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2002年02月09日(土)

『愛してる』って言えなくて。


とても、愛しくてたまらない。
どれくらいかなんて表現できない。
自分の全存在をかけても全然足りない。ちっぽけに思えるくらい。

愛しい。

けれどこの唇からようやく彼につむいであげられるのは…

『心配』と言う名の罵声ばかり。

これじゃない。
こんな言葉じゃない。
こんなつもりじゃない。

もっともっと伝えたいと思うのに。
優しい、『好き』というコトバ。



「兄上!!」
ほら、また。
「ひゃ…ご、ごめん!プラチナ…」
自分の怒声にすっかり萎縮してしまってるではないか。
「そんな薄着でこの雪の中を出かけていたらまた風邪を引くじゃないか!…大体、執務はどうした?」

違うんだ。風邪を引いてお前が苦しそうにうなされるのを見ているのが辛いだけで…。執務だってサボってもいい。俺がいくらでもフォローしてやれるから。…でも、心無い家臣たちがお前の悪口を言うのを黙って見過ごすことが出来ないんだ。

「…う…え〜っと…」

おずおずと兄が両手に持って差し出されたそれは雪兎と言う雪の塊。

が、二つ。

紅い目をしたのと蒼い目をしているのだった。

はぁ、と大きくため息をつく。
嬉しいやら、呆れ返るやらのものが交じっている、ため息。

「…気は済んだか?」
わずかに怒気を含んで言い放つ。

なんて不器用な自分。
素直に言えればいいのに。
優しく、「寒くはないか?」と。「嬉しい」と…。



「…出来の悪い兄を持ってしまったな…」

帰り道。すっかり体の冷えてしまった兄を少しでも温めるために無理矢理抱き上げて歩きながらぽそりとわざとらしく聴こえるように呟いた。
この兄のことだから顔を真っ赤にして怒ってくることだろうと思ったのに…

以外にもその可愛らしい顔には小憎らしいまでの笑みが浮かんであった。

そして…



「…できのわるい、おとーと☆」


などと、かくも楽しそうに言うではないか。

…出来の、悪い?自分が…?
確かに継承戦争は彼の勝利で終わったが、少なくとも今でも頭脳も戦闘能力も自分の方が勝ってると思われるのに…?!

「…なんだと…?」

鳩が豆鉄砲を食らったような顔をするとは、正に今のプラチナの表情のこと。
プラス、怒りが混ざってはいるが。

しかし、アレクは怯む様子もなく、意地悪に可愛らしく微笑むばかり。

「えへへ〜♪」

両腕を自分の首に回して擦り寄ってこられては怒る気など失せてしまうではないか。

全く、適わない。
彼は自分が彼にぞっこんだという事を見抜いてるのだから。

もしかしたら今までもこれからも自分の本当に言いたかった言葉を見抜いているのかもしれない。
だから、俺は出来が悪いのか?

…人間関係には、酷く不器用だから。


□□ 呟き □□

実は、一部実話から抜粋してたり…(爆)
…ブフウ…(吐血)



      

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