2002年09月21日(土) |
Jユース杯 展望 予選リーグ |
清水エスパルスユース クラブユース優勝・高円宮杯出場[静岡県] 監督・築舘範男
まずはじめに、予選D組は大宮・柏・ヴェルディ・清水・磐田で構成されている。9月21日現在の途中経過は、 大宮 0−5 ヴェルディ、柏 2−2 大宮 である。
間違いなく最激戦区。 一段実力が落ちると見られる大宮も、クラブユース選手権関東予選では、鹿島を蹴落とし全国大会出場を果たしており、油断などとんでもない相手である。その大宮も含め、全クラブが決勝トーナメントに進む12強に相応しい実力の持ち主。
対抗最右翼は、ヴェルディユース(クラブユース5位・高円宮杯8強)。恐らくテクニックの総和を単純に比較したら、清水より上だろう。また、2年生(と早生まれの浩太・仁科)・1年生にとっては、ナイキカップ決勝で煮え湯を飲まされ、世界への道を閉ざされた因縁の相手でもある。 復帰した根占が渋く確実な仕事をこなし、小野が独特のセンスを発揮するダブルボランチは、Jクラブ全体でも屈指の存在。行徳前監督が「この年代トップクラス」と呼ぶ浩太・枝村との対決は、予選リーグではもったいないほどである。クラブユースで奇跡の逆転劇の原動力となった中島ファランは、FW・トップ下・右翼で起用されるが、突破力とミドル砲を揃え、どこにいても対応に苦慮するだろう。最終ラインは上背はないものの、読売らしいテクニックのある選手を揃え、GKの菅野も含め、保谷・塗師らはフィードとビルドアップのセンスに長ける。唯一パワー系の右SB一柳は、同じ星の下で生まれてきた阿部と何度も真っ向勝負を繰り返し、そして抑えてきた身体能力の持ち主である。
磐田(クラブユース予選3位)は、伝統的に昇格しない3年生は、夏で引退するクラブ。とはいえ、今年は夏前からタレント集団の1年生を中心としたチームに移行しつつあり、U-16代表もグループリーグ最下位で早期帰国したため、戦力低下の心配もない。ただ、清水が今年3度の対決で苦労したのは、むしろ「無名」の3年生というのも事実。 攻撃のタレントは豊富で、FWにU-16代表2トップ岡本・藤井。共にスキルフルな選手だが、フィジカル強化に力を入れる磐田で、トータルなストライカーに変身しつつある。中盤は右に突破力の沼野、左に多彩なキックを持つ上野、これを磐田に入って以来、すっかりスルーパッサーに変身した元ドリブル小僧、船谷が支える。一方、DFは統率が乱れる場面も少なくなく、引退してなければボランチの渥美がその隙間を埋められるのだが、恐らくGK松井頼みになることだろう。
柏(クラブユース予選3位)も3年生が夏で引退するクラブ。戦力の低下は否めないが、元来システムを忠実に貫くことで戦うチームなだけに、その影響は限定されるだろう。 守備では金森が抜けるようだが、他は従来から1・2年生中心で戦ってきている。高さがあるのは石川ぐらいなものの、相互に高いカバーリング意識が持ち味。堅守速攻を基調とするチームであり、守備を計算できるのは大きいだろう。他方、攻撃面は苦しく、引退せずに残ったテクニシャン大谷と、得点感覚に秀でた菅沼のホットライン頼みの傾向が、強まりそうだ。
大宮(クラブユース予選4位)は、清水と同じフラット3ラインによる4−4−2が特徴だが、清水以上にシステムが徹底され、組織で守り、内→外→内と組織で崩す志向が強い。要所に長身選手を揃えることで、激戦区関東をソリッドに勝ち抜いてきた。だが、この組み合わせでは、個の力なしでは、さすがに苦しい。ボランチ羽田の潰しと、クイックネスに長けたFW永田に期待したいところである。
草刈り場のない5チームでの激戦区に嘆かれる方もいるだろうが、それは違う。この年代の選手に何より不可欠なのは、真剣勝負の場である。4チームの組で楽に勝ち抜きながら、決勝トーナメントで苦杯を喫するよりも、例え敗退しても、予選リーグで真剣勝負を8試合戦えた方が、有意義に決まっている。リーグ戦の良さを生かした経験が積まれることを望む。
■選手名簿 こちらを参照のこと。 大会としての選手登録はなく、試合ごとにベンチ入り18名が登録される。GK勝又が引退したそうなので、高円宮杯同様に前田の登録もあることだろう。 選手の詳細は、こちら(3年生、2年生、1年生)
■チームプロフィール ※クラブユース選手権の記事を参照方。
■期待フォーメーション(名前の横は学年) Jユース杯は、クラブユースの年間日程で最後の公式戦である。故に、3年生は昇格する、しないに関わらず、新天地に向こうための集大成にすべく、是非、自らが最も得意とするポジションで活躍してほしい。 同時に2年生には、自分の新たな可能性を探る最後の機会であり、リーグ戦の特性を生かしたチャレンジを、見てみたいものだ。勿論、今まで出場機会に恵まれなかった選手の登用にも期待したい。ということで…
−−−−−大瀧義史2−−−仁科克英3−−−杉山拓也3−−−−−
−−−−−−−−−枝村匠馬1−−−杉山浩太3−−−−−−−−−
−森安洋文2−−−−−−−−−−−−−−−−−−−天野数士3−
−−−−−高山純一3−−−渡邊優希3−−−阿部文一朗2−−−−
−−−−−−−−−−−−−山本海人2−−−−−−−−−−−−−
…という妄想をしてみた。100%実現しないだろうけど(笑)。フォーメーションは名古屋グランパスユース型5−2−3。
阿部はCBにコンバート。幾度か露見されている競り合いの弱さを克服するために、ミスの許されないポジションで、跳ね返し能力を磨いてほしい。 また、大瀧はFWへ。左アウトサイドMFとしては守備に課題を見せていたが、体格を考えれば、その克服よりも、さらに前で勝負する方が期待できる。得点力は高いので、平松のようなテクニックで抜くアタカンチになる資質はあると思う。来年のユースではトップ下かもしれないが、昇格後を考えれば固執すべきでない。
森安は身体能力を生かし、堅守からダイナミックな攻め上がりを見せてほしい。同ポジションの篠田は、身体能力で劣る分、よりMF的な攻撃センスの向上を望む。 枝村は、まずは今のポジションで自分の個性を固めていってほしい。 鈴木と岡村は左から、真希は右から、サイドからPA内に仕掛ける動きを求めたい。高円宮杯・仙台育英戦を見ていると、膠着状態を打ち破るには、こうした卓越した個のチャレンジは絶対に必要。これは仁科や拓也にも期待したいところ。鈴木は、右に配置して、そこから切り返して左足シュートを狙っても面白そうだ。
■2002年度公式戦戦績 [クラブユース選手権・グループリーグ] 第1戦:○2−0 神戸 (兵庫) 得点:仁科、大瀧 第2戦:○5−0 愛媛FC(愛媛) 得点:阿部、仁科2、高山、杉山拓 第3戦:○4−0 C大阪 (大阪) 得点:阿部、大瀧2、杉山浩
[クラブユース選手権・決勝トーナメント] 1回戦:○5−0 塩釜FC(宮城) 得点:阿部、仁科、杉山浩、高山、鈴木 準決勝:○8−0 名古屋 (愛知) 得点:阿部4、仁科、杉山浩、枝村、OG 決勝戦:○1−0 浦和 (埼玉) 得点:大瀧
[高円宮杯] 1回戦:×0−1 仙台育英(宮城)
[中日本ユースサッカースーパーリーグ(参考)] 6位(勝点21:12試合6勝3分3敗 30得点13失点 警告ポイント10)
■出身現役Jリーガー ※クラブユース選手権の記事を参照方。
■試合日程 ※前回記事を参照方。
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