ガトーショコラは苦いくらいが丁度いい？

2006年09月29日(金)　　膝枕より抱き枕

相変わらず何度も何度も飽きるでもなくキスを重ねる。
あたしを抱きしめる腕は日に日に力強くなっていく。

まるであたしがどこかに行ってしまうのを恐れているかのように。

どこにもいかないよ。大丈夫だよ。
なんてことを言えるはずなんてない。

言えない変わりに膝にある頭を撫でた。
出来るだけ優しく。出来るだけ愛を込めて。

こんな平凡な日常がきっと幸せって言うものなのだろう。
幸せを感じたことのないあたしには断定は出来ないけど。

こんな日々が続けばいいと少しだけでも思った自分に軽く腹を立てる。

寝顔を見てると少しだけ切ないような気持ちになるのはきっと
スピーカーから流れるピアノのメロディが切なすぎるからで
あたしの本当の気持ちじゃなくただメロディにリンクしてるだけ。

そう。だから。切ないなんて思ってない。たぶん。決して。

何が切ないのかさえよくわかんない。

だって今は幸せなはずだ。

それなのに落ち着かないのはきっと季節のせいだ。たぶん。きっと。

2006年09月25日(月)　　雲が流れているから。

秋の風はやたらと冷たくて。
風邪をひきそうなあたしがいた。
一日中鼻声で過ごしては。
夜ぐったりしながらベッドに入る。

そんな毎日。

去年のこと。その前のこと。今年のこと。
色々なことを思い出しては溜め息をついたり泣きそうになったり。
あたしの毎日なんて白黒だと思ってたけど。
でも色がついていたよ。

言いたいことはたくさんあるし聞きたいこともたくさんある。
話しかけたって結局はただのひとり言。

だから、伝えたいことを一つだけシンプルに。
どうか君に伝わりますように。

2006年09月09日(土)　　はいになればいいのに。

あめがふっていた。きぶんはさいあく。
たまにはいえにいようかななんておもった。
しーつにかおをうずめる。
なんにもおとがきこえない。
てをのばしてもくうをつかむだけ。
いつまでもきみをおいかけていた。
なきむしだったあのころはもうすてたよ。
けれどわらうことすらもわすれてしまった。
れんとげんしゃしんをすかしてむこうがわをながめた。
ばじるのにおいがはなをつく。
よそいきのふくをとらんくにつめこもう。
かたごしにみえるあのけしきがほしかった。
つらくてもそれがあればきっといきていけた。
ただえいえんがほしかった。

2006年09月08日(金)　　ハグ、キス、そして。

体を重ねるよりもキスをする方が多い関係でいたいとあなたは言う。
からりと音を立てて溶けるグラスの氷にあたしは目を落とす。
あまぁい梅酒をロックで飲むのが最近のお気に入りなのを知ってるから。
あなたはいつもお酒と料理がおいしいお店を選んでくれる。
そんな中で出た言葉にあたしはにこりと笑う。

からから、り、とわざと音を立ててグラスを回し。
両手でグラスを持って口に運ぶ。
こくりと飲み込むあたしの喉をあなたは食い入るように見つめ。
そしてそのまま視線で噛み切られてしまうのではないかと思った。

テーブルに置いたあたしの手をあなたは取り。
中指についているジルコンの光るリングをはずした。
そのままあたしの中指を口に含むから。
あたしは思わず身を固くして目を閉じた。

あなたの目はとても意地悪で。
そしてあたしもその意味深な視線に乗る。
そうすれば2人の間にある不協和に気付くこともなく。
回りと奏でている不協和音もきっと響かないし響かせない。

体を重ねるよりも深くて長いキスを。とあたしは思いながら。
あなたの手の甲にキスをする。
そしてあなたはあたしの願いを聞き入れたかのように。
あたしの手の内にキスをした。

2006年09月06日(水)　　夜風が身にしみる。

海抜500moverの地点に立っているはずなのに空はとても遠かった。
手を伸ばせば届くだろうと思っていたのに少し悲しくなった。

風はすっかり秋の風になっていてなぜだか切ない気分になった。

あの日見た月よりも見た月は痩せていて、それでいて白かった。
冷たい夜風と空の漆黒ととても合っていて少しだけ感動した。

真上の空には星がたくさん散りばめられていた。

秋が来る。

春も、夏も、秋も、そして冬も。
思い出はいつだって共にあり、
そしていつだって君はここにいない。

もうすぐまた一つ季節がめぐる。
あの日も、雨が降っていたね。

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