素ってなんでしょうね。突然ですが。いやあ、考えて見ると、 この日記のワタクシははっきり言って「素」ではないです。
WEB日記の前にも書いていたような、それこそエンピツ書きの日記・雑記なら、 読むのは自分しか想定してないものだったんで、たぶん他人が読んだとしても 意味が抜けてて理解不能だと思う。ただの願いとか、そんなことをひたすら 書き連ねてたりして。書くことをまじないのように続けていたと思う。
では何で自分がこんな風に書いているかと言うと、 第三者の目を多少は意識することで、書くの上手になるだろうかなんて 思ったりしているからです。
ただ、事実を書くのには案外手間がかかるもので。もし私小説のように、 そのまま書けと言われたら、ただのお出かけの話だったとしても、 それが友達と一緒だったらその友達のことまで書かなきゃいけない。 じゃあその友達の説明や何やらで、何をどこまで書くかと考えるとひたすら 選別するのが面倒くさいから、そういう時は書かない。
まさに、その友達との間に起こったエピソードだと言う内容なら ともかく、そうでないなら友達の存在は初めから書かなかったりする。
という訳で。
先日特急に乗ってました。
そこそこ混んでいて、ワタクシのまん前の座席には女性4人。 仲良しなのでしょう、仕事かお友達かわからないけど、楽しそうに 喋っていました。通路を挟んでその横、ワタクシの斜め前に女性が一人。 書類とペンをとり出して書類のチェックを始めました。 しばらくしても4人組のお喋りは滞らず、ずーっとにぎやかでした。 とは言え、ワタクシもうたた寝したり、本に夢中になっている分には 気になるというほどではなく、特に興味も持たなかったのですが。 一方書類を出していた女性は、ちょうど視界に大きく写る方向なので 見るともなしに見ていると、オヤツを出して食べ始めました。 仕事の書類というより自分の個人的な資料か何かなのだろうか、 汚さないのかな・・・と密かに心配になったりして。 まあ、ここまではそれだけの話です。
だが、その書類が見えてしまった。
と言うのが(しつこいようだがじろじろ見たわけではない。広げると斜め 後ろには丸見えなのだ)、何だかワタシらか介護畑の人が使うような、 人間のアセスメントチャートのようなのです。 ほほお・・・と(再三ですが、別にじろじろ見つめてたわけでは ありません。字まで見えるんだよ!)見てみると発達段階とか、何かそれ らしい項目・・・そして様式の隅には書いた人の氏名、クラスと、 某看護養成機関の文字が!
間違いない、介護ではなく看護学生の実習か演習記録です。 この人は看護教員なのでしょう。見てると(しつこいけど見えるんだよ!) 引いてる引いてる赤線青線・・・全部引いてます全部!! それじゃあアンダーラインの意味がないでっしょ。 何か字も書いてる書いてる!電車の揺れで、字は大丈夫か? あまり楽しそうな雰囲気は漂って来ません。難しい顔をしてます。
看護教員と思われる彼女は次にオヤツの追加に行きました。・・・お腹が 空いてたのかも知れないけど、学生も、センセイがオヤツ食べながら記録を 読んでたとは思わんだろうなあ。それで何か小難しい真面目なことを 書いている(かのように見えた)かと思うと何だか、です。 お、向かい側の4人組も絶好調。この辺りの観光的知識や名物などについて 話が盛り上っています。
すると。おお?
看護教員(と思われる。以下言い切っちゃいます)の女性は、じろり、と 横に一瞥をくれたのです。ワタクシがアフレコをするとすれば、
「うっせいんだよ、あんたら」
と言った感じで。 いやあ、肝が冷えましたねえ。
それで4人組がどうかなったかと思えば、ぜーんぜん、気づいていない ようです。いいぞ。こう言う時ワタクシはこっちに心の声援を送ります。 どうなるのかなあと思っていたら、教員の女性はさらに事あるごとに、 ちらり、ちらりと視線を送っていました。
その学校名と記録をワタクシの方にばっちりご開帳したまま。
やがて、4人組の方が先に降りました。最後まで楽しげにお喋りしながら。 この4人組に対してワタクシはうるさくはないと感じたように、他の乗客から も苦情などは出ていませんでした。
つまり、あくまでワタクシの視界だけで言うなら、「うぜえ」と感じて 無言のアピールをしていたのは看護教員さんだけ。しかもその無言の言葉は「恐れ入りますが、少し声を低くして下さいませんこと」 ではなく明らかに「うぜえ」でした。
何が言いたいのか、お分かりいただけましたか。
看護教員の彼女は、横にいた周囲に(と言ってもつまりは自分だ) 無頓着なグループを非難していながら、実に見事にワタクシに対して、 「そういう自分も同類」であることを暴露していたわけなのです。
彼女の職業はこの際どうでもいいかも知れないですが、 ワタクシは何だか、「あたしって看護教員なの、偉い仕事してんのヨ」 さらに「横で無知なお喋りしてんじゃないヨ、偉いあたしの仕事 邪魔すんじゃねーヨ」と言った態度に見えてしまった訳ですね。
確かに人に迷惑をかけるという視点では、お喋りの方がその可能性は 大きいし、彼女は書類を広げて作業していただけで、(オヤツのことを除いては。それだって汚さなければ勝手だと言われれば特に反論はしない) 別段他人の迷惑になる行為はしていなかったと思う。
けれど、他人に対してあからさまな視線を投げかけることの無礼さを全く 意識せず、うるさければはっきりと相手に対して告げればいいものを、 「言わなくてもわかれよ、バーカ」とばかりに睨みを飛ばすなんて、 誠に品のないことだと言わざるを得ません。 日ごろ学生に対して、コミュニケーションうんぬんと説いてる人の姿とは 到底思えません。
これはたまたま見た彼女がそうだからと言って、別に看護職が全員・・・じゃあないと思いたいですけどねええ。でも、事実恥ずかしながら看護職って、・・・な人も多い。 そういうワタクシは先日に続いて買ってしまった「逆説の日本史」に ムチューでした。・・・それだって誰か見てたかもよ、恥ずかし!
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