それでもお話は続く?
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何話が好きですか?次のお話


2004年04月29日(木) 第六話 『カード』

小人を伴ってというか伴われてという感じなのですが今年のたまご配達人の女性のところへ男は向かいました。
「おい、あんた名前は?」
「え?俺かい?フィオだ。」
「へ〜うってつけな名前じゃないか」
「なにが?」
「いやいや、こっちの話さ。おう、ここだ、ここだ。」
小人が指差す先に小さな煉瓦造りの家がありました。
「よし、後は頼んだよ。おいらはほかの仕事があるからさ。」
「おいおい、そんな配達人の君がいなけりゃなんていえばいいんだ。」
「まかせるよ。」そういい残して小人は走っていってしまいました。
「参ったな・・。」


トントン・・
小さな木戸をたたきました。
「だれ?」
「すいません。今年のたまご配達人をお願いしたいのですが。」
「・・・・・・・あたしが?」
「ええ、カードをお渡ししたいのであけていただけませんか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」




「あれ?どうしたんだろ。出てこないし声もしなくなった。」
キィ・・
「・・・どうぞ。」
「いや、中には入りません。ここで結構ですから。ひとまず話を聞いてください。」
そうしてフィオは今までのことを残さず説明しました。
「というわけなんです。俺にこの任命書を譲ってくれないか?」
「そうですか。じゃ、あたしがこのままだと花の配達人になるんですね。」
「うん」
「カードください。それで帰ってください。」
「え・・・じゃ、譲ってはもらえないのかい?」
「本当にあたしができるかできないかはあたし自身が決めることです。帰ってください。」
「そうか。そうだな。」
カードを渡しフィオはがっくりしながら家路についたのです。


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『童話で15題』をお借りしてきました

01:配達人
02:烏と案山子
03:王様
04:盗まれた人
05:屋根裏
06:三匹の猫
07:カード
08:小人
09:箱舟
10:三つの願い
11:クジラ
12:一輪の花
13:贈り物
14:人魚の唄
15:たまご




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2004年04月27日(火) 第四話 『配達人』/第五話 『小人』

第四話 『配達人』

男は悩んでいました。
彼の場合うれしい悩みのほうですが
今年のたまごの配達人に任命されたのです。淡い黄色の封筒を開いて独り言を言いました。
「本当は花の配達人がよかったんだけどな。」と
多少の不満はありましたが配達人に選ばれるということはとても喜ばしいことでした。配達人に選ばれたことは誰にも言ってはいけません。そしてだれにたまごを配達するか決めることができます。

「あの夫婦は子供がいなかったなぁ。あ、でも確かあそこの夫婦は小さい頃になくなって寂しい思いしてたなぁ。」なんだか自分がもらえるような喜びが沸いてきました。


「おい」

先ほど配達任命書を届にきた小人がテーブルの上に立っていました。
「すまんな、あんたに渡すのこっちだったんだよ。」
こちらは淡い緑色の封筒でした。
「あ!! もうあけたのか!? あけてしまったのか…困った、困ったぞ…」
そういいながらうろうろしているけれども小人の顔は少しも困ったようではありません。
「あけてしまったら戻せないのかい?」男の質問に
「戻せるもんか!! 戻せたとしてもあいてしまっている封筒を本当の持ち主に渡せるもんか!」自分の間違いなのにえらい剣幕です。
「そうだ!あんたこのまま、たまごの配達人をしておくれよ。」
「え?ということは本当は俺が花の配達人だったのかい?」
「ああ、そうさ。この辺で花に詳しくてあんな危ない崖を上れるのはあんたくらいしかいないからな。」
「今年は崖に咲くのかい?」
「ああ、しまったまた余計なことを・・だが困ったなぁ。今年のたまご配達人は女なんだ。いくらなんでもあの崖は無理だよなぁ。」
「俺が本当は花の配達人・・・じゃ、俺が両方ってのはできないのかい?」
「なに言ってんだよ馬鹿だな。そんなことできないからおいらは悩んでるんじゃないか。」
「じゃ、その女性に会いに行って俺が謝ろう。俺は花の配達人がやりたいんだ。」
「・・・・・・・・・・・・・」
うつむいて考えているように見えた小人ですがなんだかにやりとしたように見えました。

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第五話 『小人』

「いや、花祭りン時あいつは一人だったよ。」
「そうか?確かあいつだったと思うが。」
「いやいやそういうならあいつもだぞ。」
小さな小さな頭を寄せてこそこそ話しているそこの小人さんたち何の相談?
「ああ?今度の配達人を決めてるのさ。」
「ああ?今度は誰を恋人同士にするか決めてるのさ。」
「ああ?どうやって出会わせようか決めてるのさ。」
三人で一度に言うとわかりませんが?でも楽しい相談なんですね?
「そうさ、年に一度の一番の楽しいことさ。」
「そうさ祭りの次にな。」
「そうさご飯よりもな。」




「あ!! ご飯忘れてたぞ!!」
あらあら、三人同時に叫んでどこかへ走っていってしまいました。
おやこれは?なにやらメモ書きのようですがあまり読めないですねぇ
ふむふむ、どうやら配達人に選ばれる男女はカップルになるようですね。
では、彼は誰の心を射止めるのでしょう?


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『童話で15題』をお借りしてきました

01:配達人
02:烏と案山子
03:王様
04:盗まれた人
05:屋根裏
06:三匹の猫
07:カード
08:小人
09:箱舟
10:三つの願い
11:クジラ
12:一輪の花
13:贈り物
14:人魚の唄
15:たまご






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2004年04月26日(月) 第三話『たまご』

若い王様の国は珍しいものが多く、珍しいこともよく起こりました。
もちろん国の人たちはそれが珍しいことだとは思っていませんが。ごく最近起こった珍しいことというのは隣国の・・・・面倒ですね。国に名前をつけましょう。もちろんこの名前が本当に彼らの国の名前か私は知りませんが

隣国ルッスーギオの王様が言っていた、たまごから生まれたという猫。
とはいえ若い王様の国ミレリーブでは何年かに一度たまごからいろんなものが生まれるので珍しいことではありませんが。
そのたまごというのは不思議なことに子供がいないもしくは子供が独立したという老夫婦のところにだけ届けられるのです。
そのおかげかミレリーブの人たちは長寿で若々しく働いていました。もちろん国中の人もお年寄りを敬い大切にしていました。
そうして例の3匹の猫たちはひとつのたまごから生まれ大事に育てられ王宮で働いているのです。


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『童話で15題』をお借りしてきました

01:配達人
02:烏と案山子
03:王様
04:盗まれた人
05:屋根裏
06:三匹の猫
07:カード
08:小人
09:箱舟
10:三つの願い
11:クジラ
12:一輪の花
13:贈り物
14:人魚の唄
15:たまご



じつは一話ずつ書くんで毎日12時過ぎるのPC前で待ってますw
今日の第三話は実は仕事中に思いつきメモ用紙に走り書きして帰ってきました。そんなわけで急いでつくったっぽい感じ。


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2004年04月25日(日) 第二話 『人魚の唄』

実はそれは聞いてはいけない歌声だったのです。
もちろん若い王様がそうなったようにどうしても手に入れたくなってしまうのです。セイレーンが唄で船を沈めつづけたように。
聞いてはいけない歌声なのです。

隣国の王様はそれを手に入れるためにその国を攻めたわけではありませんでしたが攻め込んだ王宮にはたくさんの人魚が住んでおりました。
人魚の国だったわけではありません。その国の女王もまた不思議な歌の歌える人だったのです。隣国の王は女王の歌声を手に入れたかったのです。
さてその女王は今はどこに・・・・


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『童話で15題』をお借りしてきました
01:配達人
02:烏と案山子
03:王様
04:盗まれた人
05:屋根裏
06:三匹の猫
07:カード
08:小人
09:箱舟
10:三つの願い
11:クジラ
12:一輪の花
13:贈り物
14:人魚の唄
15:たまご


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2004年04月24日(土) 第一話 『王様』

王様は悩んでおりました。
隣国へ訪問した際聞いた人魚の唄が忘れられないのです。
物哀しい、美しい声。潤んだ瞳で海を恋う唄
彼女?は隣国の王が先頃攻め落とした国から連れ帰ったのだそうです。
「連れ帰ったというのではなく略奪というのだろう。」そう思いながらも若い王様は歌声に心奪われました。
隣国の王は前から気に入らない人ではありましたが、何しろ兵力においては勝てないことがわかっておりましたので同盟国として先代の王が友好関係を結んでからは逆らうことなく国交を保っておりました。
若い王様の国には珍しいものがたくさんありました。
まだまだこの国の国民は心が豊かな証なのでしょう。
「大変気に入られたようですなぁ・・・そうじゃ、あなたの国にはたまごから生まれたという三匹の猫がいましたなぁ」となんだか顔がゆがんでしまいそうなくらい気味の悪い笑顔で隣国の王は話し掛けてきました。
「ええ、二本足で歩き人語を解し今は王宮で働いてくれております。」
「では、いかがなものか物々交換といこうではないか。わしは常々、猫の家来を持ってみたいと思っておったのじゃ。」
「・・・・・・・・・」顔色を変えまいと努力はしましたが誰が見ても気づいたに違いありません。
「恐れながら王様、わが国の三匹の猫は国民のために働いておりまして、
いまいなくなってしまってはわが国の王も国民の不興を買ってしまいますので何かほかのものをご所望くださいませ。」
さすが年の功というべきでしょうか大臣が即座に答えてくれなければ隣国の王は何をしたかわかりません。何しろすでに怒りの形相で立ち上がりかけていたのですから。
「そうか、そうじゃな。では言い伝えにある三つの願いを叶えてくれるという花を所望しようかの。」
夜も眠れなくなりそうなほど気味の悪い笑顔でそう答えました。


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じつは同じジャンルの橘 睦月様・高月 佑様筆頭に書いていらっしゃいました46の台詞を読んでいて自分もやりたくなったというわけでw
皆さんがやっているのには参加できなかったので皆さんの30のお題が終わるのを待ちつつこちらのお題を追いかけたいと思いますw




『童話で15題』をお借りしてきました

01:配達人
02:烏と案山子
03:王様
04:盗まれた人
05:屋根裏
06:三匹の猫
07:カード
08:小人
09:箱舟
10:三つの願い
11:クジラ
12:一輪の花
13:贈り物
14:人魚の唄
15:たまご


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