
               ×桑卓
1(0) 右クロス 6(1) ×卓馬、×小泉、×卓馬、×小泉、○卓馬、×小泉
3(0) 左クロス 1(0) ×小出
0(0) 右側CK 1(1) ○滝戸
0(2) 左側CK 5(2) ◎滝戸、×滝戸、×滝戸、×滝戸、◎滝戸
0(−)  犯OS  4(−) ・竜男、・桑卓、・町田、・桑卓
3(0) ファウル 1(0) ・長沢


▼試合結果

清水エスパルスユース 3−1 Honda FC U-18
 得点:前半12分:Honda・馬塚 侑樹 (10番  ・左コーナーキック)
    後半07分:清水Y・長沢 駿 (滝戸 諒 ・左コーナーキック)
    後半29分:清水Y・長沢 駿 (桑原 卓哉・ショートパス)
    後半31分:清水Y・長沢 駿 (滝戸 諒 ・左コーナーキック)
 警告:前半24分:清水Y・佐野 諒 (ラフプレー)
    後半28分:Honda・16番  (ラフプレー)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●長沢 駿 (3年・FW)
 課題だった空中戦が、一定以下の相手であれば計算できる武器になりつつある。先週の途中交代が効いたか、弱気な選択が消え、ドリブル突破やミドルシュートなど多様な攻撃を見せた。一方で中盤に下がって見せるパス捌きもなかなか。

[私撰MIP]
●滝戸 諒 (2年・CH→DH)
 頑張れる点と頑張りに応えてくれる恵まれた体格が、中盤の汗かき役として機能、同時に中盤の底を塞ぐフィルター役にも。チームでの希少価値が高い。速く正確なボールを左右に振るだけでなく、縦にクサビを入れて展開を前に加速させた。

●佐野 克彦 (3年・CB)
 抜きん出た運動能力は、見た目にも分かるほど。最近の試合はCBとして前半、細かいプレーにミスが目立っていたが、今日は相手がカウンター狙いということで最初からフル稼働、速攻はスピードで潰し、空中戦はジャンプ力で上を跳んだ。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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