性欲

表層を掠るようなわずかな感情。
欲しているのはもっと奥の、根深いものなのだけれど。
届きそうで届かないことを
まるで最初からわかっているみたいに
あきらめたり、慄いたりしている。

欲情の突き抜けるような一直線の道筋の果てに
求めてるものが真実あったならば、たぶん
こんな気持ちは知らないままでいられた。


本当は泣き出しそうなほど愛しい。

言葉に出せても出せなくても、
言葉に出来ても出来なくても、

常に僕の中を燻り続けている熱の塊は昇華なんかされない。

けれど、そんな根幹は結局のところ
上澄みを掬うように
君の表面を滑り落ちるだけだ。


蠱惑的な余韻に浸って
これでいいんだって、何度も妥協をくりかえす。


深緑の闇が落ちて、
乾いた落ち葉に綯い交ぜにされて
僕の狂気のような思慕も朽ち果ててしまえばいいのに。





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