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2004年07月10日(土) プリンス東海 岐阜工業高校戦

04年7月10日 (土) 15:15開始 大垣浅中総合公園球技場
 JFAプリンスリーグU-18 東海 2004 第8節
 対 岐阜工業高校 ※45分ハーフ
 天候:晴れ 時々曇 一時雨

▼布陣
先発:                終了間際:

−−−−− 篠田悠 −町田−−−−−− −−−−− 篠田悠 −町田−−−−−−

− 鈴木真 −−−−−−−−−柴田−− −−岡村−−−−−−−−−−小泉−−

−−−−− 山本真 −池田−−−−−− −−−−− 山本真 −池田−−−−−−

− 桑原卓−佐野克− 村越−−上埜−− − 桑原卓 −岩本−−村越− 高野美 −

−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−

控え:晃太、石垣、岩本、渥美、谷野、岡村、小泉、長沢
交代:後半14分:上埜 →高野美 (そのまま右SBに)
   後半19分:風間 →山崎晃 (そのままGKに)
        鈴木真→岡村  (そのまま左SHに)
   後半31分:柴田 →小泉  (そのまま右SHに)
        佐野克→岩本  (そのままCBに)

岐阜工業高校:

−−−−−−−−19−−−−−−−−

−−−−07−−臼井−−栗本−−−−

−−−−−−10−−奥田−−−−−−
                   交代:後半00分:19→13 (臼井と13の2トップ)
−−14−−04−−03−−05−−         05→15 (14が右SB、15が左SBに)
                      後半26分:栗本→02
−−−−−−−−清水−−−−−−−−         04→20


▼試合展開

 愛知県一宮市で床下浸水が起きて新幹線も止まった日に、岐阜県大垣市で行われたプリンス東海第8節。13時から行われた四中工−暁 (3−1、四中工の中川と中林、西井が目立ってた) の前に雨はあがったが、ところどころに水たまりが残る悪コンディション。元より芝生が禿げ上がる部分が目立つグラウンドは、前の試合で90分間「耕され」、酷い状況になっていた。加えて豪雨はどこと。水蒸気が立ち上り、とんでもない蒸し暑さが選手を襲う。
 前節、磐田に大敗し、大会初黒星を喫した清水は、大幅に選手を入れ替えた。本来、前節ミスの目立った渥美に代えて上埜を右SBに起用、中盤ではJrユース相手とはいえ4点を決めた柴田を大会初先発させた。前線は石垣・長沢のツインタワーに代え、篠田悠・町田の点獲り屋2人の2トップ。築館前監督を思わせる、かなり攻撃的な布陣だ。3年生4人、2年生3人、1年生4人。これでも1年生は、今までで最少人数だ。
 清水同様、前節は大敗を喫した岐阜工 (対 名古屋0−6)。暁戦こそ完封 (ドロー) したものの、それ以外の相手に3失点以上で7試合25失点と、守備崩壊を立て直せないでいる。3年生の層が薄く、2年生中心で戦っていると聞くが、やはり名将・大野監督が転勤した影響もあるのだろう。ここまで密かに4試合、岐阜工を観戦している筆者だが、DF陣は屈強ながらスピードに脆い印象がある。さらに、たぶん2番のU-16代表・松井は、名古屋戦で出場停止になったのか姿なし。後半、右SHに2番が入ったが、違う選手だと思う。関係者でもなんでもない筆者は、メンバー表を持っていないので、上記はあくまで推測。間違ってたらすいません。


( 背後のピッチを見てもらえば分かるとおり、かなり酷いグラウンドコンディション。
 整列は左から、村越、真希、悠輔、柴田、上埜、町田、佐野、桑卓、真司、風間、池田)

[前半]
 酷暑と悪ピッチは、個人技重視の清水に不利と思われた。立ち上がりが勝負と見たのか、清水は快調に飛ばす。開始直後、東邦戦以来4節ぶりの先発復帰となる町田が飛び出して、いきなりオフサイド。1分、悠輔のシュートはDFブロック、GKが拾いきれずにこぼれたボールを町田が反転シュート、DFに当たって枠外。4分、左に開いた町田が浮き球トラップで突破、中に切れ込みつつ左に叩くと、ボランチの僚友・池田が大外に回り込んで左クロス、DFクリア。これを拾った真希が、再度左サイドを突破。スピードで強引にブッ千切ると、全力を込めた高速クロス。町田が飛び込んで合わせたが、DFと交錯してボールがこぼれる。すぐ近くにいた悠輔が体ごとDFとGKの網を押し広げ、ボールをゴールに収めた。1−0。PA内の強引さは、さすがスペイン仕込み。清水が一気呵成に攻めきった。
 その後も清水は、攻め手を緩めない。7分にも、真希が奪うと自ら右サイドを突破、高速クロスにDFが処理ミス、こぼれたボールが足下深く入ったのを巧く処理して、悠輔がPA内でシュートを放ったが、GK清水が横っ飛びでパンチングする。中盤の底に池田を一人残し、その前で自由奔放に真希が動く格好で攻める清水だが、4−2−3−1でサイドを重視する岐阜工も簡単にはサイドの攻防で譲らず、次第に展開が縦に急ぐ単調なものに。町田が順調にオフサイドを稼ぐ。19分に柴田が浮き球トラップでDFを交わしスピードで縦突破、抉って右クロスはニアの悠輔に合わず、だがその裏にいた町田がボレーは、ニアポストに嫌われる。
 久々にサイドを攻略した清水だったが、その後の21分。岐阜工は中盤左からロングボールをPA内右に対角線で送り込むと、右MF栗本がCB佐野の前に走り込む。体を寄せる佐野を肩でブロックしつつ、ダイレクトでボレーシュート。難易度の高いシュートを枠内にコントロールしたのはさすがだが、生憎コースがなく、GK風間が弾くと、カバーした桑卓が右CKに逃れた。奥田の右CKはニアで真希がクリア、ファーで流れて上埜がキープし、町田がポストからスルーパスは、一歩間に合わずGKが抑えた。だが、それに突っ込んだのは、最初にクリアした真希。相変わらず恐ろしい運動量である。


(28分、ポストに入った悠輔が巧くファウルをもらい、右45度35M程ある位置から真司のFK。ニアの悠輔がバックヘッドを放つがDF4番に跳ね返され、リバウンドを真希のシュートはブロック、更に池田のミドルは枠上)

 カウンターで一つ形を作った清水。酷暑の疲労で序盤のフォアプレスは弱まり、逆に岐阜工のプレスが上回ったのを見て、速攻モードに切り替えた。29分、岐阜工プレスにパスが乱れ、上埜が高くクリアして時間を稼ぐと、センターサークル付近で真司が待ち受ける。とりわけ芝が荒れたその位置で、真司は巧みなトラップと重心を低くしたターンでキープ、代わって左に流れた池田に捌く。池田は前の真希に当てて更に左へ回るが、真希はその動きを囮に中にトゥットっぽいスライド移動からミドル。GK清水、横っ飛びで好セーブ。32分には、やはり岐阜工のプレスを避けてGK風間に戻す。風間は長く蹴り出そうするが、一人真希が最終ラインの右に顔を出し、パスを要求。ボールが渡った時、真希に加納隆次が乗り移る。「藤田東のフラッシュパス」発動。真希から彼と入れ替わって中盤右に位置する上埜へ、ダイレクトで叩いて右サイドに開いた柴田へ、ダイレクトでPA手前の町田へ、そしてPA内にスルーパス。飛び出した悠輔が溜めて溜めて、耐えきれずにGK清水が体勢を崩した瞬間、初めて右足を一閃。GKの上を越えて、ゴール中央に吸い込まれた。恐ろしいまでの落ち着きっぷり。2−0。ハッキリ全部覚はえてはないが、ほぼ全てがダイレクトだったはず。しかし、現実であれにお目にかかれるとは…。
 その後、34分にも池田→上埜→真希が縦突破→町田ポスト→悠輔スルーパス→真司オフサイドという速い攻撃があったが、清水の攻撃は一段落。岐阜工がボールを持つ時間も長くなり、38分には7番?に抜け出され、たまらず上埜が手を使って止め、岐阜工に右35度30MほどからFKを与えてしまう。だが、岐阜工は中途半端に素早く始めてしまい、結局、誰かのミドルシュートをゴール前で真希がブロック (また、この男かよ) 。岐阜工はなおもサイドから攻めるが、前節石神にヤられた桑卓が、相手のキーマン・右MF栗本にコンタクトで優位に立つ汚名返上。2−0のまま、試合を折り返した。

岐阜工       清水エスパルス
2(2) シュート 10(5) ○町田、◎悠輔、○悠輔、×悠輔、×真希、×真希、×町田、×池田、○真希、◎悠輔
3(0) 右クロス 7(1) ×真希、×上埜、×柴田、×真希、×上埜、○柴田、×柴田
0(0) 左クロス 7(2) ×池田、◎真希、×真司、×悠輔、×町田、○池田、×真司
1(0) 右側CK 5(0) ×真司、×真司、△真司、×真司、×真司
0(0) 左側CK 3(0) ×池田、×池田、×池田
0(−)  犯OS  7(−) ・町田、・町田、・町田、・真司、・町田、・悠輔、・悠輔
6(3) ファウル 8(1) ・上埜、・真希、・真希、・町田、・真司、・悠輔、×上埜、・悠輔

[後半]
 後半開始。キックオフから清水の攻撃を岐阜工が跳ね返すが、それを奪い返して中盤の真希に。すかさず、真希が低く鋭い弾道でスルーパス。立ち上がりで集中力を欠いたのか、前半に7つものオフサイドを奪った岐阜工の最終ラインは、後半から投入された左SBの15番が残っていた。単身抜け出した真司は、ゴールライン際から左クロスを送る。ゴール直前に飛び込んだ悠輔に僅かに合わず、「ああ〜」と思った瞬間、右サイドから詰め寄った柴田が右足インサイドで「逆サイドネット」に折り返す。3−0。これで岐阜工は気落ちしたのか、前半から酷く走り回された疲れのせいか、一方的な展開に。「耕された」グラウンドは非常に重く、強く速く低いボールの蹴れる清水との差が如実に表れ、またボールを「泥」に付けない浮き球の処理にも雲泥の差があった。筆者の事前の予想と逆に、フィジカル以上にテクニックの差が優劣を分ける。10Mほどの横パスも満足に繋げないほど、岐阜工は疲れていた。


(4分、悠輔のスルーパスから真司がバックチャージを受け、獲得したFKを真希が直接狙うが、威力が今一つでGK正面)

 それでも岐阜工は、ファウルも厭わぬ粘りで暫く凌いでいたが、10分、柴田のオフェンスファウルで得たFKを、焦って始めてパスミスし、敢えなく清水のスローインに。上埜が素早く始めると、受けた柴田がスルーパス、そこに今度は右サイドにやってきました、山本真希。ゴールライン際で強引な方向転換でDFを抜き去ると、痛烈な右クロスをFW2枚が同じポジションに重なりながら、一歩先に悠輔が柔らかくGKの左肩上を狙うコントロールショットを決めた。4−0。悠輔、あっさりとハットトリック達成。淡々とした悠輔に町田が両手を合わせて喜びを分かち合うが、「次は俺に譲ってくださいよ!」って言ってるようにも見える (笑) 。
 15分、自陣左からのスローインを受けた真希が前線の町田に長いクサビ、そして自らも一直線に30Mを猛ダッシュ。キープする町田と猛烈な勢いで入れ替わりつつリターンをもらい、そのまま走り込んではPA手前で右横へ飛び跳ね、豪放なミドルシュート炸裂。ゴール右に叩き込んだ。5−0。駆けつけたサポーターに大人気の真希、高らかに応援歌を歌われる。…あ、平岡のと同じだ。攻撃の手を緩めない清水は17分、中盤で美臣→真希と繋いでクサビを入れると、町田が右斜めにドリブル開始。この時、悠輔が左斜めに抜け出してスルーパスを受ける体勢に入ったが、敢えて無視。柔らかい足下のドリブルでDFを崩すと、PA外から右足アウトに掛けたミドルシュート。町田らしくない (爆) 鮮やかな曲線を描いて、ゴール右に吸い込まれた。6−0。お祭り男・町田、このゴールに大喜び。散々はしゃいだ挙げ句、美臣と腰を突き合わせ、「ハッスル、ハッスル」(笑)

 19分、GKを途中交代させる余裕を見せる清水は、その交代直後の岡村の左スローイン。町田のポストの左横を真希が駆け抜けてパスをもらい、弾むようなステップからクロス。ゴール前を高速で横切ってファーだが、これをダフって混戦、悠輔の掬い上げるようなシュートはGK清水が間に合う。21分、岡村→真希のパスの間を桑卓が駆け抜け、パスを受けて左クロス、ニアの悠輔はDFブロック、それを近くの町田が合わせるが、今度は右ポストがブロックする。その直後、PA内で悠輔が背後からプッシングで倒れるが、審判がお目こぼし。しかし、これらの場面や1点目・3点目でも分かるとおり、悠輔と町田は得点への強い意欲をチームに持ち込んだ一方、互いに良いポジションを取ろうとして重なることが多く、PA内で無用の混戦状態を作り出す一因となった。また、突如降り出したスコールのような激しい雨が、微妙に清水のボールコントロールを狂わせ、疲労した岐阜工DFを一時的に回復させていた。
 33分、悠輔のスルーパスから岡村が左サイドを抜け出し、クロスを町田がボレーは枠上。ワンタッチあって真希が右CKでショートコーナーを選択、受けたレフティの岡村が切れ込んでニアに強烈なシュートを放ったが、DFがブロックした。その後も村越が殆どボランチの位置でプレーしたり、岩本が持ち上がって相手陣内深くまで攻め上がったり、波状攻撃を仕掛けるが一押し足りない。途中投入の岡村・小泉が幾度となくサイドを崩すが、岐阜工DFもPA内で強さを示す。41分、町田のスルーパスから岡村が左サイドを突破、スピードでDFを抜き去ってゴールライン際から折り返したクロスに、いつの間に走り込んだ町田は合わず、だがその後ろで悠輔がシュート、枠外。名手悠輔がPA内で決定機にフカす場面を見たのは初めてだ。ならばと44分、敵陣のFKを真希が小さく岡村にパスすると彼を追い抜き、岡村が体を捻転させてサイドに開いた真希へ、真希の弾道の低い高速クロス (彼のクロスはこればっかりだ) を悠輔が右足ラボーナでボレー、も枠に決まらず。圧倒的攻勢ながら追加点の決まらない物足りない後半となった、
 と思われたロスタイム。速い判断から池田が、得意の対角線に味方を走らせるロングスルーパス。逆回転を掛けたパスが同期の小泉の駆け込む先にピタリ。途中投入後、盛んに1対1を挑んでいた小泉、ここは独走で相手を置き去りにしてゴールライン際で速い右クロスを送る。ニアの悠輔とその裏にいた町田 (この2人のポジションも、こんなのばっかりだ) には合わなかったが、ファーにいた岡村が左足のジャンピングボレー。凄絶な弾道が逆サイドネットに決まって、7−0。最後に町田が通算6度目のオフサイドを稼ぎ、町田のオフサイドで始まった試合は、町田のオフサイドで幕を閉じた。

岐阜工       清水エスパルス
0(0) シュート 16(9) ◎柴田、×町田、○真希、◎悠輔、◎真希、◎町田、○真希、○悠輔、×町田、×真希
               ×町田、○岡村、×村越、×悠輔、×悠輔、◎岡村
0(0) 右クロス 9(4) ○柴田、×柴田、◎真希、×小泉、×小泉、×小泉、×小泉、○真希、◎小泉
0(0) 左クロス 7(4) ◎真司、◎真希、○桑卓、×真希、×桑卓、○岡村、×桑卓
0(0) 右側CK 4(0) ×真司、×岡村、△真希、×岡村
0(0) 左側CK 4(1) ○池田、×池田、×真希、×真希
0(−)  犯OS  3(−) ・岡村、・町田、・町田
12(5) ファウル 2(0) ・佐野、・柴田


▼試合結果

清水エスパルスユース 7−0 岐阜工業高校
 得点:前半04分:清水・篠田 悠輔 (町田 朋弥 ・シュートリバウンド ← 山本 真希 ・左クロス)
    前半32分:清水・篠田 悠輔 (町田 朋弥 ・スルーパス)
    後半00分:清水・柴田 和也 (鈴木 真司 ・左クロス)
    後半10分:清水・篠田 悠輔 (山本 真希 ・右クロス)
    後半15分:清水・山本 真希 (町田 朋弥 ・ポストプレー)
    後半17分:清水・町田 朋弥 (山本 真希 ・クサビのパス)
    後半44分:清水・岡村総一郎 (小泉 慶治 ・右クロス)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●山本 真希 (2年・CH)
 サポーターの声援に触発されたか、色気を出しすぎて無謀なドリブル突破やミドルシュートを狙う場面が目に付き、実際にミスも多かったのだが、それでも1得点3アシストなのだから次元が違う。2点目・3点目も起点になり、実に7点中6点に絡んだ。攻守に縦横無尽に動き回り、豊富な運動量を活かすスタイルを完成させつつある。

[私撰MIP]
●池田 康彦 (1年・CH)
 ボランチとしては、真希以上に仕事を全う。真希が精力的に、だが自由に攻守に貢献する一方、池田は要所を抑えた的確なポジショニングと、スペースへの鋭いパスで、試合に落ち着きを与えた。前節・磐田戦ではそのパスを狙われて波状攻撃を許したが、相手に違いはあるが速い判断と大きな展開を心掛けており、課題に真面目に取り組む態度が感じられる。

●篠田 悠輔 (2年・FW) & 町田 朋弥 (1年・FW)
 点獲り屋2人。悠輔は足下のテクニックとマリーシア、町田はポストもできる万能型っぷりも示したが、究極的にはやっぱり点獲り屋。とにかくゴール前のポジションが重なり、とても良い補完関係とは言い難いが、それでも2人で4得点3アシストを荒稼ぎした。点獲り屋同士の負けん気がプラス方向に向かえば、実に面白い2トップだ。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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