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「 ものがたりの息子 」
2017年06月01日(木)



 息子を広い公園に遊びにいった

 休日の賑わいと日差しで喉がかわき、飲み物を買いにいき、戻った

 少し足を引きずる背格好の似ている子供と遊んでいた

 「こんにちは〜」

 と声を掛ける

 二人が同時に振り向くと、どちらが息子だがわからなかった

 「やっぱり〜」

 と明るく笑うのが息子なのだと直感した。

 「うん・・・」

 とおとなしい子は息子そっくりの顔だった


 「似てたから、一緒に遊んでるんだよね〜」

 「・・・そうだね」

 3人で遊ぶことになった


 
 日が落ちる頃、

 「おうちはどこかな。」

 と聞くと、とんでもなく遠くの場所を教えてくれた 

 一瞬、

「・・え?」

 と固まったが、嘘がないように感じたので、送っていくことにした

 電車を乗り継ぎ3時間、家があるという駅に降り立った

 「ここからは、分かるから・・・」

 「じゃあね・・・」

 電車の中の楽しそうな声から一転して、寂しそうに言った

 二人ともうつむきながら手を振った

 「じゃあね」

 私もつぶやくと同時に、その子は後ろを向いて歩きだしていた

 その子は聞こえただろうか


 「あの子は息子だ!!」

 と心の中で誰かが叫んだようだった

 私は駆け出し、直ぐにその子の肩をつかんだ

 「ちょっとまって・・・えっとね、お家に人はいるのかな?」

 「うん、多分・・・」

 「良かったら、今日はおじさんの家に泊まらないか? 息子も喜ぶし」

 「え・・・それはダメって言われてるんだ。」

 「どういうこと?」
 
 少し声をあらげてしまい、その子はびくっとした

 「おじさんだから言うけど、うち、おかあさんしかいなんだ。それで時々、遠くの公園で遊ばせてもらうんだ。それで、誰かと仲良くなっても、とまっちゃいけない、って言われてるんだ」

 「おかあさんはなんていう名前なの?」

 「松沢恵理子っていうよ? それがどうかしたの? おじさん?」

 「おとーさん、どーしたの? なみだでてるよ」


 ・・・松沢恵理子、むかし、交際していて、いつの間にか連絡の取れなくなった女の名前だった


 「この子は息子だ!!」

 と心の中で誰かが叫んだようだった

 その叫びが大量の涙に換わっていた


 


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