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2006年04月22日(土) プリンス東海 静岡学園高校戦

06年04月22日 (土) 14:00開始 清水総合運動場
 JFA プリンスリーグU-18 東海2006
 対 私立 静岡学園高等学校 ※45分ハーフ
 天候:曇り

▼試合展開

 清水は名古屋戦、前半池田→神田交代後と全く同じ布陣。3年生9人、1年生2人。
 静岡県新人戦優勝の静岡学園は、高校チームらしく1年ごとに大きくメンバーが入れ替わり、3年生10人、2年生1人。途中投入された2人も3年生だ。100人を超える部員を誇るだけあり、選手の出身は静岡県内東部から西部までにとどまらず、神奈川・東京・埼玉まで幅広い。また太田と船崎はエスパルスサッカースクール静岡出身の選手であるが、藤田 (ジュビロ沼津)・小坂 (ヴェルディ)・長崎 (横浜FM) とJリーグ下部組織から街クラブ、中学校とこちらも幅広い。高校チームは新人戦という公式戦を既に経験しているという点でクラブチームに対してアドバンテージがあり、できれば早い段階で当たりたくなかった相手だ。開幕アウェイの名古屋戦と2試合目の静学戦は、大きな山であるが、果たして。

[前半]
清水エスパルスユース
 控え:吉田、岩崎、池田、小出、滝戸、佐野諒、池上、山崎竜
−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−
− 桑原彬 −岩本− 佐野克−桑原卓 −
−−−−−−神田−−前田−−−−−−
−−小泉−−−−−−−−− 佐野傑 −
−−−−−−長沢−−町田−−−−−− 交代:なし

−−−−−−−−國吉−−−−−−−−
−−−−−−杉浦−−高岸−−−−−−
−−枝本−−大塚−−吉田−−太田−−
−−−−小川−−小坂−−藤田−−−−
−−−−−−−−船崎−−−−−−−− 交代:なし
 控え:田呂、長崎、佐野、池川、15、16、奥田、山田、20
私立 静岡学園高等学校

 開始3分、静学FW國吉のドリブルミドルシュート (枠外) で口火を切った試合は、5分、いきなり清水にビッグチャンスが訪れる。ゴールキックをFW町田が頭で裏に流すと、FW長沢が右に流れながらキープし、PA内に小さくパスを置くかのように折り返す。CB小川の足をわずかにかすめて転がり、町田がフリーで駆け込んでシュート。しかし、ボールを打ち上げてしまった。静学は13分、DH吉田のスルーパスはCB佐野克がカバーするが、クリアを拾ったOH高岸が体を寄せてきたLB桑原卓を利用して巧く潰れ、FKを得る。ほぼ中央で距離20M。國吉が左足でゴール右を狙ったが、惜しくも枠を外した。
 両チーム1つずつ得点機を得た後、主導権を握ったのは清水。神田・桑原卓あたりが早いタイミングで大きな展開を入れ、ショートパス主体で一本調子になりがちの静学を上回った。特にCH神田は16分、自陣からダイアゴナルフィードを送り、RH小泉が戻したボールを受けたRB桑原彬がPA内へカットイン、切り返しからシュートを放つが枠を外す。更に22分にも神田、自陣から反転しながらの前方ダイレクトロングフィード。中央で走り込んだ小泉がスピードを上げてドリブルシュートを狙うが、DFのブロックに遭った。

 静学の方はといえば、ボールをなかなか前に繋げず、27分に最終ラインから上がってきた小川がミドルを放ったのを除いて、清水のゴールを脅かすプレーをできなかった。しかし、守備では粘り強く、小川・藤田の両ストッパーが厳しく人に当たり、スイーパー小坂が的確にカバー。そして、なにより中盤4人の運動量が素晴らしい。清水が大きな展開で主導権を握ったと書いたが、逆に言えば細かく繋ごうとすると、どこかでこの4人の人の網に引っ掛かっていた。こういう状況を打破するにはセットプレーだが、前半、5回のCKとゴールを狙える位置から2回のFK、全てシュートにつながらなかった。前半の流れを見れば、清水の攻勢に対して静学の中盤の運動量が落ちずについていけるかが、勝負に思われた。

静岡学園      清水エスパルスユース
3(0) シュート 2(0) ×町田、×桑彬
1(0) 右クロス 3(1) ○長沢、×長沢、×小泉
1(0) 左クロス 2(0) ×桑卓、×桑卓
0(0) 右側CK 3(0) ×佐傑、×佐傑、×佐傑
0(0) 左側CK 2(1) ×佐傑、○佐傑
1(−)  犯OS  1(−) ・小泉
7(2) ファウル 15(2) ・桑彬、・長沢、・神田、・町田、・岩本、×桑卓、・神田、・佐傑、・岩本、・桑卓
               ・長沢、・佐傑、・克彦、×岩本、・岩本

[後半]
清水エスパルスユース (29〜43分)
−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−
− 桑原彬 −岩本− 佐野克 −小出−−
−−−−−−−−前田−−−−−−−− 15分:神田 →山崎竜 (町田OH、山崎竜FW)
−−小泉−−−−町田−−− 桑原卓 − 29分:佐野傑→小出  (桑原卓LH、小出LB、左図参照)
−−−−−−長沢− 山崎竜 −−−−− 43分:小泉 →渥美

−−−−−−國吉−−長崎−−−−−−
−−−−−−−−杉浦−−−−−−−−
−−枝本−−大塚−−佐野−−太田−−
−−−−小川−−小坂−−藤田−−−−
−−−−−−−−船崎−−−−−−−− HT:吉田→佐野、高岸→長崎 (左図参照)
私立 静岡学園高等学校

 後半、静学は一気に2人を交代。同時にシステムを3-4-3から3-4-1-2に変更する。前半の静学は前線の3人が清水の4バックにほぼ完璧に抑えられており、そのため中盤の4人は前線と最終ラインの距離を自ら持ち運ぶしかなく、莫大な運動量が強いられていた。しかし、後半は2トップの下に杉浦を置くと、杉浦は前線やボランチと度々入れ替わって縦にギャップをつくり、前線との中継点が生まれた。清水はこの中継点を誰が潰すのか…CHが潰さねばならないのだが…が不明瞭。しかし、相手の攻撃回数こそ多くなったものの、ゴール前のドリブルやショートパスは4バックが問題なく跳ね返し、なんとなく前半の延長線=清水優位の雰囲気で、静学の攻勢が続いていた。
 ところが5分、中に絞ったDH佐野が狭いところをグランダーでクサビを通す。PA右角でポストに入ったFW長崎がダイレクトで左に反射させ、裏に飛び出したLW枝本。正確にファーへ決め、0−1。それまでのドリブル主体から、一気に攻撃速度を上げてみせた。動揺の見える清水に対して静学は更にギアを上げ、前に出てプレスを強める。そして12分、CH前田のクリアをカットしたDH大塚がそのままミドル。GK山崎晃が枠内から掻き出し、右CKになる。静学は2人がコーナースポットに向かっていたのに、清水は明らかに注意を怠っていた。その一人、佐野が蹴って下げ、角度がついた位置から國吉。左足のクロスは巻いて曖昧な位置のDFラインの裏に向かい、飛び出したOH杉浦がGK山崎晃の前でちょこんとヘッド。ゴールに吸い込まれた。0−2。

 ここで行徳監督が動く。神田に代えて山崎竜を入れ、元来FWの町田をトップ下に、前田をワンボランチに置く超攻撃的布陣を選択。同時に曖昧だったバイタルエリアを前田に任せるという、守備の修正でもある。しかし静学はゴール前を7人で固め、だが中盤の4人は決して上下運動を怠らず、清水が後ろでパスを回せば前に出てプレスを掛けた。この膠着状態に対して18分、岩本が右サイドを持ち上がってクロス、長沢が頭で落とすがFW山崎竜と合わない。清水は後方に岩本・佐野克・前田と攻撃参加していない片側のSBの4人だけを残し、玉砕覚悟での攻撃を開始。とりわけ広大なスペースを埋めた岩本・佐野克の頑張りが目を見張った。21分、町田の粘りで得た左CKを小泉が蹴るとファーで長沢が落とし、岩本が右足で押し込むも、GK船崎が至近距離でストップ。
 一方的で攻め続ける清水だが、ゴール前での強引さが足りず、シュートまで持ち込めない。そのうちに攻め疲れの色が見え始め、中盤に大きなスペースが生まれはじめた。すると36分、國崎のミドルシュートをGK山崎晃が前に弾き、それを長崎が詰める。オフサイドの旗に救われたものの、2トップがミドルを撃ったとき、もう一方のFWがゴール前に走り込む運動量を静学は怠らない。38分、中盤の佐野がルックアップして杉浦のフリーランを確認すると、DFラインの裏にロビングのスルーパス。悠々とフリーになった杉浦が確実に決めて、0−3。更に40分にも前田のパスを大塚が前に出てブロック、長崎が拾ってGK山崎晃と1対1になるが、枠上に外してしまう。これらの場面、DHの佐野や大塚が前に出ているのに対してプレスが掛かっておらず、清水は前半から運動量で相手より劣っていながら、先にガス切れを起こしていた。

 43分、前に出た岩本がスライディングでドリブルをカットすると、LB小出が拾って持ち上がって中央の町田、町田も前に出ながらタイミングを図ってスルーパス。そこにRB桑原彬が駆け上がり、DFラインとGKの間の狭いスペースにクロスを入れると、長沢が決めるだけ。1−3。静学はこの場面、常に80Mを上下して攻守に絡んだWBが、はじめて戻って来られなかった。静学の方も疲れは見えていたが、そこはコーナー付近で時間を稼いで試合をクローズし、1−3のまま試合は終了した。
 ボールを失うと声を出し両手を上げて倒れる選手や、審判の判定や接触プレーに対して怒鳴り散らすベンチ。静学には一言二言物申したいたころはあるが、ゲームプランや運動量、そして勝利への気迫といった点で完敗した試合だった。静学で「才能」という光り輝くものを見せたは國吉・杉浦・藤田ぐらいだが、彼ら以外の選手が実に偉大な労働者であった。清水の選手にはその偉大な働きを尊敬し、劣っていた点を素直に認め、次は正々堂々とリベンジを果たしてもらいたい。H&A方式になったプリンス東海、その機会は残されているのだから。

静岡学園      清水エスパルスユース
7(5) シュート 3(1) ○岩本、×長沢、◎長沢
3(1) 右クロス 5(3) ○岩本、○長沢、◎桑彬、×渥美、×渥美
3(0) 左クロス 5(0) ×佐傑、×小出、×小泉、×小出、×小出
2(1) 右側CK 0(0)
0(0) 左側CK 4(1) ×小泉、○小泉、△小出、△小泉
2(−)  犯OS  0(−)
6(0) ファウル 6(0) ・神田、・佐傑、・小泉、・長沢、・小泉、・渥美


▼試合結果

清水エスパルスユース 1−3 私立 静岡学園高等学校
 得点:後半05分:静学・枝本雄一郎 (長崎 泰樹・スルーパス)
    後半12分:静学・杉浦 恭平 (國吉 貴博・右クロス)
    後半37分:静学・杉浦 恭平 (佐野 幸正・スルーパス)
    後半43分:清水・長沢 駿  (桑原 彬 ・右クロス)
 警告:前半06分:静学・吉田 豊  (ラフプレー)
    前半31分:静学・高岸 大生 (ラフプレー)
    前半40分:清水・佐野 克彦 (ラフプレー)
    後半14分:静学・小川 将成 (ラフプレー)
    後半18分:清水・長沢 駿  (異議)
    後半27分:静学・藤田 将史 (ラフプレー)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●岩本 大 (3年・CB)
 空中戦・地上戦共に完勝。失点してからはどんどん守備範囲を広げ、自ら前に出てボールを奪いに行くことでチームの積極的な押し上げを図り、全体が押し上げてからは数的不利の場面を強力な1対1で何度も救った。主将に相応しい働き。

[私撰MIP]
●桑原 彬 (3年・RB)
 守備時のポジション修正にやや遅れる時があったが、積極的に攻撃を仕掛け続け、特に中にカットインするドリブルが引いた相手に効果的だった。得点場面も逆サイドに連動して一気に攻め上がっており、そのスタミナは兄弟甲乙つけがたい。

[相手方好印象選手]
●枝本雄一郎 (3年・RW): ボールの高さに応じて清水SB・SHの2人を1人でケア。特に枝本は攻撃面も良かった。
●佐野 幸正 (3年・DH): 莫大な運動量を見せたは他のDHも一緒だが、その中で1列前にパスを送るセンスも発揮。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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