独り言
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2006年05月05日(金) |
テリーデイズというBandについて・その12 |
その証言をした男とは冒頭に登場した亜龍の旧友である
「俺も全然気付かなかったよ あの事件があってしばらくしてアルの日記が話題になって …でも俺あの頃はアルの事考えるの凄く嫌になってたんだ …とにかくショックだったから
アイツに関するニュースとか雑誌は一切見ないようにしてたんだよ
でまぁ時間が経つに連れて次第に皆の関心も他に移って…俺も無理に目をつむってる必要も無くなったんだけどさぁ
…ちょい前まで付き合ってた女がアルの大ファンで…いつもアルの話ばっかするんだよ それで無理矢理あの当時の雑誌を読まされて…思い出したんだ」
この男が言うには
テリーデイズというバンド名の由来であるあの『彼』とは
『ドラマーのジョージ』
だというのである
「では何故テリーなのか?」という問いに対して男は
「そうそうそれなんだけど… 誰も信じないんだけど確かにアルが一回だけ俺に言ったんだよ
「あのチビさぁ…スージーはジョージっぽいって言うけど…俺が思うに…ジョージっつーより『テリー』っぽくねぇ?」って
俺はアルとマジで仲良かったしアイツが何かに打ち込んでる姿を見るのは自分の事の様に嬉しかったから…スタジオにもよく顔出してたんだ
…けどテリーデイズってバンド自体には余り興味が無くてね
…そもそもあのロックってモンが俺にはいまいちピンとこなかったし
…それにスージーとジョージって蛇孔の人間だった訳じゃん? 俺いまだにあの蛇孔の連中が好きになれなくてね
だからアルがバンドやメンバーの話をしてもほとんど聞き流してたんだよ
…それでこの事も今まですっかり忘れちまってたんだけどあの日記が掲載された雑誌を読んで急に思い出したんだ…本当だよ」
この証言を裏付ける物は残念ながら何一つとして無いが男はこうも話してくれた
「アルはいつもスージーの横でニヤニヤ笑ってるジョージの事を『ピエロ』みたいに嘘臭いヤツだって言ってた 『アイツの笑顔は仮面でその裏に間違いなくとんでもないモンを隠してやがるぜ』ってさ」
この証言を裏付ける物として前述したジョージが「ピエロのメイクをしたい」と申し出た時の亜龍の反応を思い出してもらいたい
ジョージの記憶が正しければ亜龍は「名案だ」と言い「間違いなく似合う」と言っている
男は続ける 「だからジョージがライブの時にピエロのメイクをしてたじゃん? 俺はあれってアルが無理矢理やらせてると思ってたんだよね
…だってその頃は誰もジョージの昔の事は知らなかった訳でしょ?」
男が言う様にその当時亜龍がジョージの過去について知っているはずも無く(亜龍に関しては最後まで知らなかった事になるのだが)この証言が事実だとしたら亜龍の『触れたモノ全てを見透かしてしまう』かの様な強烈な感受性に驚くより他無いのだがもっと驚く事にテリーデイズ結成後初めて亜龍が書いた『like the elephant』という曲はそのタイトルの真意こそ不明だがその歌詞は正にジョージが砂漠を当ても無く彷徨っていた姿を映す様な内容となっており日記にある『その仮面の裏側に想いを馳せる』という行為の結果としてこの曲が生まれたのだとしたら この『テリーはドラマーのジョージ』 だという証言は疑い様も無い程真実に近いと考えられる
しかし全ては亜龍という闇の中に今も眠ったままである
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