2005年12月18日(日) |
Jユース杯 FC東京戦 |
05年12月18日 (日) 14:00開始 フクダ電子アリーナ Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会 決勝トーナメント準々決勝 対 FC東京U-18 ※45分ハーフ 天候:晴れ
▼布陣 先発: 後半43分〜: −−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−八木−−長沢−−−−−− −−八木−−−−−−−−−−小泉−− − 桑原卓 −−−−−−−−−渥美−− −−−−−−高野−−柴田−−−−−− −−−−−−柴田−−神田−−−−−− − 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − − 佐野克 −石垣−−岩本− 桑原彬 − −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− 控え:吉田、岩本、渥美、神田、佐野諒、山崎竜、篠田 交代:前半22分:高野→神田 後半11分:町田→篠田 後半25分:小泉→渥美 後半31分:篠田→山崎竜 後半43分:山崎竜→岩本 (岩本をCB、佐野克を左SB、桑原卓を左SH、八木をFWに)
FC東京U-18: 先発: 後半40分〜: −−−−−−樋口−−金森−−−−−− −−−−−−常盤−−永露−−−−−− −−−−常盤−−永露−−村田−−−− −−−−大竹−−村田−−稲葉−−−− −−−−−−−−井澤−−−−−−−− −−−−−−−−中野−−−−−−−− −−森村−−伊藤−−田中−−小川−− −−森村−−伊藤−−田中−−小川−− −−−−−−−−権田−−−−−−−− −−−−−−−−権田−−−−−−−− 控え:田端、稲葉、恩田、椋原、中野、木村、大竹 交代:後半00分:金森→中野 (4-2-2-2に変更、中野をDH、永露をFWに) 後半14分:樋口→大竹 (大竹を左SH、常盤をFWに) 後半40分:井澤→稲葉 (4-1-3-2に変更、稲葉を右SH、村田をOHに)
▼試合展開 日本列島に寒波襲来。フクダ電子アリーナの周囲は最高気温7度の低温と潮風に晒されたが、スタジアム内は風が遮られ、益田・藤枝・仙台と続いたここ3試合と比べれば、まだ何とかなる観戦環境だった。厳しい景色と特に静岡からは距離のある立地ながら、両チームサポーターが数十人集まり、大きな声援を送っていた。 清水の先発は、前節仙台戦と同じ。ベンチメンバーも谷野が神田に代わっただけ。そして、仙台遠征に神田も帯同していたが、この千葉遠征には谷野が帯同。清水の陣容はもう固まっている。3年生4人に2年生7人が先発した。2年生は交代を含めて実に11人が出場したが、彼らにとって3年前のナイキカップ、そして2年前の高円宮杯U-15の相手、FC東京は忘れがたい存在だろう。 一方のFC東京、GK権田も、「清水にだけは絶対に負けたくない」と語ったそうだが、先発した2年生はその権田と森村の2人だけ。他は3年生8人、1年生1人。FC東京の3年生はクラ戦4強、1年生も高円宮杯4強を成し遂げているのだ、この層の厚さは当然だろう。更に言えば、大会得点王常盤をはじめ、樋口・小川、そして1年生ながらワンボランチを務めた井澤は、夏の時点ではレギュラーではなかった。ユースでの対戦は、実に5年前に遡る。当時はJ参入したばかりのFC東京も、今や首都圏の人口が供給する有望な人材を担う、強力な下部組織を有するに至った。
[前半] キックオフからロングキック、右SB桑原彬が跳ね返し、右SH小泉を経由してFW長沢が戻したボールを、東京OH永露がカット。横に叩くと、右OH村田のロングキックでPA内左、FW樋口がCB石垣と競り合いつつ、角度のないところから早くも初シュートを放った。先に流れを掴んだ東京は、4分に桑原彬のパスミスを拾って村田がミドル (枠外)、6分にスローインのクリアの乱れから樋口がシュートを放つ (GKキャッチ)。両SBの攻撃参加も旺盛で、突破力のある村田・常磐は高い位置を保ち、両サイドを崩しにかかった。 しかし、我慢の展開に慣れている清水は、CB石垣・佐野克が慌てずにクロスやロングフィードを跳ね返し、制空権を保持。すると11分、自陣から左SB桑原卓のクサビをFW町田が戻し、中盤に下がっていた長沢が前進するCH柴田の足先に縦パスを送る。スピードに乗った柴田が中央を持ち上がり、ミドルを放つが、GK権田が落ち着いて確保。次いで13分、相手ドリブルをカットした佐野克のクリアを柴田が繋ぎ、右に開いた小泉が大きなダイアゴナルフィード。PA左角付近で胸トラップした長沢が、続けて右足リフティングでDF1枚をひらりと交わし、裏に出てPA内シュート、は威力なく、GK権田がキャッチした。堅守から少ないタッチで一息にゴール前に迫る、清水の「ファストブレーク」はよく機能している。
とはいえ、ボールを保持する時間が長いのは、清水の両SH小泉・八木を、両SB森村・小川が完全に押し込んだ東京。行徳監督は22分に早くも高野から神田にボランチを入れ替えるが、ボール支配率は回復しない。東京は8分と14分、両SBからのクロスが樋口の足下に入る好機は、プレーが遅くてふいにしたが、25分、中盤で3人に囲まれた井澤が、プレスを掛けにきた小泉が空けたスペースにボールを散らす。そこに走り込んだ森村の左アーリークロスは、GK山崎晃が飛び出してパンチングクリア、を左OH常磐がダイレクトシュート。枠を外したが、会場を沸かす。続けて28分、井澤が左に散らしたボールに森村、一度は小泉がクリアするが、ライン上で粘った森村がフォローに来た常磐にパス。常磐は桑原彬を抜き去り、タッチライン沿いにドリブルしてマイナスに折り返すと、ファーで受けたFW金森がターン、の隙に桑原卓がブロック、シュートを許さない。 両サイドを制された清水は、流れの中で相手を崩す駒が足りない。この状況下で得点するには、1つはセットプレー。38分、八木の左CKはファーに流れ、柴田→石垣と繋ぐが、東京にクリアされる。しかし、守備に残っていた桑原卓がカット、PA右へ放り込むと、石垣が競り落として佐野克が繋ぎ、PA外から神田がシュート (GKキャッチ)。もう一つはファストブレーク。45分 (ロスタイム)、バイタルエイアでの東京の横パスを読んだ石垣が前に出てカット、クサビを長沢が落とすと、受けたのは何故か中央を駆け上がる桑原卓。スピードで1枚目のDFをすり抜け、2枚目のDFは交錯しながら強引に前に出て、GKと1対1。しかし、シュートはGK権田、更に町田が詰めるが、権田はボールを掻き寄せ、町田がファウルを採られた。 これで前半終了。ボール支配率は8:2で東京だが、プランどおりにゴールに近づいたのは清水の方だろう。勝負は後半に持ち越された。
FC東京 清水エスパルスユース 6(2) シュート 4(4) ○柴田、○長沢、○神田、○桑卓 5(1) 右クロス 2(0) ×町田、×町田 10(1) 左クロス 4(1) ×八木、×八木、×八木、○八木 2(1) 右側CK 0(0) 0(0) 左側CK 2(0) ×八木、×八木 0(−) 犯OS 2(−) ・町田、・長沢 8(1) ファウル 10(1) ・八木、・町田、・長沢、・町田、・神田、・長沢、・八木、×克彦、・町田、・町田
[後半] 後半、先に流れを掴んだのは清水。中央・長沢を基準点としたサイド攻撃を展開できるようになり、7分には外を回った桑原彬を囮に、小泉が中に切れ込んでミドル (GKキャッチ)。11分、小泉が長沢とのパス交換×2で中央を持ち上がり、戻したボールを柴田が右サイドに散らして、桑原彬がクロスを入れる。DFがクリアするが、こぼれをPA内で小泉が拾い、角度のない位置からシュート。が、大きく左に外れた。この状況を見て、行徳監督は町田を篠田に代え、フィニッシャーを投入して試合を決めにかかった。 だが、長沢との適切な距離感と役割交換を保っていた町田が抜けたことで、長沢が孤立。基準点を失った清水は次第に攻め倦むようになる。14分、大竹を投入して大会得点王・常磐を前線に上げた東京は、20分、そのFW常磐がなんでもない右スローインから強烈なターンシュートを放ち、反攻の気炎を上げた。右は馬力のある村田のドリブル、左は大竹がキレのある動きで裏を狙い、清水の両SHはまたも押し込まれた。こうなると、フィニッシュの場面が来ないフィニッシャーを置く意味が失われてしまう。行徳監督は31分、小澤のミドルが枠上に外れた後、途中投入した篠田を山崎竜に代える苦渋の決断をした。 一方的に攻める東京だが、決定的な場面は作っても、決定的なシュートは撃たせてもらえない。前半、15本のクロスを無駄にした反省からか、サイドを深く抉ってグラウンダーのクロスを入れるか、中央狭いところをスルーパスで割ろうとするのだが、正しい判断を選択しつづけるGK山崎晃と、粘り強い最終ライン、特に矢のように横から寄せてくる佐野克を、どうしても振り切れなかった。結局、東京のビッグチャンスは2つ。35分、山崎竜のオフサイドによるFK、GK権田が自陣左から敵陣右へ大きく蹴り込むが、FW永露が頭で繋いだボールを桑原彬が確保。だが、常磐が奪い返し、追いすがる桑原彬を引きはがして、タッチライン際からグラウンダーのクロスを入れる。しかし、桑原卓が村田の前に体を入れてタッチラインに逃げ、シュートを撃たせず。
その左CKのカウンターで、清水が久々の攻撃。長沢が繋いで桑原卓が中央を攻め上がり、左に捌いて八木のクロスに「俺が決める!」と駆け上がった石垣が合わせようとするが、オフサイド。その後、FC東京に最大の決定機。DH中野が井澤とのパス交換で柴田のプレスをかわして左に捌き、受けた森村がバイタルエリアに下がってきた常磐にクサビを入れる。清水は佐野克がラインをブレイクして対応、その佐野克の裏、石垣と桑原卓の間の中央狭いスペースを、常磐はスルーパスで狙った。割り込んできた井澤、ラストショットを放ったが、我慢して体勢を維持していたGK山崎晃が、両手で頭上を狙ったシュートをブロック、絶体絶命の場面を救った。 44分、桑原彬の縦フィードでスペースを突こうとした右SH渥美を、CB伊藤が横から突き倒し、距離30M・右60度ほどのFK。清水ベンチ前でのセットプレーに行徳監督・真田GKコーチから激しく指示が飛び、キッカーは181cmの佐野克に。選手はニアに神田一人を残し、敵味方集団でPA左角付近に群がる。佐野克の左足キック、巻いて落ちるボールに、まず反応したのは低く頭から突っ込んだ長沢。合わずにマークの伊藤と共に倒れたが、ボールはバウンドしてファーポスト付近へ。ポジション的に長沢の裏にいた岩本も合わせられたのだが、更にその裏で軽く頭を合わせたのは石垣。1−0。決めるべき人が決めた清水、石垣はチームメイトを手招きして清水応援席へと走り、歓喜のガッツポーズを突き上げて守備へと戻っていった。 FK前の指示とFK後の喜悦の間に、試合はロスタイムに突入していた。43分の山崎竜の負傷退場で岩本を入れ、結果として守備を厚くしていた清水。5バック気味に破綻なく守りきり、2年ぶりのベスト4へ駒を進めた。
FC東京 清水エスパルスユース 5(1) シュート 5(2) ×石垣、○小泉、×小泉、×長沢、◎石垣 3(0) 右クロス 3(0) ×小泉、×桑彬、×渥美 5(0) 左クロス 6(0) ×克彦、×八木、×町田、×八木、×八木、×八木 0(0) 右側CK 0(0) 2(0) 左側CK 2(1) ○八木、×八木 1(−) 犯OS 3(−) ・篠田、・竜男、・石垣 6(2) ファウル 5(0) ・町田、・柴田、・柴田、・八木、・長沢
▼試合結果 清水エスパルスユース 1−0 FC東京U-18 得点:後半44分:清水・石垣 勝矢 (佐野 克彦・FK) 警告:後半33分:清水・石垣 勝矢 ※異議
▼選手寸評 [私撰MVP] ●佐野 克彦 (2年・CB→左SB) 石垣に比べて競り勝った後のヘッドの精度に課題はあるが、競り合い自体は盤石。そのスピードは素晴らしく、裏をとられたはずの場面で次々と追いついた。流れの中でも左足は機能していたが、最後に技巧的なFKを披露、指名したベンチに応えた。
[私撰MIP] ●石垣 勝矢 (3年・CB) 空中戦は完璧に近い。地上戦でやや裏をとられがちで、その後の対応にも遅れが見えたが、この日は積極的に前に出る攻撃的が守備も光っていた。決勝点はごっちゃんゴールだが、それをふかさず、軽く頭で触れて決めた冷静さが、彼の魅力である。
●桑原 卓哉 (2年・左SB→左SH) キーマンにして主将の村田の突破には手を焼いたが、仕事をされたのは2度ほど。その村田と激しく競りながら、前後半の終盤に中央を持ち上がるスタミナには舌を巻く。と、中央で仕事しつつ、逆サイドからのクロスには堅実にファーをケアした。
[相手方好印象選手] ●森村 昂太 (2年・左SB): 守備力より攻撃力で、2年前にやられた小泉を制圧。走力があり、かつ質の高い左足を有する。 ●伊藤 龍 (3年・CB): 東京の空中戦不敗男。空中戦以外の対応力もあり、広くカバーして鋭いスライディングを見せた。
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