2004年06月12日(土) |
プリンス東海 四日市中央工業高校戦 |
04年6月12日 (日) 14:15開始 長良川球技メドウ JFAプリンスリーグU-18 東海 2004 第5節 対四日市中央工業高校 ※45分ハーフ 天候:曇
▼布陣 先発: 後半13分〜44分:
−−−−−−長沢− 山本真 −−−−− −−−−−−−−長沢−−−−−−−−
−−岡村−−−−−−−−− 篠田悠 − −−− 篠田悠−山本真 −小泉−−−−
−−−−−−池田−−谷野−−−−−− −−−−−−枝村−−池田−−−−−−
− 桑原卓−佐野克−高野美 −渥美−− − 桑原卓−佐野克−高野美 −渥美−−
−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−風間−−−−−−−−
交代:前半38分:山本真と篠田悠をポジションチェンジ 後半00分:谷野 →枝村 (そのままCHに) 後半13分:岡村 →小泉 (4−2−3−1にシステム変更、上図参照方) 後半44分:佐野克→岩本 (そのままCBに)
四日市中央工業高校:
−−−−−−南川−−若山−−−−−−
−−−− 東 −−−−−−中林−−−−
−−−−−−高石−−馬場−−−−−−
−− 林 −−中川−−池田−−西井−− 交代:後半07分:若山→坂井 −−−−−−−−水谷−−−−−−−− 後半24分:中林→梅本
▼試合展開 清水は石垣・村越の両CBが出場停止で、遠征に帯同せず。他のレギュラークラスでは、真司の姿もなかった。だが、そうした要素を抜きにしても、「監督が代わっても戦術的に変更はない」という地元紙へのコメントに反して、大幅に入れ替わった。美臣をCBとしてDFリーダーに、また谷野が大会で初めて先発に抜擢された。真希と悠輔は従来のポジションと逆である。私の考えでは3年生が昇格を賭ける勝負の年、1年生はユースのスピードに慣れる年だが、2年生はプレーの幅を広げる年だと思う。こうした試みは歓迎したい。それにしても、フィールドプレーヤーに3年生が一人しかいねえ。その岡村がゲームキャプテン。そして、半分が1年生かよ。 四中工は…、すいません、誰か正確な背番号教えてください。8割方合ってるとは思うのだが。昨年の高校選手権で、優勝した国見を苦しめたチームは、3年生にテクニシャンの高石・中林、万能型FWの南川らが揃う。更に2年生は黄金世代で、昨年U-16代表に総合力の高いDF中川と突貫型FW坂井、昨年U-16ナショナルトレセンには186cmの大型GK水谷、身体能力の高い西井が選ばれた。他にもボランチも務める大型DFの池田、センスフルなFW若山と選り取り見取り。なんでこのチームが浜名に負け、藤枝東に大敗し、IH予選では暁に敗れたのか、不思議で仕方がない。思えば、夏の大会の早期敗退、充実した下級生世代と、どこかエスパルスに似ている。
(試合開始前の礼を終えて。左から渥美、桑卓、悠輔、谷野、渥美、風間、真希、美臣、佐野、長沢、岡村)
[前半] 序盤こそFW真希がボランチと変わらぬ運動量でプレスを率先、機先を制した清水だが、次第に四中工が戻りの遅い悠輔の清水右サイドで起点を作り始め、同時に24番・10番を中心に流動的かつ精力的な運動量で、清水に圧力を掛ける。併せて3分に13番、10分に24番がミドルシュートを狙うことで、徐々に最終ラインを押し込んだ。13分には18番が渥美を縦に抜き去ってから中に切れ込んでシュート、ニアポストを直撃する。清水も15分に谷野の左CKから長沢がヘッドを放つなど反撃するが、ボランチが潰されて起点になりえない状況では、流れの中で良い形は生まれなかった。
(前半15分、ニアで長沢 (中央) ヘッド、僅かに上。セットプレー限定ながら、最近は空中戦が本当に強くなった)
暫く潰し合いが続いた後、20分。四中工、左SB林がFW南川とのワンツーで左サイドを縦へ、ただでさえ戻りが遅れていた悠輔に加えて渥美も置き去りにする。縦パスを送ると、右MFの10番が左ニアポスト際に飛び出しながらそれを受け、ゴール至近距離。が、そこでふわりと左クロス。ファーポスト際で24番が丁寧に頭で合わせ、GK風間が外れたゴール右に流し込んだ。0−1。脱帽せざるを得ない、完璧に崩されてのゴールである。 22分の清水。右サイドを抉った悠輔から、斜め後ろに戻したクロスを左から斜め前に走り込んだ岡村が受け、垂直方向、つまり斜め左前へスルーパスを送る。ダイアゴナルの連鎖でマークを外した長沢、PA内右足でファー右上角を狙ったが、ループ気味のシュートは枠を捉えない。その後、暫く先制された清水が反発する時間が続くが、四中工は運動量とテクニックを兼ね揃えるMFが次第に清水CH・左右SBを翻弄し、再び最終ラインをPA内まで押し込めてしまう。31分には、右サイドを抉った10番がPA右角の13番に戻すと、13番はPA内にショートパス。南川がスルー、24番がポストに入ってダイレクトワンツー、13番が再び受けてPA直前からのダイレクトミドルは僅かに枠左。清水のお株を奪う、素晴らしいテンポでのパス回しだった。
流れの中で好機を創れない清水は、31分に谷野の左CKに長沢が体を投げ出しながら頭を合わせるが、枠右に外れる。逆に32分、谷野のファウルでPA直前中央からのFK、南川が壁を外から巻いて左端を狙ったが、GK風間がディフレクト。てんで好転しない流れに、ついに望月監督代行は悠輔と真希を入れ替え、本来のポジションに戻す。すると、サイドに張った真希こそボールが来なくて苛立っていたが (笑) 、悠輔は正に水を得た魚。素敵なトーキックトラップでポストしてみたりする。そして、ロスタイム、四中工24番の戻りオフサイドで自陣ハーフライン際からFK。蹴るのは桑原卓哉。独特のドライブの掛かったロングキックを待ち受けるのは長沢、この男、目測を誤らない状況なら空中戦に滅法強い。丁寧に叩き落とすと、あ、PA内で悠輔がフリーじゃん。この男が外すはずがなかった。GKを一呼吸外して、右足インサイドでゴール右に叩き込み、1−1。試合の殆どを押し込まれていた清水だが、篠田悠輔の天啓「一撃必殺」で同点に追いつき、試合を折り返した。
四中工 清水エスパルス 10(3) シュート 4(2) ×長沢、○長沢、×長沢、◎悠輔 0(0) 右クロス 3(1) ×真希、○悠輔、×谷野 5(1) 左クロス 1(0) ×岡村 1(0) 右側CK 4(1) ×岡村、○谷野、×谷野、×谷野 2(1) 左側CK 1(1) ○谷野 2(−) 犯OS 3(−) ・真希、・長沢、・長沢 3(1) ファウル 6(2) ・悠輔、・桑卓、・長沢、×谷野、×岡村、・桑卓
[後半] 後半、約2ヶ月ぶりに枝村登場。だが、最初の決定機は四中工の方。左サイドから渥美がマークする18番が外に叩くと、戻りが遅れた真希を尻目に左SB林がオーバーラップ。上げた左クロスにGK風間が飛び出そうとして躊躇、それで佐野の呼吸が乱れ、その裏で24番が頭を合わせた。が、躊躇が幸い、シュートはすっぽりと風間の正面に。そして、舞台は枝村の復活劇へと移り変わる。 まずは6分、自陣左サイドから桑卓が左足でインに巻く長いクサビのボールを入れる。PA手前中央の悠輔が左に流すと、外から斜めに走り込んできた岡村が受けてゴールライン際で急速方向転換、華麗にDFを一枚交わしてラストパスの左クロス。至近距離で枝村が右足を合わせたが…、枠右へ。だが、神出鬼没なゴール前への飛び出しは健在。9分には右サイドから真希が野性味溢れるドリブル、小さく斜めに戻して悠輔、粘って更に戻すと得意の枝村ミドル!、正確な右足インサイドのインパクトは枠左へ外れた。だが、ここまでは試運転。枝村のタコメーターは、13分の小泉投入を機に4−2−3−1に移行すると、左サイドの枝村−真希−悠輔のトライアングルを軸として回転していく。
あまり使いたくない言葉なのだが、枝村は別格だ。今までのユースは、真希「だけ」が目立っていたが、枝村・真希と更に悠輔が絡むテンポの速さは、互いに分かり合える者「たち」の競演である。また往事の半分程度の運動量ながら、枝村は相手の呼吸・体重移動を微妙に外す柔らかなタッチでプレスをいなす。中盤の底で奪われず、逆にそこからダイアゴナルフィードで左右に散らす攻撃は、それまでのSBとSHが同一サイドで縦に繋ぐ攻撃とは、次元がが異なるもの。真希や池田、或いは谷野が決して質が低いボランチとは思わない。だが、それでもボランチとして、枝村は別格だ。 まず17分、右に散らしたボールを渥美がアーリークロス、PA手前で悠輔が受けて反転、浮き球の縦パスを長沢が懐の深さを活かして切り返し、右足インサイドでGKの左肩口を狙ったが、GK水谷ディフレクト。19分、枝村→悠輔→真希とスペースに通して左クロスはDFが弾き、枝村の左CK。ファーでDFがクリアするが、こぼれ球を最後は池田がスライディングで奪いながらサイドチェンジする美技。再び枝村が受けると、相手の体重移動の逆を突く独特の切り返しで抜き去って、PA内へと突破。もう一度切り返してニアを狙った強シュートは、GK水谷が防いだ。が、まだ続く。リバウンドを枝村が自ら拾い、フォローした桑卓へ。粘って桑卓がリターン、枝村にはDFが付いていたが、ダイレクトで左クロスを送る。DFのクリアがファーにこぼれ、今度は小泉がフォロー。自慢のクイックネスでマークを振り回し、上げたクロスをニアで真希が右足を合わせたが、ゴール右を狙ったシュートもGK水谷。一人でPA内シュートを3点叩き落とした勘定になる。 でも、まだ続く。22分、プレスをいなした枝村が桑卓に戻すと、桑卓が枝村が乗り移ったような素晴らしいサイドチェンジ。受けた真希が縦にパス、そして小泉。トップで売り出し中の太田を思わせる脅威の連続切り返しでDFを外し、上げた右クロスにニアで同期のエース、長沢。至近距離からニアのGK肩口を狙ったシュートは、しかし水谷がまたも超反応を示し、CKにディフレクトする。枝村、復帰から4本目のセットプレー。それまで今ひとつ感覚を取り戻せていない様子だったが、これは真希の頭にピタリ。その弾道をGK水谷、今度はバレーのセッターのような格好でシュートを突き上げ、再びCKにディフレクトした。枝村5本目、ファーに合わせたボールを長沢が折り返し、真希が落とすと、悠輔。マクー空間でのギャバンの怪人並みにPA内では能力が3倍になる悠輔、DFに囲まれながら圧倒的なキープ力、しかも自ら振り向いてニアの下隅を狙ったシュートを放った。が、これもGK水谷が反応、一人でゴールエリア前後の至近距離シュートを3点阻んだ勘定になる。
とはいえ、四中工はGK水谷だけで守っていたわけではない。DF陣は高いフィジカルと、殆どのボールをダイレクトで処理する技術と判断を身につけ、しぶとく抵抗していた。そして、疲労が蓄積してスペースが空いたこの時間帯からは、スピードとテクニックを兼備する坂井らFW陣が奮起する。27分、池田がバックパスをミス。南川?にカットされ右に展開すると速い速い坂井。十分に抉って上げた右クロスを、ほぼ中央から18番が飛び込んでボレーを放つ決定機。が、これはファー左ポスト前でゴールに流し込んだ15番が勇み足。オフサイドに救われる。 ただ、四中工の衰えぬ前線プレスに手を焼きながらも、その中で好機を作り続けたのは清水の方。34分、枝村のフィードから真希が左サイドをドリブル突破、DFに阻まれて一度サイドに開くと、戻して桑卓が左クロス。これをニアに入り込んだ悠輔が頭で合わせたが、僅かに左。39分、枝村が悠輔との大きなワンツーで左スペースへと抜けると、高速低空クロスにニアで長沢が飛び込む…が、あと一歩が足りず。が、小泉がフォロー。上げたクロスを真希が右足を合わせたが、DFがディフレクト、CKに逃れた。
(その後半39分の左CK、佐野 (中央) が寄せてきた馬場の体を利用しつつヘッドを放つが、GKの前にDFがクリア)
試合は、ロスタイム4分の攻防へ。戦術=坂井のスピードの四中工、再三縦にブッちぎっては速く低いクロスを送り込んでいた坂井が45分、再び桑卓と美臣までちぎってシュートを狙うが、再びゴール前を横切ってファーに外れる。次は清水。46分、美臣のクサビのパスを、未だ運動量が衰えぬ真希が顔を出して受け、ターンしてドリブル開始。と見せて横に叩くや、そこに飛び込むは枝村。得意のミドル、阻んだのはまたもGK水谷。こぼれ球を真希が詰めるが、オフサイド。47分、枝村のパスから真希がPA内に侵入、それを潰したDF池田が倒れた腕にボールが当たったが、…さすがにPKは採れないか。49分20秒、激戦の終了を告げる笛が吹かれた。
四中工 清水エスパルス 6(3) シュート 13(8) ×真希、×枝村、×枝村、○長沢、○枝村、○真希、○長沢、○真希、○悠輔、×枝村 ×悠輔、○小泉、○枝村 4(2) 右クロス 4(3) ×枝村、○真希、○渥美、○小泉 5(1) 左クロス 7(4) ○岡村、○桑卓、○真希、×枝村、○桑卓、×枝村、×枝村 1(0) 右側CK 5(3) ×枝村、×枝村、○枝村、○枝村、○枝村 0(0) 左側CK 1(0) ×枝村 2(−) 犯OS 1(−) ・真希 6(0) ファウル 5(0) ・岡村、・小泉、・佐野、・枝村、・岩本
(久々にキャプテンマークが枝村に戻ってきた。左から枝村、小泉、長沢、悠輔、真希、池田、渥美、風間、美臣、岩本、桑卓)
プリンス3位以内勝ち抜けを考えると、この勝点1は確かに痛い。だがしかし、後半は間違いなく04年最高の内容だった。凄まじいテンポでパスと選手が動き続け、前半戦では殊勲の選手すら、物足りなさが残るほど。主力が戻る効果は、単に加算するのではなく、相乗する。新しい試みである4−2−3−1も上々で、どこか硬直し勤続疲労を起こしていたチームに新風を吹き込んだ。まったく、チームの完成型が楽しみになってきた。
▼試合結果 清水エスパルスユース 1−1 四日市中央工業高校 得点:前半20分:四中工・若山 勇樹 (中林 大 ・左クロス) 後半44分:清水Y・篠田 悠輔 (長沢 駿 ・ショートパス)
▼選手寸評 [私撰MVP] ●佐野 克彦 (1年・CB) 前半の最小失点の立役者。優れたポジショニングと強気な声で高いラインを統率した美臣も目立ったが、高いラインが崩れなかったのは、裏にパスが出てもスピードで勝負できる佐野のおかげ。桑卓が抜かれても平然と対応し、坂井とのガチンコの競「走」にも負けてはいない。何度かドリブルで持ち上がるなど、足技にも確かなものを持っている。
[私撰MIP] ●枝村 匠馬 (3年・CH) 果たした役割については本文で既に述べたが、今年のチームが枝村のチームであることを改めて実感した。チームの空気から変わった。枝村自身は特に守備面でまだ踏ん張りきれない部分を残すが、見た感じ、体が一回り大きくなった印象。得意のミドルシュートも最初は感覚がズレているようだったが、ロスタイムには枠内に惜しいシュートを放っている。
●篠田 悠輔 (2年・CB) 悠輔なら3度チャンスがあったら2点は決めるだろ!、的な物足りなさは残るが、天啓「一撃必殺」発動はさすが。枝村・真希の速いテンポにも完全に対応し、昨年と違ってPA外での貢献も大きかった。トライアングルの内、真希も枝村・悠輔以上に目立っていたのだが、前半に3、4度のパスミスが悪印象で、FWとして機能しなかった点を減点。
[個人的好印象選手 (相手方) ] 水谷 允俊 (2年・GK) : 神。クロスなどに対して守備範囲が狭いのは課題だが、長身ながらシュート反応が鋭い。 坂井 将吾 (2年・FW) : 速い。プレーの幅は狭いが、マークに関係なくシュートを放てる自分の形を持っている。
-- 04年6月12日 (日) 14:15開始 長良川球技メドウ JFAプリンスリーグU-18 東海 2004 第5節 暁高校 対 岐阜工業高校 ※45分ハーフ
暁高校: 岐阜工業高校: −−−−−−高橋−−石川−−−−−− −−−−−−−−19−−−−−−−− −−飯田−−−−−−−−−− 谷 −− −−−−臼井−−10−−栗本−−−− −−−−−− 萩 −−山中−−−−−− −−−−−−河合−−07−−−−−− −−斉藤−−市野−−粂内−−西村−− −−04−−03−−松井−−14−− −−−−−−−−大島−−−−−−−− −−−−−−−−清水−−−−−−−− 交代:なし 交代:後半00分:19→22 後半30分:臼井→13 後半33分:10→17 後半41分:03→20
暁高校 岐阜工業高校 5(1)/1(0) シュート 4(3)/8(4) 3(1)/3(0) 右クロス 2(0)/4(3) 3(0)/2(0) 左クロス 6(1)/1(0) 0(0)/2(0) 右側CK 0(0)/2(0) 1(0)/0(0) 左側CK 2(0)/1(1) 3(−)/1(−) 犯OS 2(−)/2(−) 5(1)/7(0) ファウル 3(2)/9(3) ※内側が前半/外側が後半の数字
暁高校 0−0 岐阜工業高校 警告:後半30分:岐阜・03番 (反スポーツ的行為)
[個人的好印象選手] 市野 修平 (暁・DF) : スピード不足も感じたがコンタクトに強く、読みに長けた粂内とは良いDFコンビ。
|