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海老日記
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2006年06月02日(金)
物部日記・『真夏の夜の夢・再び』


 去年の六月のことだ。
 一人の女性と知り合った。
 正体不明。職業不定の若い人。

 ミステリアスと言うよりも、ちょっと困ったさんな何故か夜中原付で仕事にでかけて日が昇ることに帰ってくる。隣に住んでいるのか、二階に住んでいるのか、わからない。
 大学キャンパス内で白衣を着ているのを見たこともあったが、本当に大学生だったのかも怪しい。
 教えてくれた名前も源氏名らしい。

 嘘っぽいと言われるが、会ってしまったのだから仕方がない。

 結構、好きだったけれど、今年の春に実家に帰ると本人から聞いて、それから会っていない。
 

 結構つらかった時期に、話を聞いてくれた、私の恩人のような人だった。


 あの人とお別れしてから、平凡な毎日が続いている。
 もう、猫の幽霊なんて見ないし、不思議な言語で喋るお隣さんも見なくなった。
 おかしいことは、全部なくなった。
 起きたまま見る夢は、もう終わり。










 夜中、チャイムがなって、玄関を開けると、男が二人立っていた。
「え、と。はい?」
 用件を聞こうとすると、男の一人が突然言う。
「こちらにヘルレイザー鎌足さんはいらっしゃいませんか?」
 私はまったく言葉が出なかった。
「ああ、申し遅れました。わたくし、秘密結社長谷川会のキャッシュバック桜井、こちらは助手のデンドロビウム矢野と申します」

 

 どうやら、六月はまた始まるらしい。