2006年04月15日(土) |
プリンス東海 名古屋グランパスエイト戦 |
06年04月15日 (土) 12:00開始 名古屋市港サッカー場 JFA プリンスリーグU-18 東海2006 対 名古屋グランパスエイトU-18 ※45分ハーフ 天候:雨
▼試合展開 プリンス東海開幕戦。優勝候補筆頭と目される清水だが、緒戦は対抗馬最右翼だろう名古屋とアウェイで対戦するという、全10節でもっとも大変な試合で、緒戦をより難しくさせていた。昨年はプリンス東海最終節の一つ前に対戦 (未来への扉を開け)、2度のセットプレーで失点し、敗戦したことで、高円宮杯出場の希望が事実上途絶えている。 その名古屋、直近のU-19代表候補に吉田、U-17代表に三宅・中田・花井が選ばれ、長谷川・新川・久保も世代別代表歴の持ち主。清水は佐野克・長沢を抜かせば、U-15代表の前田と、後は岩本・池田・町田がJrユース時代にU-15代表に選ばれたくらいなので、その履歴では見劣してしまう。名古屋とはJrユース時代から常に激戦を繰り広げているが (高3、高2、高1はぽけっとをどうぞ)、更にルーテル学院の中田や岩出FCの久保、JUVENTUDEの新川が加わり、戦力を増した。システムは4−1−4−1だが、ポゼッション時は両SHが前線で左右に大きく開いて、4−3−3となる。 一方の清水。長沢の怪我からの復帰は間に合ったものの、鍋田・望月恭といったCB候補が相次ぎ離脱、今年LBで起用されてきた佐野克を、CBに回すこととなった。結果、3年前のJrユースでの対戦に比べて渥美→桑原彬、神田→前田、小出→佐野傑が入れ替わっただけに。このあたりの継続性が、両クラブの大きな違いだろう。清水の先発は3年生9人、1年生2人。一方の名古屋は3年生7人、2年生4人。2年前、当時のJrユースの絶対的エースだった杉山和 (→清水商)、彼を上回るパフォーマンスを見せた三島に対し、杉山和の一つ下の佐野傑がどれだけ対抗できるかが鍵というのが、筆者の事前展望であったが、さて。
[前半] 清水エスパルスユース (00〜37分) 控え:吉田、渥美、小出、滝戸、西澤、神田、佐野諒、佐野孝、山崎竜 −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− − 桑原彬 −岩本− 佐野克−桑原卓 − −−−−−−前田−−池田−−−−−− −−小泉−−−−−−−−− 佐野傑 − −−−−−−長沢−−町田−−−−−− 37分:池田→神田
−−−−−−−−久保−−−−−−−− −−新川−−福島−−花井−−中田−− −−−−−−−−吉田−−−−−−−− −−後藤−−森本−−三宅−−三島−− −−−−−−− 長谷川 −−−−−−− 交代:なし 控え:鈴木、磯村、西山、土屋、太田、奥村、羽根田、桐山、津田 名古屋グランパスエイトU-18
機先を制したのは名古屋。開始1分、OH福島が強引にミドルを放つと、4分にもFW久保にクサビを当てたOH花井がミドルを撃ち、共に枠外ながら遠い位置からも積極的に狙った。対する清水は、いつもどおり丁寧にボールを繋ぐが、名古屋の寄せが速く、ラストプレーの前で潰されていた。そんな中で9分、名古屋陣内左奥までボールを運ぶが、やはり名古屋の人垣を突破できず、相手スローインに。と、スローインを受けたRH中田?が戻したボールが弱く、LH佐野傑がカット。中を見る佐野傑、アイコンタクト。ファーへ狙い澄ました左クロスに連動、LB後藤とCB森本の間に167cmのRH小泉が走り込み、十分な助走からヘッド。トラップのようにコントロールされたシュートが、左右に振られたGK長谷川の手を抜けて、ゴール左に吸い込まれた。1−0。初クロスから初シュートでの先制である。 次いで13分、CH前田からのパスをFW町田、右サイドに追い越した前田を囮にRB桑原彬に戻し、アーリークロスを受けてFW長沢がPA内中央に割り込む。CB三宅に倒されたように見えたが、ノーファウルの判定。20分、RB三島の町田へのファウルで得た中盤からのFK、桑原卓のロングキックが誰も触れずにファーに流れ、それを抑えた小泉が折り返したボールを町田がカカトで合わせたが、DFに当たって枠を外す。名古屋は流動的に動いて前線で起点になる長沢を潰そうと、DFでは三宅、中盤では吉田と2名でマークしていたが、それ故に吉田が前に出られなかった。そうである以上、両SBが攻撃に厚みを加える必要があるのだが、清水SHとの駆け引きであまり攻め上がれない。結果、中央で久保が戻したボールをOHが拾ってサイドの両SHに展開するという、単調な攻撃になっていた。
しかし24分、LH新川のアーリークロスをCB佐野克がカブるミス。これはGK山崎晃が弾き、CB岩本がタッチラインにクリアして事なきを得たが、にわかにリズムを崩した清水は27分、福島が佐野克をフェイントで外して30Mミドル、GK山崎晃キャッチ。続けて28分にも福島が右サイドに飛び出すが、CH池田がカバーして右CKに。キッカーは新川、ニアへの速いボールを久保が頭で逸らすと、ファーの森本が全くのフリー。難なくボレーで決めて、1−1。試合は振り出しに戻った。すぐさま反撃に移った清水は34分、岩本のカットから縦パスを池田がボレーキックで前に繋ぎ、長沢がスルーパス。飛び出した町田が急ストップから巧く右に小さく持ち出してシュートを狙うが、森本のブロックに遭う。 ベンチも動く。荒れたピッチに足を取られ、ミスの目立った池田に代えて神田を投入。神田・前田のCHってのも凄い組み合わせたが、こういうピッチでは足下の巧さの方が活きるのかもしれない。41分、久保のバックパスミスを中に絞って守っていた佐野傑がカット、中央から切れ込みスルーパス?を狙ったが、ゴール右に外れる。その後も42分から左→右→右の連続CKなど清水が攻め続けたが、相手を寄り切るまでには圧力が足らず、前半を終えた。
グランパス 清水エスパルスユース 6(2) シュート 3(2) ◎小泉、○長沢、×町田 0(0) 右クロス 4(2) ○桑彬、○小泉、×小泉、×小泉 5(0) 左クロス 2(1) ◎佐傑、×神田 3(1) 右側CK 4(1) ○佐傑、×佐傑、×佐傑、×佐傑 1(0) 左側CK 1(0) ×神田 1(−) 犯OS 0(−) 4(0) ファウル 8(1) ・長沢、・??、・町田、・克彦、・池田、・桑卓、×神田、・町田
[後半] 清水エスパルスユース (00〜28分) −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− − 桑原彬 −岩本− 佐野克−桑原卓 − −−−−−−前田−−神田−−−−−− −−小泉−−−−−−−−− 佐野傑 − 28分:町田→山崎竜 −−−−−−長沢−−町田−−−−−− 33分:前田→佐野諒
−−−−−−−−久保−−−−−−−− −−中田−−福島−−花井−−新川−− −−−−−−−−吉田−−−−−−−− −−西山−−森本−−三宅−−三島−− 33分:後藤→西山 −−−−−−− 長谷川 −−−−−−− 33分:新川をRH、中田をLHにポジションチェンジ 名古屋グランパスエイトU-18 (33分〜)
後半3分、福島のスルーパスで抜け出した新川が一旦足を止め、桑原彬をかわして左クロスを入れる。久保の足下に入るが、すかさず佐野克が矢のような寄せでカットし、ルーズになったボールも岩本がスライディングタックルで掻き出し、堅守を見せた。清水も5分、佐野克のロングフィードに長沢を競り合ったGK長谷川が捕球ミス、ファーに流れたボールを小泉が拾って向き直し、長沢に送ったラストパスは森本が間一髪カット。この場面ではないが、後に名古屋の吉田あたりから、「(長沢に釣られて) 跳ぶな!」という声があがっていた (笑)。 その長沢、前半は下がってきて吉田との競り合いに負ける場面も多かったのだが、後半は最前線に残り、最終ラインの岩本や佐野克からのロングフィードを受けるようになった。中央が荒れたピッチコンディションを見て、いつもの細かく繋ぐサッカーは無理との判断だろう。名古屋は中盤の底で長沢を見る吉田も一緒に下がるため、結果としてチーム全体が下がり目になってしまった。後半の名古屋は久保の足下に当てるだけのサッカーをやめ、両SHに裏を狙わせるプレーも見せていたのだが、徐々に前線で久保が孤立するばかり、受け身になってしまう。
20分、岩本のロングフィードを左に流れた長沢が、トラップして足で左に捌く。佐野傑が加速、スピードでDFで振り切って高速クロスを入れると、遅れてPA内に駆け込む長沢、の前で町田がヘッド。ファーに流すテクニカルなシュートだが、枠外右に50cm。名古屋の両SHが中盤に吸収されたのを見て、続く21分、後方からスルスルと上がってきたLB桑原卓が急加速してPA内、ラストパスを町田が小さく繋いで戻して長沢、辛うじてDFがシュートブロック。個人のタレントがある名古屋も25分、花井が岩本を突破、PA手前で桑原彬と戻ってきた岩本に止められるが、こぼれ球を新川が左45度からシュート。巻いてファーを狙撃するが、GK山崎晃がパンチングで弾き出す。28分、CH神田が捌いて佐野傑が縦に運び、戻して長沢のスルーパス。現れたのは、またも後列から桑原卓。が、わずかにオフサイドの判定。 その後、互いに交代、名古屋は新川を桑原卓のマークに回すなどで修正し、やや流れが停滞した後の37分。岩本のロングフィードを、後半になって空中戦絶好調の長沢がPA右に落とし、小泉が拾いに走る。PA右外で確保したところで笛、しかもPK。確かに4分前に交代投入された西山が、小泉の後追いになった上に肩へ手を掛けてはいたが…。この厳しい判定に、キッカーは長沢。が、ゴール左を狙ったボールは、丁度膝の位置の取りやすい高さで、GK長谷川に止められてしまう。まあ、もらって儲けもののPKだ、これはこれでよし。PK失敗にもめげずに前線から走り回る長沢を中心に攻め続け、ロスタイムにはCH佐野諒→岩本→佐野諒→桑原卓と自陣で細かく繋いでロングフィード、長沢が再び頭で落としてFW山崎竜が跳び込んだが、オフェンスファウルの判定。ほどなく、タイムアップ。
PK失敗があっただけに悔いは残るが、試合内容から言えばドローは妥当。終始優勢に試合を進めたが、ゴール前でのコンビネーションでまだまだズレがあった。芝の具合が悪く、グラウンダーのパスサッカーを展開できなかったのも痛かった。だが、アウェイで優勝への最大の対抗馬、名古屋相手に勝点1は、全く悪い結果ではない。なにしろ、次節以降は全て、静岡県内で試合ができるのだから。またパスサッカーを展開できない状況でも、長沢の頭を使った中盤省略サッカーで形を作れると分かった点も、収穫だろう。
グランパス 清水エスパルスユース 2(1) シュート 4(3) ○克彦、×町田、○長沢、○桑彬 2(1) 右クロス 2(0) ×小泉、×前田 5(1) 左クロス 6(2) ×桑卓、×桑卓、×佐傑、○佐傑、×佐傑、○桑卓 0(0) 右側CK 1(0) ×佐傑 1(1) 左側CK 0(0) 1(−) 犯OS 2(−) ・長沢、・桑卓 9(2) ファウル 4(1) ・長沢、×神田、・桑卓、・竜男
▼試合結果 清水エスパルスユース 1−1 名古屋グランパスエイトU-18 得点:前半09分:清水 ・小泉 慶治 (佐野 傑 ・左クロス) 前半28分:名古屋・森本 良 (新川 織部、久保 裕一・右CK) 警告:前半35分:清水 ・桑原 卓哉 (ラフプレー) 後半04分:名古屋・久保 裕一 (ラフプレー) 後半24分:清水 ・神田 和哉 (ラフプレー)
▼選手寸評 [私撰MVP] ●岩本 大 (3年・CB) 主将。空中戦が得意な久保に対し、相手の土俵で殆ど仕事をさせず。足下のポストプレーを潰し、一度花井に抜かれた以外は、飛び出してきた相手も全て潰した。中央が荒れるピッチ状況下、最後尾からロングフィードを駆使し、司令塔にも。
[私撰MIP] ●桑原 卓哉 (3年・LB) 時間が経つにつれて攻撃参加の頻度が増す、その運動量は衰え知らず。荒れたピッチを苦とせぬドリブルやトラップで、基礎技術の高さも示した。コンタクトも強く、清水左サイドからの被クロスは、わずか2。生半可な相手じゃ通用しない。
●佐野 傑 (1年・LH) ドリブル成功率は決して高かったわけではないが、勝負を挑む姿勢自体が良いアクセントとなり、また一瞬抜け出すスピードとクロスの精度は素晴らしかった。課題の守備でも、サイドのカバーと中央に絞る動きを、忠実に繰り返していた。
[相手方好印象選手] ●吉田 麻也 (3年・DH): 機動性は高くはないが、絶対的な身体の強さと的確なポジショニングで中盤の底に蓋をした。 ●森本 良 (3年・CB): 全体ではやられる場面も目立ったが、最後に足を出せるDF。吉田と森本が事実上の司令塔。
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