よもやま日記

2013年09月29日(日) 漫画ミュージアムに行ってきました その2

14〜16時は、3人の先生による座談会。
入場者は250人の枠でしたが満席でした。

向かって中央の席にちば先生、左に花村先生、右に竹宮先生が座られて座談会スタート。
進行役は竹宮先生でした。

まずは原画´についてのお話。
花村先生とちば先生は、展覧会を見ながら途中まで原画そのものだと思っていたそうです。
ちば先生は途中で花村先生に言われて「これ原画じゃないのか」と思ったのだとか。
そのくらい原画そっくりだそうで。
竹宮先生曰く「原画と原画´がどれくらい差がないかは、描いた本人しか分からないので、そう言っていただけると嬉しい」との事でした。
ちなみに再現が一番難しいのは黒ベタの艶だそうです。
今回ちばせんせいの扉絵で、真っ赤な空の絵があったんですが、そういうのは赤の色にこだわって再現したそうです。
「漫画(原稿)は少しずつ燃えている(酸化している)。端から黄ばんでいく。少しでも原画´が広がればいいね」とちば先生がおっしゃってました。

花村先生は引越し先の一階が貸本屋で、そこのご主人が「漫画家になりな」と言うので、漫画を描いて渡したら、出版社に持って行って原稿料をもらって帰って来たのが始まりだそうです。
差し絵描きになりたかったけれど、「あなたは時代に逆行している」と編集者に説得されて漫画家になったそうです。
昔は出版社から原稿が帰ってこなかったそうです。
帰って来ても違う漫画家さんの原稿だったり、読者プレゼントとして切り取って送られてしまうことも多かったとか。
今回花村先生の展示品でノートに使われた絵がありましたが、「これはノート会社だから、きちんととっておいてくれたんです」との事(苦笑)
ちば先生が年末に出版社に行ったら、原画をビリビリ破ってたそうです。
(大掃除なのか…)
その中には手塚先生の原稿もあったそうで、捨てるならともらって帰ってきたそうです。すごい時代ですね…。
ちなみに新人の頃、「○○先生が好き」と編集者に言っておくと、その先生の原画をいただける事もあったそうです。

ちば先生は男兄弟ばかりで、女の子の描き方が分からなかったそうです。
女の子の服はファッション誌を見て真似た(そっくりにではない)そうです。
そっくり真似ると著…がね(^^;)
昔はお母さんたちが子供のために洋服を作ってたので、漫画の右端には必ず女の子の全身像を入れたり、デザイン集の要望もあったそうです。

竹宮先生は著作権を調べて、原稿自体の所有権は作家にある事を確認し、堂々と返却して下さいと言ってたそうです。

花村先生はつい3日前まで原稿中。
源氏物語を描いていたけれど大変でしたと。
資料集めがまず大変で、編集者に欲しいと言っても先生が持っているでしょうと。(畑違いの編集さんだったらしいですが)
子供向け漫画と聞いていたのに、いざ本になったら大人向けとされていたり、出版社と間の意思疎通が?だったりしたそうです。
竹宮先生も昔、描かないかとのお話があったそうですが、大変なのが分かっていたので断った事があったそうです。

花村先生は昔、目に下睫毛を描いたら、編集にダメ出しされたそうです。
あの頃は大ベテランの先生たちが下睫毛を描いてなかったからそうで。
でも結局は下睫毛をつけたそうです。

小説界に比べて、漫画界はみんな仲がいい。
編集者は嫌がるそうですが。
(先生は良い作品を描いてくだされば編集的にはそれでOKみたいです)
漫画家同士、締切を融通しあったりしてたそうです。
(私は今回○日なので、じゃああなたは△日まで大丈夫、とか)

漫画協会の会報に、花村先生が各漫画家さんをネタに漫画を描いているそうなのですが、それがめっちゃ面白いそうです。
竹宮先生を取材したらすごく良い子の受け答えで、そうかなあ?と思って妹さんに連絡したら、「とんでもない!猫かぶってますよ!本当の事を教えますから描いて下さい!」と言われたそうです。
ぜひぜひコミックスにしてほしいです。

ちば先生と竹宮先生は、いま現在漫画を教える立場にいるそうです。
でも不思議な事に、生徒たちは漫画を習いに来たのに、課題や締切を出すとなかなか描かない。
大学三年になっていきなり漫画に目覚める生徒もいる。
ゲームをネタに描いてくる生徒もいるが、それを口にできる関係作りが大切だそうです。
ちば先生は生徒と一緒に自分も課題をやるそうです。
(やっぱり人を育てるのは本当に大変そう。好きな事やりたい事が、やらなければならない事になってしまうと、苦痛になってしまうんでしょうね)

質問コーナーでは何人かの方が質問されてましたが、皆さん質問が難しい…。
ある方は「漫画の中の格差、男女や身分の差、男と女から関係するあしたのジョーについて」質問されてました。
(細々言ってましたが覚えてない…)
花村先生は「まったくの善人も、まったくの悪人もいない。悪人でも50%の悪人と80%の悪人だと違う」
ちば先生は「主人公がいじめられていじめられて、ある時(僕が疲れていたので)主人公に反抗させた。編集者は×だったけど、読者からはそんな主人公が大好きって手紙がたくさんきた」
竹宮先生は「生物学上、生殖器は違うけど、男も女も同じ」…との事でした。

あしたのジョーのラストは、最初全然思いつかなかったそうです。
原作にもない。
そしたら編集者が「以前描いたジョーと女の子のデートシーン、ここに根幹があるような気がする」と。
ちば先生は一度描いたものは描き直したくなるので読まないそうなんですが、読んだら、あのラストシーンが生まれたそうです。

「漫画界で気になる事」という質問では、やはり例の法律だそうです。
ちば先生曰く「法律は白か黒かだけだけど、グレーの部分がある。薄いグレー、限りなく黒に近い濃いグレーもある。黒を描かなきゃ白は際立たない」
そして竹宮先生は「一枚一枚、闘って行きます」との事。
先生カッコいい…!!(>▽<)

それとどの先生の言葉か忘れましたが、印象的だった言葉。
「ストーリー漫画が生まれて約50年。すごい進化をした。ゲームには負けた部分もあるが、漫画ならではのものがあると思う」と。

結局2時間半弱の座談会、休憩があるかと思いきやぶっ通しでした。
でも3先生ともパワフルでした!
やっぱり何かを生み出すような方は、持ってるパワーが違う気がします。
ちば先生が貫録がありつつ、けっこうおちゃめな突っ込んだ事を口にしてたのが印象的でした。
花村先生はおっとりした性格だそうですが、やはりいろんなご苦労がちらちらと。
進行役なので竹宮先生ご自身のお話は少なめでしたが、でもいろいろ聞けましたv

メモをとってなかったので、これでも座談会の内容は半分くらいかな。
わざわざ京都に行って良かったですv
お付き合いありがとうございました!



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