2005年12月23日(金) |
Jユース杯 ガンバ大阪戦 |
05年12月23日 (金) 14:00開始 長居第2陸上競技場 Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会 決勝トーナメント準決勝 対 ガンバ大阪ユース ※45分ハーフ 天候:晴れ
▼布陣 先発: 後半37分〜: −−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−長沢−−篠田−−−−−− −−八木−−−−−−−−−−小泉−− −−渥美−−−−−−−−−−小泉−− −−−−−−柴田−−神田−−−−−− −−−−−−柴田−−神田−−−−−− − 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − − 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− 控え:吉田、岩本、渥美、池田、谷野、佐野諒、篠田 交代:後半19分:八木→谷野 後半31分:町田→篠田 後半37分:谷野→渥美
ガンバ大阪ユース: 先発: 後半00分〜: 後半34分〜: −−−−−−星原−−岡本−−−−−− −−−−星原−−岡本− 安田理 −−− −−−−−−岡本− 安田理 −−−−− −−− 安田理 −−−− 安田晃 −−− −−−−− 安田晃 −倉田−−−−−− −−−−持留−−横谷−− 池 −−−− −−−−−−倉田−−横谷−−−−−− −−−−−−−−横谷−−−−−−−− −−−−−−−−倉田−−−−−−−− −−下平−−伊藤−−植田−− 森 −− −−下平−−伊藤−−植田−− 森 −− −−下平−−伊藤−−植田−− 原 −− −−−−−−−−木下−−−−−−−− −−−−−−−−木下−−−−−−−− −−−−−−−−木下−−−−−−−− 控え:三橋、池田、原、池、持留、二戸、登 交代:後半15分:安田晃→持留 後半19分:星原 →池 (4-1-3-2に変更、倉田をDH、池を右OH、横谷をOHに) 後半34分:森 →原
▼試合展開 折からの寒気で、新幹線が途中、雪の影響で徐行運転するほど。週のはじめには名古屋で記録的な積雪、大阪も前日朝には降雪したようだが、この日は晴天に恵まれた。やや風があるが、益田・藤枝・千葉に比べれば強くなく、私が12月に観戦した中ではもっともまともな環境になった。 清水は準々決勝で前半に交代した高野がベンチから外れ、その時に交代した神田がそのまま中盤に入る。3年生が1人減って3人、2年生はますます増えて8人が先発した。終盤に負傷交代した山崎竜もおらず、代わって谷野・池田がベンチ入り。19人目として、1年生の滝戸が帯同していた。 対するガンバは、先発のうち岡本 (U-16NTC)・森を除く9人がU-代表。それどころか、ベンチにも4人のU-代表。更に、植田・伊藤・横谷・安田理・岡本に、今年負傷欠場が続く平井の6人がトップ昇格が内定しているという、脅威のエリート集団だ。これだけ豊富な駒を揃えながら、メンバー・布陣は夏から完全に固定。クラブ選手権4強、高円宮杯16強と今年はまだ結果を残せてないが、組織の熟練度を高め、ホームアドヴァンテージを得られるJユース杯で3年ぶりの戴冠を目論む。3年生6人、2年生3人、1年生2人。
[前半] 試合は、静かな立ち上がり。しかし、清水は左サイドの攻防で相手を上回り、そこからの速攻で先に流れを掴む。6分には左SB桑原卓が空中戦、競り落としたボールをCB佐野克が1本のロングフィード。「裏のスペースが狙えるな」と話すFW長沢が狙いどおりに抜け出したが、GK木下が足でクリアした。その後も清水が速いパス回しで優位に立つが、ガンバも中盤のプレスを強め、徐々に拮抗。すると19分、長沢のポストのミスを拾ったガンバの左OH安田理が、右SB桑原彬を抜いて一気にタッチラインまで突破。クロスは佐野克にカットされたものの、これで勢いに乗ったガンバは21分、自陣からグラウンダーのFKが上手く中央のDH倉田の足下に入り、倉田はそのままミドル。GK山崎晃が横っ飛びでディフレクトし、CKに逃れた。これが両チーム通じて初シュート。 しかし、清水もすぐに反撃。23分、CH柴田のダイアゴナルフィードを桑原卓が受けてスルーパス、左SH八木のクロスをファーで右SH小泉の右足は当たり損ね。次いで24分、桑原彬のクリアをFW町田がキープからスルーパス、再度抜け出した長沢が、PA内右で急停止でDFを外してシュートを放つが、ニア右に外れる。更に26分、ガンバCB伊藤のファウルで、中盤左からFK。佐野克のロングキックをCB植田からすっと離れた長沢が頭でPA内に落とし、トラップした町田が伊藤のプレスに耐え、2タッチ目で右へ流す。小泉はダイレクト、ふわりと上げたクロスに助走する長沢、競り合う右SB森の上を飛ぶ。放ったヘッドは、ゴール左に吸い込まれた。1−0。清水先制。
なおも攻める清水。30分、ガンバ左SB下平のクリアミスを受けたCH神田、大外に送ったアーリークロスを八木が頭で合わせたが、ゴール左上隅を微かに逸れた。続けて32分、自陣で桑原卓がカットし、ファストブレーク発動。自ら持ち運ぶと中央の柴田へ、柴田のクサビを戻りながら受けた町田は前を向き直して縦パス、これに長沢も反転、マークする伊藤の背後にスルーパスを送る。沸き上がるように現れた柴田、既にPA内。森を抜く柴田に、植田のスライディングカット、が、更に沸き上がるように現れた桑原彬、背後の下平の圧力で倒れる。判定はPK。2年前にもこの地でPKを決めている石垣が、力で豪快に決めた。2−0。 引き続き35分、佐野克のヘディングクリアにPA左手前の町田、トラップして植田のプレスに耐え、左足インサイドで捻ってスルーパスを送る。抜けた八木の左クロスを中央、森と下平の間で長沢、余裕の胸トラップから、左足インサイドで捻ってゴール右に流し込んだ。3−0。怒濤の10分間で大勢が決まるが、その後も好機を作るのは清水。速攻の機会にもドリブルで更に崩しにかかるガンバは、清水にとって与しやすい相手。DFラインで確実に潰しては、そのままDFライン、桑原卓らが起点となって一息に前線へ。裏を狙う動きとポストに入る動きを、長沢と町田が交互に役割分担し、決定機未満のチャンスを作り続けた。
だが、そんなガンバも41分、伊藤が戻したボールを自陣底から倉田がロングフィード。清水PAの前でバウンドしたボールは左に流れ、それをCB石垣の前に出たFW星原がダイレクト左足シュート。GK山崎晃、なんとかCKに逃れる。なんでもない1本のパスから難しい体勢で、角度のないシュートを枠内に放つのだから、その個人能力には恐れ入る。しかし、前半のガンバの惜しい場面はこれと前述26分、ともに自陣からの長い縦パスから思い切って狙ったシュートだけ。こうしたシンプルなパスプレーを繰り返せば、試合展開は全く違っただろうが…。清水が3点をリードして、前半を終えた。
ガンバ大阪 清水エスパルスユース 3(2) シュート 6(3) ×長沢、◎長沢、×八木、◎石垣、×長沢、◎長沢 4(0) 右クロス 4(2) ×小泉、×神田、◎小泉、○神田 1(0) 左クロス 5(2) ×桑卓、×八木、○八木、◎八木、×町田 1(0) 右側CK 0(0) 1(1) 左側CK 1(1) ○八木 0(−) 犯OS 1(−) ・町田 8(1) ファウル 7(0) ・柴田、・柴田、・桑卓、・桑彬、・町田、・町田、・八木
[後半] 後半、ガンバは安田理を前線に入れ、4-3-3にして猛攻を仕掛ける。1分、佐野克に倒された安田理が、起き上がろうとする佐野克の肩を突き飛ばすなど (お咎めなし)、かなり入れ込んだ状態。その勢いに乗って6分、DH横谷が左サイドで桑原彬から奪うと、中央へクサビを入れる。星原のポストは圧力を掛ける佐野克に潰されかかるが、フォローした右OH倉田が2人を追い越して中央突破、右の安田理へ。意を決してPA内へ縦に加速した安田理、桑原卓より半身前に出ると、思い切ってシュート。タイミングを狂わされたか、GK山崎晃は弾ききれず、ボールは後方ゴールへと転がった。3−1。2点差としたガンバは、9分の安田晃の左CKにニアで星原が合わせたが、GK山崎晃に弾かれる。 だが11分、植田の縦フィードを神田が跳ね返してスルーパス。受けた町田は右の八木、左の長沢を囮に対面する下平を交わしてミドルを撃つ。これはGK木下が抑えたが、流動的なわりにカバーリングが不安定なガンバDFは、またも崩れはじめた。12分、自陣から石垣がロングFK。左に流れたボールを八木が追いつき、戻したボールを神田が左クロス、…のはずが審判に当たって軌跡が変わる。だが、長沢が速やかに下がって抑えると、ターンから右足インサイドの切り返し、振り向くと同時に植田を左に抜き、そのまま縦に進んでシュート。飛び出たGK木下が一度は防いだが、こぼれ球を町田がスライディングで押し込み、4−1。清水は15分にも、桑原卓を起点に神田のスルーパスから長沢が狙い (枠上)、後半序盤ガンバの攻勢で漂った「もしかするかも」といった雰囲気を、断ち切った。
ガンバ島田監督は19分、交代を機にトップ下気味に横谷を前線に置く布陣変更、行き詰まった状況の打開を図る。しかし、強引な突破が目に余り、清水の守備のバランスを崩すアイデアに乏しい。ようやく30分、左サイド桑原彬を突破した横谷がクロス、桑原卓のクリアをファーで安田理が拾い、縦に突進。タッチライン際からの速いクロスを、ファーポスト前で左OH持留が決定的なジャンピングボレーを放つが、枠を捉えない。すると37分、清水のゴールキックを伊藤が跳ね返すも桑原彬が確保、縦パスに植田の背後から足を出したFW篠田が小泉へ落とし、繋いで長沢のスルーパス。下平を置き去りにした篠田がゴール前で右クロス、駆け上がった谷野が折り返してお膳立てし、最後は長沢が左足を合わせて美味しくいただいた。5−1。ハットトリックの長沢は、常盤 (F東京) に追いつく大会15得点目。 4点差。もう失うものはないガンバは、「サッカーはチームプレーが全てじゃない。ボールを持ったら、行けるところまで行け!」といった状況に。39分、下平のロングボールを中盤で受けた安田理が、ターンで柴田を振り切って中央突破、石垣のファウルを誘う。中央30Mほどからバウンドして枠右下を襲った安田理のFKは、GK山崎晃が掻き出した。持留の右CK、佐野克の裏で伊藤が頭を叩き付けるが、GK山崎晃の反射神経が弾く。しかし、素早く反応した伊藤が左クロス、ニアポスト前にきっちりポジションし直したFW岡本が流し込んだ。5−2。なおも遮二無二攻めるガンバは43分、PA内混戦でブロックした佐野克が転倒、その隙に持留が左サイドを突破し、佐野克が倒れるゴール前に折り返す。走り込んだ倉田が、飛びついたGK山崎晃ごとゴール内に押し込むが、さすがにファウル。
プレーが荒くなってきたガンバは、ロスタイム、桑原彬を持留が倒し (警告)、FKを与える。組織を崩したくない清水は、石垣・佐野克が前線に上がらず、キッカーもポジションが近い小泉が担当する。それに安心したのか、ガンバの守備は酷く散漫。なにしろ、この日既に3点を決めている長沢に、誰もマークにいかないのだ。ヘディングが課題と常々自ら語る長沢だが、彼の課題はあくまで競り合い。PA内中央で189cm+ジャンプ力、高い打点でヘッドをゴール左に流し込み、6−2。遂に長沢は、単独得点王に立った。その後のガンバは横谷のミドル、池の右クロスなどと攻めるが、スコアは動かずに試合終了。清水は、6年ぶりに決勝の場へ辿り着いた。
ガンバ大阪 清水エスパルスユース 10(4) シュート 8(5) ○町田、○長沢、◎町田、×長沢、×長沢、◎長沢、×小泉、◎長沢 7(1) 右クロス 4(1) ×八木、×神田、×篠田、○篠田 5(1) 左クロス 5(2) ×八木、×八木、×桑卓、◎谷野、○渥美 2(2) 右側CK 3(0) △八木、△小泉、△小泉 2(1) 左側CK 2(1) ○八木、×谷野 0(−) 犯OS 2(−) ・長沢、・渥美 11(1) ファウル 7(1) ・克彦、・長沢、・町田、・篠田、・桑卓、・篠田、×石垣
▼試合結果 清水エスパルスユース 6−2 ガンバ大阪ユース 得点:前半26分:清水・長沢 駿 (小泉 慶治・右クロス) 前半32分:清水・石垣 勝矢 ※PK 前半35分:清水・長沢 駿 (八木 和秀・左クロス) 後半06分:大阪・安田 理大 (倉田 秋 ・右ミドルパス) 後半12分:清水・町田 朋弥 (長沢 駿 ・シュートリバウンド) 後半37分:清水・長沢 駿 (谷野 由紘・左クロス) 後半39分:大坂・岡本 英也 (伊藤 博幹・左クロス) 後半44分:清水・長沢 駿 (小泉 慶治・FK) 警告:後半18分:大阪・下平 匠 ※ラフプレイ 後半35分:清水・篠田 悠輔 ※ラフプレイ 後半44分:大坂・持留 新作 ※ラフプレイ
▼選手寸評 [私撰MVP] ●長沢 駿 (2年・FW) 全6得点に絡む。高い足技と柔軟性を活かしたターンと、判断の速い動き出しで、"FORWARD" らしい前を向いてのプレーができていた。簡単なバックパスをミスするのは修正点だが、左右、そして前へ、きびきびとしたポストプレーの視野は広い。
[私撰MIP] ●町田 朋弥 (2年・FW) ようやく「得点」という結果を得たが、プレー内容は継続して良い。裏を探る動きだけでなく、U-代表のガンバ守備陣を背負うポストプレーも確度が高く、長沢とFWの役割を互換して狙いを絞らせず。個人で見てもキレの良いドリブルを見せた。
●石垣 勝矢 (3年・CB) 大量得点にも気を緩めず、がむしゃらに向かってくる相手を力と受け止め、読みでかわし、危なげなく跳ね返した。攻撃の起点という点では佐野克ら他の2年生DF陣に劣るが、ミスの少なさと味方のミスに対する準備の良さは、群を抜く。
[相手方好印象選手] ●安田 理大 (3年・左SH→右FW): 速くて巧いドリブルが武器の、ユースの象徴的プレーヤー。黄色い声援の量は最強。 ●横谷 繁 (3年・DH→OH): ガンバらしい巧さと視野の広さは当然会得、加えて中盤の底で体を張る泥臭さを有する。
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