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2003年03月01日(土) 今年度的清水エスパルスユース 2003年度版

▼予想布陣

−−−−−−−−−−鈴木真司2−− 阿部文一朗3 −−−−−−−−−
          (山本真希1)
− 岡村総一郎2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−上埜健太2−−
  (鈴木真司2)                  (獅子内善雄3)
−−−−−−−−−−大瀧義史3−−−枝村匠馬2−−−−−−−−−−

−−篠田大輔3−−−高柳亮太3−−−森安洋文3−−−杉山雄也2−−
                          (小林拓矢3)
−−−−−−−−−−−−−−山本海人3−−−−−−−−−−−−−−

 名前の横は学年。
 例によって中日本スーパーリーグのパンフには予想布陣が載っているのだが、そちらは最終ラインが左から、篠田−高柳−雄也(村越)−森安、となっている他は上記の通り。エスパユースの布陣はフラット4−4−2と言われることが多かったが、昨年来、アウトサイドMFこそ大きくワイドに広がるものの、ボランチは下がり目でボックス型に近くなっている。


▼FW

1st ◎阿部 △田淵 △真希 ×獅子 ×長沢
2nd ○真司 ○真希 △獅子 ×大瀧 ×岡村 ×谷野

 大まかに分ければ、ボックス内のポストと得点を決める役割の1stFWに、その周囲から突破とパスで決定機を演出する2ndFW。勿論、役割は明確に分かれるわけではないが。

 1stFWは阿部(U-17日本代表)が絶対的だろう。動きの質が良いとは言えないが、兎角ゴールへの最短距離を突き進むことには完成された自分の形がある。一定水準以下を相手にすれば、身体能力だけで何とかしてしまう。
阿部の控えには田淵を推す。上背は普通だが、体を張ることを厭わず、足腰に粘りのある選手で、ポストの質に優れる。真希(U-15日本選抜)の場合、さほど体を張るのが得意ではないのだが、元来の身体能力は高いので、代役程度なら任せられるだろう。獅子内(元U-14NT・東北)も運動能力は高いのだが、最近はサイズの面で苦戦している。もう一人、ジュニアユースから長沢(元U-12NT・東海)の名前を挙げておく。

 2ndFWは、実は今年の課題の一つ。個人技が高い選手は多いのだが、その個人技を細かく有機的に結びつけることのできる選手に欠いているのだ。真司(元U-14NT・東海)は突破力・創造性、共に全国でも有数のものがあるが、変化をしない阿部と変化しかしない真司の相性は、決して良くはない。真希の場合、身体能力と判断の速さを活かしたシンプルでオーソドックスなプレーをするため、相性は悪くないが、今度はチーム全体が直線的になりすぎる。他にも獅子内・岡村・八木・柴田と、突破力自慢の選手には事欠かないのだが…。外部新入の谷野(U-14NT・中国)が起用されるとしたら、ここのポジションか。
 そこで個人的な意見は、大瀧(U-17NT・東海)のコンバート。無論、前線で体を張る役目は期待できないし、突破するスピードもないが、決定機を演出することにおいて、大瀧以上に期待できる選手はいない。突出した得点力も備えた大瀧は、ゴールに近い位置でこそ起用すべきではないか。だが、この場合、もはや2トップではなく、4−4−1−1と言えよう。


▼MF

中央 ◎枝村 ◎大瀧 △上埜 △森安 △真希 ×池田
右  ○上埜 ○獅子 △真希 ×柴田 ×田淵 ×望月 ×杉崎
左  ○岡村 ○真司 ○大瀧 △篠田 ×八木

 最初に述べた通り、セントラルMFが守備に重心を置くボックス型に近い布陣を採るならば、中盤の4人で確定といえるのは枝村(U-17日本代表)のみ。2ndFWの項でも述べたが、今年のチームはラストパスを出せる選手が少ない。枝村にしても、最後の攻撃の仕上げをするより、潰しからの大きな展開で試合全体を創る選手。チームは構造的欠陥を抱えている。
 勿論、大瀧はいる。キックの質と種類は浩太すら上回る稀代の司令塔だ。だが、セントラルMFとしての大瀧は、精力的だが守備に追われて良さを出せていない印象が強い。枝村と攻守分担してダイヤモンド型の中盤にした方が、機能すると思うのだが…。一方、潰しの仕事を重視するなら、森安や真希と組ませて、枝村の前線への飛び出しを促す考えもある。試合を創るなら上埜か、或いはジュニアユースから池田(U-14NT・東海)を抜擢するか。

 左右のアウトサイドには、エスパルスらしいウィング型選手が揃う。だが、昨年は大瀧が左に回って様々な球種を配給しアクセントを付けていたが、今年はこのポジションもFW的。突破力こそ歴代と比しても見劣りはしないものの、MF的センスに欠け、攻撃が単調になりがちなのが気がかり。
 右は上埜に期待したい。昨年はスピードと体のキレに頼っていた感じだが、元より足下の技術は柔らかく、エスパルス2年目でチームに慣れてくればビルドアップでも魅せてくれるはず。逆に直線的だが、獅子内のミドル砲と逆サイドのクロスへの飛び込みは面白い。昨年、このポジションで実績のある真希・田淵のほか、ジュニアユースでの経験のある柴田・望月、そして杉崎も使われるなら、ここか。
 左は大瀧が中央MF、真司がFWに入ることを考えれば、岡村が有力。怯まず突破を挑み続ける闘争心の持ち主だが、体ができたことで強引さが増してきた。その突破と切り返しは小気味が良いが、視野の狭さは玉に瑕。篠田が一列上がることも考えられる。単独突破はないが、クロスの質は右サイドの選手も含めてチーム1だろう。岡村に似たタイプでは、ジュニアユースで実績のある八木もいる。


▼DF

中央 ◎森安 ◎高柳 ○石垣 △村越 △雄也 ×枝村 ×岩本
右  ○雄也 ○小林 △森安 △望月 ×真希
左  ◎篠田 ○高野 △雄也 ×森安 ×佐野

 3年間、チームの守備の要であった高山・渡邊が抜けた最終ラインだが、ずば抜けた選手こそいないものの、好プレイヤーを多く揃えている。特に昨年、著しく成長した森安は、元来の運動能力と当たりの強さに加え、今年になってからは考えられたカバーリングも披露。2年間出場機会に恵まれなかった高柳だが、背丈があり、冷静沈着なポジショニングは十分に計算できる。互いにフィードの質も高く、不足しているものがあるとすれば「自信」だろう。
 控えも充実している。石垣の激しい当たりは、ユースレベルでも十分に通用しそうだ。積極性を示す村越に、最近体ができてきた雄也がCBに回ることもあるだろう。緊急事態には、高野・真希と経験のある選手もいるが、個人的には枝村のCBを一度見ておきたい。3年間ボランチを務めるよりも、確実に良い経験になると思う。ジュニアユースから岩本(U-14日本代表)の抜擢はあるか。

 右SBは、雄也と小林の争いか。180cmを越える身長と、それに似つかわぬスピードのある雄也は、しかし時に判断が消極的になることがある。逆に小林は、身体能力的には平均的なものの、プレーは真面目で計算できる。だが、2人ともユースレベルでの実績に乏しいだけに、場合によっては森安が回ることもあるか。このポジションには経験のある望月もいるが、個人的に真希をここで見てみたい。身体の強さに正確なキック、何より素早い攻守の切替は、サイドバックでこそ活きるのではないか。
 左SBには篠田。体は小さいが、基本に忠実な守備ができ、前方の状況を視て攻撃参加するのが上手い。だが、今年の場合、岡村にしても真司にしても、左MFが後方の攻め上がりを引き出す動きが上手くない。そのため専守防衛で考えれば、読みと正確なクリアに長ける高野や、或いは雄也・森安を左に回すことも考えられるだろう。ここにもジュニアユースから、佐野(U-14NT・東海)の名前を挙げておく。


▼GK

GK ◎海人 △風間 △前田

 GKは海人(元U-16代表)で決まり。長身にも関わらず、果敢な飛び出しと派手な横っ飛びで観る者を魅入らせる選手だが、シュートを正面で捉える基本的なポジショニングの良さにも注目してほしい。また、そのコーチングは戦術的にも精神的にもチームに不可欠。
控えも問題ない。風間は身長はないが、フィールダー的な能力よりもセービングの技術に優れたオーソドックスなタイプ。前田(U-15日本選抜)も、反射速度とステップワークに秀で、安定したパフォーマンスが期待できる。共に海人とは異なるタイプなだけに、出場機会に恵まれることがあるかもしれない。


▼総論

 昨年、全国を制したチームは、浩太が奏でるハイテンポのリズムと、それに対応する周囲の判断とポジショニングが魅力であった。相手を 自分たちのリズムに巻き込み、次第に試合全体を支配した。だが、それは今年のチームには望むべくはないだろう。散々述べてきたが、選手を有機的に結びつけることのできる選手に欠いている。浩太と仁科の代わりはいない。
 だが、だからといって、今年が昨年に比べて落ちるとは思わない。確かに中盤の構成力は足りない。相手に試合を支配されることも増えるだろう。だが、今年は支配されても、一瞬の隙で結果を残せる個人の力がある。阿部・真司・岡村・上埜・真希の突破力。そして、正確なロングフィードを蹴る枝村・森安・高柳らが、後方にいる。さらに、大瀧から阿部へのセットプレーは、シンクロ率150%だ。
 率直に言って、カウンター主体のリアクションサッカーになる時間帯は増えるだろう。内容的に面白い展開ではないかもしれない。だが、ユース年代のサッカーは、凄いFWとGK、それからセットプレーのあるチームが強いのだ。今年も応援していきたい。


▼筆者私案


−−−−−−−−−−−−− 阿部文一朗3 −−−−−−−−−−−−−

− 岡村総一郎2 −−大瀧義史3−−−上埜健太2−−−鈴木真司2−−

−−−−−−−−−−−−−−枝村匠馬2−−−−−−−−−−−−−−

−−篠田大輔3−−−高柳亮太3−−−森安洋文3−−−山本真希1−−

−−−−−−−−−−−−−−山本海人3−−−−−−−−−−−−−−

 東福岡型4−1−4−1。枝村1ボランチの3−5−2(上記から篠田と真司を1列上げて岡村を右へ)も考えたが、トップも4バックのようだし、こちらの方が良いだろう。トップに沿うなら、大瀧か上埜をボランチに加える4−2−3−1でも良い。
 コンセプトはいくつかあるが、まず真の意味のセントラルMFが枝村しかいないのならば、思い切って彼に全てを任せてしまおうということ。3年間(ユースへの飛び級参加を除けば、ジュニアユースの2年から同じポジションを務めている)ドイスボランチの一角をするより、守備に奔走する経験を積んだ方が良いだろう。
 2つ目に、岡村と真司を守備の負担から解放すること。2人とも盛んに走るのだが、守備は正直、計算できない。真司はFWの時に右に流れることも多く、意外に右足の技術も確かなので、十分にこなせると思う。
 最後に、大瀧をゴールの近くでプレーさせること。高い得点力もある上に、阿部に決定的なパスを出せる選手は大瀧に勝る者なし。体格的に必ずしも粘り強いキープがあるわけではないので上埜をフォローに付けたが、プレースタイルの似た上埜が学ぶところも多いだろう。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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