2004年03月01日(月) |
今年度的清水エスパルスユース 2004年度版 |
▼予想布陣
−−−−−−−−−− 長沢駿1 −−−篠田悠輔2−−−−−−−−−− (鈴木真司3) −−鈴木真司3−−−−−−−−−−−−−−−−−−−谷野由紘2−− (岡村総一郎3) (柴田和也2) −−−−−−−−−−山本真希2−−−枝村匠馬3−−−−−−−−−− (池田康彦1) − 岡村総一郎3 −−村越大三3−−−石垣勝矢2−−−高野美臣2−− (佐野克彦1) (岩本大1) (村越大三3) −−−−−−−−−−−−−−前田陽平2−−−−−−−−−−−−−−
名前の横は学年。 昨年の3年生の内、主力と言えるのがFW阿部、GK山本海、MF大瀧、DF森安。レギュラークラスがDF高柳、準レギュラーにDF篠田大といったところである。彼らの穴埋めが誰になるかが、注目点になるだろう。実のところ、久々の黄金世代である昨年Jrユースから、大量13人が昇格したため、候補には事欠かない。だが一方で、今年の3年生は、赤星・滝田・原田・町田健ら主力が、流出した学年でもある。そのため、上級生と下級生の差が小さく、絶対的と言える選手が少なくなっている。これが切磋琢磨に昇華されれば期待も大きいが、求心力を失い、組織力が向上されない可能性も否定できない。枝村には、プレーだけでなく、精神面でもチームの大黒柱となる自覚が求められる。 それでは、今年もポジションごとに、戦力をチェックしてみよう。
▼FW 1st ◎悠輔、○町田、△長沢、×八木 2nd ○長沢、○真司、△悠輔、△竜男、△上埜、△八木、×雄也
昨年と少し意味を変え、PA内で勝負するストライカーを1st、その周囲で衛星的に繋ぎ役になるのが、2ndと捉えて頂きたい。清水のスタイルは、どちらかと言えば、イングランド型の4−4−1−1に近い。そのFW陣、歴代最強の陣容と言ってよいだろう。とにかく、駒が豊富で、タイプも多様。長沼・仁科・阿部と、各学年ごとにエースのいた01年も強力だったが、駒の数で大きな開きがある。 1stに、篠田悠(2年)。布先生の言う「ゴールを盗む感覚」を持つ、生粋のストライカーである。最小の労力で確実に得点する決定力は、日本人離れしている。ひたすら派手な昨年のエース・阿部とは、対極的な存在だ。対抗に、昨年Jrユースのエース町田(1年・U-15代表)。ゴールへの飢えは、悠輔並みに日本人離れしているが、効率が悪く、外して外して最後に決めるスタイルが、悠輔と大きく異なる。さらに、かつての清水FCのエース長沢、悠輔同様、ゴール前の駆け引きに長ける八木(2年)らが続く。 長沢(1年・U-15代表)には、むしろセカンドトップの役割を期待したい。まだまだ体が細く、サイドからのセンタリングからPA内で勝負するには、物足りない。だが、185cmの長身を活かした懐の深いキープと、ボランチ時代に培った広角度の視野は、既にユース水準に達している。もう一人の有力候補に、鈴木真(3年・元U-14NTC)。人並み外れたセンスを持つ真司は、全く計算できないが、だからこそ、どんな膠着状態でも打破できる意外性がある。この場合、4−4−1+真司システム、といった感じになるだろうか。実務性の高い悠輔と組ませれば、結構活きるのでは、と思っている。山崎竜(1年)は、もう一枚剥ける必要はあるが、相方の得点力を引き出せるタイプ。上埜はシュートの巧い繋ぎ役。杉山雄は、現時点では終盤のパワープレー用だが、この1年で本格的なコンバートはあるのだろうか。
▼MF(ハーフ) 中央 ◎枝村、○真希、○池田、△上埜、△神田、×谷野、×岩本 右 ○谷野、○一也、○柴田、○真希、△上埜、△小泉、×田村 左 ○真司、○岡村、△小出、×風間、×杉和
今年のチームは、名実共に、枝村(3年・U-18/17代表)のチームである。労働者の真希、必殺仕事人の悠輔、ファンタジスタの真司、久々の黄金世代である新1年生、良い選手は多々いるが、とかく攻撃に際して、試合を創り、決める能力において、枝村は異なる次元にある。現在、怪我で離脱しているが、出場した試合では周囲が枝村に頼りすぎる部分があり、不安を感じた程であった。その枝村、中盤の底から広角度対角線ロングフィードで左右に散らす舵取り役だが、同時に自らも盛んに前線に飛び出して得点に絡むプレースタイルのため、中盤の守備に負担が大きい。となると、よく動く枝村の穴を的確に、かつ精力的に埋め、更に競り合いにも強い山本真(2年・U-16代表)は、やはり絶好の補完関係にある。が、育成面を考えれば、2年連続して同じ組み合わせにする意義は、あまりない。となると、個人的に推すのは、齢14(当時)にて「好きなサッカー選手:マケレレ」な男、池田(1年・U-15代表)。体は小柄ながら競り合いにも強く、よく走り、粘りもある。他では、CHの経験は少ないものの、体の強い谷野や、読みの鋭い岩本が候補になる。枝村に代わって司令塔役を置きたい場合には、大きな展開が少ない代わりに、即興性と意外性に溢れたパスを出せる、上埜(3年)や神田(1年)が使われるだろう。 右サイドだが、候補は非常に多いものの、決め手を欠くのが現状。個人的な一押しは、昨年も途中までは先発の座を掴んでいた谷野(1年・元U-14NTC)だ。他の候補が多かれ少なかれ、守備面に脆さがあるのに対し、谷野は競り合いに強く、プレスの厳しい時間帯でも忠実に職分を果たせる。スペースが出てきたところで、スピードのある柴田(2年)、高野一(2年)、小泉(1年)らを投入すれば、効果的だろう。チームの核である枝村のスペースへのパスを活かせるかという点において、司令塔型の上埜は一歩遅れた格好。真希がボランチからコンバートされれば、中3で既にこのポジションを確保した彼が、最有力候補になるだろう。 左サイドでは、鈴木真と岡村(3年)の3年生両名が、ポジションを争う。共にスピードがあり、自ら切り崩すドリブルがあり、突破口として必要な向こう意気の強さもあり、パスの供給源である枝村との相性も良い。但し、真司はFW、岡村は左SBで起用される可能性もあり、その場合には小出(1年・U-14NTC)だろうか。その小出と、昨年のJrユースで激しくポジションを競った杉山和(中3・U-14NTC)は、今年の飛び級の最有力候補である。
▼DF 中央 ○村越、○石垣、○岩本、△佐野、×雄也 右 ○美臣、○雄也、○柴田、△村越、△望月、△谷野、×渥美、×桑彬 左 ○岡村、○美臣、○佐野、△桑卓、×雄也
CBは間違いなく、歴代最「高」である。堅守で思い浮かぶのは、池田昇・佐野裕の組んだ99年のチームだが、FW同様、当時に比べて駒の数がまるで違う。しばしば、176cmの身長登録をネタにさせてもらっている村越(3年)だが、彼が180cm台のFWにも対抗できる征空力の持ち主なのは事実。観戦する限り、岩本(1年・U-15代表)と佐野(1年・U-15代表)は180cm以上、石垣(2年)・杉山雄は185cm近くまで伸びているように見える。これだけの高身長選手を揃えるチームは、ユース年代にそうあるものではない。ただ、村越・石垣・佐野は、前に出ての守備には強いものの、潰しきれず裏にこぼれた時の対応に、不安がある。その点で、卓越したカバーリング能力を持つ岩本は、早い段階でポジションを確保するかもしれない。リーダーシップのある村越は、CBからコンバートされることはあれ、最終ラインには不可欠。チーム内空中戦最強の石垣が次点か。佐野・雄也はスピードがあり、SBの経験も豊富である。 そのSB、まず右サイドは、多士済々と言えば聞こえが良いが、右SH同様、絶対的な選手のいないポジションである。攻撃力のある柴田、サイズとスピードを兼ねた素質を持つ雄也(3年)は、共にマークを外しがちで、裏を取られやすい。CBが前に強いタイプが多い以上、サイドから裏を突かれるのは避けたいところだ。となると、ポジショニングに秀でた高野美(2年)の存在が、クローズアップされる。昨年も含め、左で起用されることが多いが、利き足は右。比較的、左は充実しているだけに、右に移ってもおかしくない。また、CBに岩本を入れた場合、右SBの経験がある村越がこちらに回る可能性もある。他に、このポジションを得意とする望月(3年)、渥美(1年)、桑原彬(1年)に加え、谷野も盛んにコンバートされている。 一方の左サイドだが、前述の美臣が第一候補。昨年終盤戦では、篠田大から定位置を掴んでいる。が、彼が右に回ることになれば、その美臣が中3の時に、Jrユースで左SBレギュラーだった佐野か、昨年からコンバートに挑戦している岡村の出番になる。2人とも走力は十分だが、岡村は突破力が高いものの、DFの経験に不足しており、逆に佐野は相手の突破を封じる1対1の強さはあるが、スペースに抜けてクロス、といった形は持っていない。となれば、昨年1年で佐野に譲られたJrユースの左SBを、完全に自分のものとした桑原卓(1年)にも、出番はあるだろう。既に中日本で、合格点の付けられる出来を披露している。Jrユース時代、ここを主戦場にしていた雄也にも、チャンスがないはずがない。
▼GK GK ◎前田、△晃太、×風間
あまり入れ替えをしないポジションであり、基本的に前田(U-16代表)でいくだろう。コーチングにやや経験不足を感じさせるが、セービング・キック・スローイング・飛び出しの全てに穴がなく、サイズも十分な本格派。ただ、昨年の山本海ほどフィルダーの能力に絶対の自信を持ってはいないので、その点でも、最終ラインの裏のケアは、要注意ポイントである。控えには、風間(3年)が本格的にフィールドプレーヤーに転向しているため、山崎晃(U-15GKキャンプ)が回る。能力の高い選手であり、継続的に試されるだろうが、前田が特に欠点の見つからないGKのため、彼に代わるだけの特長を出すのは、難しいかもしれない。
▼筆者私案
−−−−−−−−−− 長沢駿1 −−−篠田悠輔2−−−−−−−−−−
−−−−−−−−−−−−−−鈴木真司3−−−−−−−−−−−−−−
− 岡村総一郎3 −−池田康彦1−−−枝村匠馬3−−−山本真希2−−
−−−−−−村越大三3−−− 岩本大1 −−−石垣勝矢2−−−−−−
−−−−−−−−−−−−−−前田陽平2−−−−−−−−−−−−−−
基本的に、今年は伝統の4−4−2で良いと思っている。盛んに前線に飛び出す枝村、周囲の関係を巧く利用して得点を決める悠輔という、2人のキープレーヤーの特性を考えると、2トップと2ボランチは必須だと考えている。上記は私案であり、試案だとお断りしておきたい。 3−4−2+真司システム。真司はフリーマン、計算に入れない(笑)。彼に自由を与えて、ゴール前に混乱をもたらしてもらう。どんなに混乱しても、悠輔ならば一人冷静にボールをゴールに流し込んでくれるはずだ。ビルドアップは中盤の底から枝村の対角線フィードと、前線から長沢のポストプレーで巧みに散らし、突破力のある岡村・真希が左右から執拗なサイドアタックを仕掛ける。さらに枝村が、盛んに前線まで飛び出すため、池田の精力的なサポートに加え、真希がポジションチェンジで支援に回る。 3バックは、その横のサイドスペースに構造的欠陥を抱えるが、機動力のある村越はともかく、1対1に強い石垣に、それをカバーさせるのは不向きというもの。そこで、真希にお任せ。こうしてサイドの守備の経験を積むことで、筆者がくどいほど説く、真希の右SBコンバートへの布石になるはずだ(笑)。岩本がそのカバーリングセンスとコーチングで相手をフリーにしなければ、そう易々と前田がゴールを割らせることはあるまい。 う〜ん、書いているうちに、意外に機能しそうな気がしてきた(笑)。ま、私としては、たまには4−4−2以外のシステムをやらせる経験も、必要だと思っている。
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