2005年11月13日(日) |
Jユース杯 横浜F・マリノス戦 (H) |
05年11月13日 (木) 14:00開始 藤枝市総合運動公園 サッカー場 Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会 対 横浜F・マリノスユース (H) ※45分ハーフ 天候:晴れ
▼布陣 先発: 後半31分〜: −−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−篠田−−長沢−−−−−− −−八木−−−−−−−−−−小泉−− − 山崎竜 −−−−−−−−−小泉−− −−−−−−柴田−−高野−−−−−− −−−−−−柴田−−高野−−−−−− − 桑原卓−佐野克 −石垣−−渥美−− − 桑原卓−佐野克 −石垣−−渥美−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− 控え:吉田、岩本、桑原彬、神田、佐野諒、篠田、山崎竜 交代:後半19分:町田→山崎竜 後半27分:八木→篠田 後半31分:篠田と山崎竜をポジションチェンジ
横浜F・マリノスユース: 先発: 後半43分〜: −−−−−−斉藤−−HM−−−−−− −−−−−−斉藤−−木村−−−−−− −−−−幸田−−−−−−富井−−−− −−−−富井−−−−−−加藤−−−− −−−−−−三浦−−山岸−−−−−− −−−−−−三浦−−山岸−−−−−− −−田代−−藤川−−佐藤− 奈良輪 − −−田代−−藤川−−佐藤− 奈良輪 − −−−−−−−−秋元−−−−−−−− −−−−−−−−秋元−−−−−−−− ※HM=ハーフナー マイク 交代:前半08分:富井と幸田をポジションチェンジ 後半37分:幸田→木村 後半43分:HM→加藤 (木村をFW、加藤を右OHに)
▼試合展開 三つ巴の争いになっているグループDは、3戦終えて横浜FM3勝、清水2勝1敗、京都3敗。が、土曜日に京都が甲府に敗戦してしまい、この試合を前に横浜FMと清水の勝ち抜けが決まってしまった。清水はこの試合に勝って初めて、1位通過と決勝トーナメント1回戦のホーム開催権の望みを繋ぐことができるが、それすら得失点差の関係で横浜FMの優位は揺るがない。位置づけの難しい試合になったが、5年前のクラブ選手権・Jユースカップ以来、この対戦が凡戦となったことはないので、今回も期待だ。 (あ、4年前のJユースカップは例外)。2年前には、ユース年代トップクラスの試合にも関わらず、同日開催の静岡県高校選手権決勝との注目度の差を嘆いた筆者だが、この日は両クラブサポーターが数多く来場。熱い声援で試合を盛り上げた。
怪我人と出場停止明け選手が、ほぼ全員戻ってきた清水。強豪相手に守備重視の3バックも考えられたが、怪我明けの岩本よりも、好調の八木・渥美の起用を選択して4バック。前回機能した長沢と町田の2トップに、CHは3年生コンビに変更。両CBが石垣・佐野克と前に出て強いタイプなだけに、ハーフナーより斉藤への対処がポイントとなる。一方の横浜も、前回機能した幸田投入後の布陣がベース。将来を嘱望される2年生長身DF・田代が戻ってきたが、彼を左SBに置いて藤川を1つ中に入れる選択をした。長谷川アーリア・ジャスールこそいないが、長身DFが揃う清水相手には、むしろこれがベストと言えるかもしれない。
[前半] 一度対戦し、相手の特徴を掴んでの試合。清水は相手の生命線、奈良輪−富井の右サイドをきっちり抑え、自分たちの突破口である右SH小泉にボールを集める。苦しいときの小泉頼りという精度の低いボールも多かったが、横浜の180cm左SB、田代のロングボール対応が怪しく、序盤の主導権を握ることに成功。4分、小泉の突破で得た渥美のロングスローをFW町田がPA内でキープ、FW長沢が入れ替わりつつオープニングシュート。10分、桑原卓の左スローインを受けた長沢が右SB奈良輪の裏にボールを落とす。受けた左SH八木は斜めに左へ開く町田を囮に、交差して中央に切れ込むと、低く速いクロスをファーに小泉が駆け込んでシュート、だがGK秋元にCKへディフレクトされた。横浜は攻撃の核、富井を左へ回し、左右バランスの改善を図る。 その後は横浜が持ち直し、18分にゴールキックをFWハーフナーが競り合い、こぼれ球を拾った三浦から、巧妙にコントロールしたスルーパスでFW斉藤が初シュートを記録。24分、スローインを右から奈良輪、OH幸田と繋ぎ、左OH富井がCH高野を抜き去ってPA内へ。しかし、左右から右SB渥美・CB石垣が着実にコースを限定、撃たされたシュートはGK山崎晃がパンチングで弾き返す。28分、田代のロングフィードから斉藤が抜け出すが、CB佐野克が横からコースを完璧に切って、シュートをGK山崎晃キャッチ。横浜はハーフナーが前線で核になれず、後方から最短距離のパスで斉藤を走らせるか、セットプレーでしか攻撃を創れず、展開が単調。それで好機に繋がるのは、個の能力の証明とも言えるが。
対する清水は、長沢と町田が交互に両SHと連携、サイドを崩しに掛かるが、中央の人数が足らず、クロスはGK秋元の支配下に置かれる。左右奥深くまで侵入し、CKも数多く奪うのだが、せっかく180cm超を3人揃えながら、そのまま秋元にキャッチされる場面が多い。それでも32分、ゴールキックを八木が落とすと、思い切りよく狙った長沢の30Mミドルから再びペースを掴みだし、37分、桑原卓が戻したボールを受けた佐野克が、ハーフナーを抜き去って中央を持ち上がって、長距離スルーパス。ウェーブの動きで抜け出た長沢がシュートを放つも弱く、GK秋元キャッチ。38分、高野がゆっくり中央を上がり、長い距離を走った桑原卓へロングフィード、早いタイミングのクロスに町田が飛び込んだが、ニアに外れる。39分、ゴールキックをカットした八木を起点に長沢が左に流し、八木のクロスをファーで168cm小泉の慣れないヘッドは、枠に飛ばなかった。 横浜も40分、富井の左CKをファーでハーフナーが頭で叩き付けたが、枠内に収まらない。その後はDH山岸のミドル (枠上) があった程度で、前半終了。ポゼッションサッカーの清水と堅守速攻の横浜という対照的な試合だが、長沢が基準点として機能し、奈良輪・田代を押し込んだ分だけ清水有利。それだけに、7度のCKを活かせなかった点が悔やまれる。
横浜FM 清水エスパルスユース 7(3) シュート 9(5) ×長沢、○小泉、○石垣、○八木、×八木、○長沢、○長沢、×町田、×小泉 2(1) 右クロス 4(0) ×小泉、×渥美、×渥美、×小泉 6(0) 左クロス 9(4) ×八木、○町田、×八木、×八木、○桑卓、×桑卓、×桑卓、○桑卓、○八木 1(0) 右側CK 3(1) ×八木、○八木、×八木 2(2) 左側CK 4(0) ×八木、×八木、×八木、×八木 3(−) 犯OS 0(−) 7(0) ファウル 3(0) ・八木、・町田、×八木
[後半] 後半キックオフは清水ボール。長沢・町田が石垣にボールを下げると、右に開いた小泉の足下へ中距離パス。小泉は少しキープして内側に上がってきた高野に戻すと、ダイレクトでスルーパスが送り込まれた。田代と藤川の間に抜け出すは町田、CB藤川が内側から体を寄せるが、強引に突破する町田にPA内で弾き飛ばされ、転倒。笛はなし。GKと1対1になった町田が小さく中に戻すと、長沢が美味しくご馳走をいただき、1−0。続けざまに1分、小泉の小さなクサビを町田が右に叩き、右SB渥美がライン際を疾走する。田代の裏を独走した渥美が余裕を持ってのクロスに、大外からフリーで八木が飛び込んだが、左足ボレーはニアサイドネットの外側。横浜も4分、PA左角手前で斉藤がルーレットからスルーパス、狭いところを山岸がPA内に抜け出たが、シュートはニアに外れた。 試合が慌ただしくなる中、清水は5分のFKのチャンスにクイックリスタートを選択しながら、桑原卓のオフサイドでむざむざ無駄にしてしまい、長沢が「落ち着こう!」と声を掛ける。そう、リードしている方が一緒になって展開を速める必要はないのだ。気持ちを切り替えた清水が、いつもどおりのサイドを使うサッカーを繰り広げるようになった10分、左に開いてボールを受けたハーフナーがターンから石垣を縦に突破して左クロス。これはGK山崎晃がパンチングでPA外に弾くが、幸田が走り込む。しかし、小泉が背中でシュートをブロックし、左CKへ。富井のキックは再びGK山崎晃がパンチングでPA外に弾くが、幸田が今度は左に叩く。富井の速いグラウンダーのクロスが、DFに当たってコースが変わる。GK山崎晃、ライン上でボールを手で押さえたが、迫り来た佐藤が無理に押し込み、1−1。同点。
同点に追いつかれた清水だが、一度落としたギアをシフトアップできず、勢いに乗る横浜に出足で劣るようになる。こういう場合に有効なのが選手交代だが、相変わらず最短距離でゴールに迫る横浜に対して守備の方は崩されていないので、大幅に組織を変えるのを躊躇したのか、19分に山崎竜、27分に篠田と前を入れ替えるに留まった。ただ、2人とも連携面で課題を残し、攻撃が単発で終わりがちになる。攻める横浜は、19分にハーフナーが競ったボールを山岸が頭で裏に押し出し、ハーフナーが飛び出してシュートは上。22分、PA内でハーフナーのプルプッシュからターンシュートも枠上。24分、奈良輪に対して八木がファウル、右サイド高い位置から富井のFKをハーフナーの裏で斉藤のヘッドは枠右。でも、マリノスサポーターは「マイク」コール (笑)。どうでもいいが、マリサポは「マイク」と「陽介」コールばかりなので、他の選手がちょっと可哀想だった。 守勢の清水は26分、佐野克のサイドチェンジから渥美の右クロスのクリアで左CKを得ると、八木の速く低いキックをニアで長沢が突っ込むが合わず、更にファーに抜けたボールに石垣がフリーで駆け込むが、後一歩追いつかない。横浜は32分、田代の50M対角線フィードで幸田がPA右に抜け出たが、シュートは上に外れる。このあたりから、前線の篠田の活発な動きで、前のスペースに高野や桑原卓が飛び出せるようになり、また横浜にファウルが増え始め、拮抗した状況に。すると42分、左SH山崎竜が戻したボールを内寄りで受けた桑原卓が、寄せてきた右OH木村の股を抜いて斜め前にパスを入れるが、その先に山岸がいた痛恨のミス。縦パスを受けた富井のスルーパスに、抜け出たのは斉藤。GK山崎晃が一呼吸早く前に出たかに見えたが、PKを恐れたか一瞬の逡巡。先に追いついた斉藤が中途半端な位置の山崎晃の肩越しにゴールを決め、1−2。
連続逆転負けはご免だと、清水は攻めの圧力を増すが、横浜の前線から体を張った守備の前に攻め倦む。そして、ロスタイムも2分経過、と、ここまで安定したセービングをしてきた秋元が驚愕のゴールキックミス。FW篠田がカットし、小さく左の長沢に叩くと自らは藤川の右外に回る。長沢は体を寄せるCB佐藤と競り合いつつ、GK秋元をよく見てラストショット。左足で放ったシュートは、GKのリズムを外した見た目以上に難しいシュートだったが、GK秋元も体勢を倒して足で食い止め、何とか自作自演に終止符。そして、次は高く蹴り上げたゴールキックで試合終了。個々の力では決して負けてたとは思えなかったが、2試合とも同じ結果になるだけの差が確かにそこにはあった。それは体力かもしれないし、精神力でもあるし、経験の差だろうし、戦術の現実性とも言えるだろう。
横浜FM 清水エスパルスユース 9(4) シュート 3(2) ◎長沢、×八木、○長沢 5(1) 右クロス 5(2) ○渥美、○渥美、×高野、×渥美、×高野 3(0) 左クロス 4(0) ×町田、×八木、×克彦、×克彦 0(0) 右側CK 1(0) ×高野 1(0) 左側CK 2(0) ×八木、△篠田 1(−) 犯OS 6(−) ・桑卓、・八木、・長沢、・長沢、・渥美、・竜男 7(2) ファウル 4(1) ×石垣、・町田、・柴田、・八木
▼試合結果 清水エスパルスユース 1−2 横浜F・マリノスユース 得点:後半00分:清水・長沢 駿 (町田 朋弥・ショートパス) 後半10分:横浜・佐藤 由将 ※こぼれ球 後半42分:横浜・斉藤 陽介 (富井 英司・スルーパス) 警告:後半24分:清水・八木 和秀 ※ラフプレイ 後半37分:横浜・田代 真一 ※ラフプレイ 後半40分:横浜・ハーフナー ※ラフプレイ
▼選手寸評 [私撰MVP] ●石垣 勝矢 (3年・CB) 完勝とはいかなかったが、今日もハーフナーを体で弾き飛ばし続け、対戦戦績3戦全勝。低くて速い質の高いロングフィードだけでなく、奪った後で小さく繋ぐパスも判断が良く、中盤を相手に支配された状況の中でも波状攻撃を許さなかった。
[私撰MIP] ●長沢 駿 (2年・FW) 見る度に成長を感じさせる旬の選手。得点自体は町田のプレゼントだが、空中戦・ポストプレー・周囲を見渡す広さ・裏に抜け出す速さ・中距離シュートの技術と、プレー幅を大きく広げつつある。体格に頼るプレーも、頼らないプレーも良い。
●桑原 卓哉 (2年・左SB) 失点に繋がるパスミスはいただけないが、クラ選MIP奈良輪を抑えた点を高く評価。ポジショニングの頭の良さや冷静に繋ぐ足技にも優れるが、例えハーフナーと競り合っても、その後すぐ次のプレーに移る体勢調整能力の高さが最大の魅力。
[相手方好印象選手] ●三浦 旭人 (3年・DH): プレスと正確な繋ぎで貢献する横浜の燻し銀は、衰えぬ体力で柴田を上回り、中盤を支配した。 ●秋元 陽太 (3年・GK): キャッチング能力に長け、生半可なシュートやクロスは一次攻撃で封鎖。フィードの質も高い。
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